気楽なアーリーリタイア生活を送っている僕ですが、ひとつだけ、少し複雑な宿命を背負っています。
それは、父の遺産に関わるお金の管理です。
父はとにかく欲の強い人でした。
金銭欲、成功欲、地位欲、承認欲求を隠すことなく、むしろ野心だと誇る生きたをした人です。
今回は、そんな父がどのように人生を転げ落ちていったのか、そして最終的に僕がどんな感情を抱いたのかを書いてみます。
高度経済成長の成功者
父は昭和一桁生まれ。
高度経済成長の時代に、上場企業で順当に出世していきました。
豪快で面倒見がよく、人を惹きつける魅力もある。
ですが同時に、とにかく欲が強く、お金にもかなりルーズでした。
口達者なワンマンタイプで、家のお金もすべて父が管理していました。
母はそのことでずいぶん苦労していたと思います。
家族の生活費はきちんと渡していたので、家族全員、生活には困りませんでした。
それでも僕は、父のやり方がどうしても好きになれませんでした。
能力は尊敬している。でも人としては嫌い。
そんな複雑な感情をずっと持っていました。
50代での起業
父は50代半ばで会社を辞め、起業しました。
自己資金と親戚や友人からの出資を集め、小さな商社を作ったのです。
オフィスは都内のターミナル駅近くのマンション。家具や設備もすべて新品。
設立記念の飲み会も盛大に開かれ、大学生だった僕も参加しました。
大企業のノリで個人会社の経営をするその感覚に、違和感は持っていました。
ただ、この会社が15年後に破綻するとは、当時は想像できませんでした。
「会社ごっこ」に見えた経営
最初はうまくいっていたようです。
父が以前勤めていた会社から、OBとして仕事を回してもらっていたからです。
ただ、父のやり方は変わりません。
仕事の有無に関係なく接待を繰り返します。
銀座の寿司屋で飲み、「社長」と持ち上げられると気分が良くなり、高い酒や寿司を次々に注文する。
帰り際には手土産まで持たせる。
接待は得意ですし、相手を気持ちよくさせ仲良くなる。そんな天性のコミュニケーション力は僕も認めます。
ただ、これは会社経営というより、「社長ごっこ」に近いと、感じていました。
崩れていく経営
やがて状況は悪化します。
OBとしての人脈も、担当者が変われば終わりです。
仕事は徐々に減っていきました。
それでも父のやり方は変わりません。
固定費の高いオフィス。派手な接待。
資金が足りなくなると、まず自分の貯金を会社に貸しました。
それが尽きると銀行借入。さらにクレジットカードのキャッシング。
ある日、こっそり父のオフィスにいくと、机の上にはカード請求明細が何枚も置かれていました。
人は追い詰められると判断を誤る
ある年の12月、父から電話がありました。
「いいビジネスが来た。これで年が越せる」。
妙な予感がしました。
数日後、その取引先が詐欺会社だったことがわかりました。
父は言いました。
「怪しいと思って会社の住所まで店舗を見に行った。ビルも看板もあったから信用し、500万円分の商品を先に収め、料金は後払いにした。」
当然、そんなビルの看板も、大掛かりな詐欺の演出でしょう。
人は追い詰められると、判断力まで鈍ってしまうものです。
父との衝突
会社の状況はどんどん悪くなりました。
僕は一度、父に言いました。
「家賃の安い場所に移れば固定費は減る」
すると父は怒りました。
「そんなチンケな場所に移ったら発想まで小さくなる。節約して成功できるか。だからお前はダメなんだ」・・。
さらにこう言いました。
「俺はやるだけやってダメなら浮浪者でもいい」
正直、僕には理解できませんでした。
一番許せなかったのは、少しばかりの利益を親戚等への借金返済にあてず、飲み食いを優先することでした。
「人の金でもって仕事を続く限りやろう。ひと山当てればラッキー」といった意地汚なさを感じていました。
会社倒産と自己破産
やがて会社は倒産しました。
銀行から会社への融資も、個人カードでのキャッシュングも返済する現金がなく、手形も不渡り。
そして父も自己破産することになります。
その、倒産と破産の手続きを進めたのは、弁護士と僕でした。
仕事で忙しいなか、僕は父の倒産・破産の労力も弁護士費用もサポートしました。
当然ながら、ずっと以前、僕と弟が父に個人貸付をしたお金は返済されません。
欲というもの
金銭、成功、地位、承認、野心。
欲を持つこと自体は悪いことではないと思います。
ただ父の場合、その欲が人を巻き込み、人を踏み台にする形になっていました。
それがどうしても許せませんでした。
それでも人生は続く
しかし人生というのは不思議なものです。
その後、父は年金生活に入り、70代後半で小さな個人ビジネスを始めました。
条件はひとつ。
「現金のみ・前金のみ」
すると、そこで思いがけない出来事が起きます。
まさかの大当たりです。
そしてそれが、再び僕と父の関係を大きく揺らすことになります。
その話はまた次回に書きます。
続きはこちらです。
なお、関連記事として、父が破産しても難なく生きていけた理由がこちらです。
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