アーリーリタイア生活では、「暮らし方」が日々の幸福度に大きな影響を与えると、今あらためて実感しています。
ここでいう「暮らし方」とは、どんな街に、どんな住まいで、どんな人と、どんな距離感で暮らすか・・という全体設計のことです。
たとえば、都心のマンションに住むか、地方の戸建てに住むか。その選択一つでFIRE生活の質は大きく変わってきます。
僕は現役時代、ずっと都心のマンション暮らしでした。限られた空間と利便性の中で効率的に生活し、仕事との両立には申し分のない環境でした。
しかしリタイアをして、地方の戸建てを購入し、DIYやリノベに取り組むようになったことで「暮らしのあり方」に対する価値観も変わってきました。
その経験から最近考える「理想のアーリーリタイア住環境」を綴りたいと思います。
マンション生活の利便性と閉じた暮らし
現役時代の都心マンションは本当に便利でした。
駅も近く、スーパーも徒歩数分圏内。どこへ行くにもアクセスがよく、通勤にも余計なエネルギーを使わずに済む。
ですが、アーリーリタイア後に時間の余裕ができたことで、そうした便利さの裏にある「閉じられた感覚」も見えてきます。
マンション生活は、あまりにも便利に完成されすぎていて、自然の変化や季節のうつろいが日々の中で感じづらい・・。
そんな暮らしが少し平坦に感じます。
戸建てでの暮らしと気づいた現実
FIRE後に購入した地方の戸建ては、想像以上に豊かさを感じます。
その後、地方の戸建てにDIYのため少し滞在し、庭付きの家を少しずつ整えていく中で、マンションにはなかった充実感を覚えました。
まだDIYの途中ですが、庭の草木を綺麗にするだけで見違えるように変わるなど、夏場の手入れは大汗をかいて大変ですが、野良仕事の達成感は素晴らしいものです。
そして、「次はフェンスを作って花壇を置いてみようか」、「外階段のモルタルを修理してみようか」など、次から次へと新しくやってみたい工夫や創造に喜びを感じます。
こうした手作り感はマンション生活では得られなかった感覚です。
ただ、同時に体力が求められます。
今は楽しめていますが、10年後、20年後に同じことができるかといえば疑問が残ります。
生活圏と心の距離をバランスさせる
そうした体験をふまえて、今僕が考える理想の住環境は、「地方すぎず、都会すぎない」中間地点です。
自然に囲まれつつも、都市圏に1時間程度で出られる場所。家は広すぎず、手に負える範囲で、庭があって季節の移ろいを日常で感じられる。
それに加えて、どこかに「非日常感」がある場所・・たとえば海が近い、星空が美しい、温泉街に近い、などが理想に思います。(*今のDIY中の物件は海に近い)
FIRE生活で意識したい人とのつながり
なお、自分自身が癒されるだけでなく、「あそこに遊びに行きたい」と友人に思ってもらえるような空気感のある立地がいいと思います。
リタイア生活は自由そのものですが、その自由の中には「孤独」が入り込む余地もあるからです。
都会に住んでいると、気が向けば誰かと会える、そんな距離感にいます。
ですが地方に拠点を構えると、どうしても自分の時間ばかりとなりそうで、“誰と、どう過ごすか”の設計が必要になります。
だからこそ、パートナーや家族と一緒に生活するというのは大きな安心につながると感じますし、独身であっても友人がふらりと立ち寄れる開かれた空間づくりが良いと思います。
週末にバーベキューやお茶会ができるウッドデッキなどを作るとか、そんな日々の暮らしに温かみを添えてくれるのだと思います。
住まいというのは、単に壁や屋根に囲まれて生活する場ではなく「誰かと共有したい時間や空間」の場でもあるので、特にリタイア後はこうしたつながりを持てる環境を持つことも必要に感じます。
終わりに
FIREとはただ「働かない」だけではありません。
「自分の暮らしを、誰にも縛られずにデザインし直せる」という点に、本当の意味があると思います。
住まいは単なる住宅選びではなく、「どんな日々を送りたいか」を反映した人生のフィールドですし、僕にとっての理想は、体力があるアーリーリタイア期にしかできない居住というものです。
今の空き家のDIYを通じ、今までに経験したことのない「自然も感じられる適性サイズの戸建てで暮らす」も良いと感じるようになりました。
いずれ体力が落ちた老後はサービス付き高齢者住宅や、都心に戻ったとしても安心して過ごせる住環境へと切り替えていけるのなら、今しかできない「贅沢」かもしれないからです。
FIREを検討している方は、これまでの生活環境や経験に引っ張られ過ぎず、「どこに、誰と住むとFIRE生活を楽しめるか」を、一旦は制約を取って考えてみることも良いと思います。
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