FIRE(経済的自立と早期リタイア)を決断するうえでの最大の不安は、「定期的な給与収入がなくなり、FIRE後の生活が行き詰まらないか」という点です。
そこで誰もが「資産シミュレーション」を実施し、収支バランスや資産取り崩しの持続性などを綿密に確認します。
しかし、FIRE後の今となって感じるのは、経済面のシミュレーションばかりに注目しすぎると、見落とす重要な点があるということです。
それは、「会社員には戻りたくない」という強い心理的な気持ちへの対処です。
今日はこの盲点について綴ります。
FIREシュミレーションの前提と設定
FIREに際して、僕のシュミレーションでは
・健康年齢は80歳までとして支出を多めに想定
・100歳までの資産展望を計算
・支出が増えるケースや、資産所得が想定を下回るケースも考慮
ということで、悲観的~楽観的なパターンで複数のシミュレーションを実施しました。
これにより、アーリーリタイア後の資産寿命をシビアに評価でき、経済的な不安はFIRE実施時点でかなり払拭できました。
しかし、これだけでは不十分だったのです。
サラリーマンに絶対に戻れない恐怖心
FIRE時の資産シミュレーションで安心していたため、退職後は解放感に満たされた日々を過ごしました。
ですが、その日々を楽しむほどに、「もう二度とサラリーマンには戻れない」という気持ちは強まりました。
サラリーマン生活から離れ、雨の日や、街でパワハラをする人をみると、「サラリーマンは大変だ」と感じる、単なる労働環境への耐性低下だけではありません。
リタイア生活の実収支も順調に推移し、資産寿命への安心感が高まるにつれ、「ありのままの自分で生きる心地よさ」など、働くことで失う「時間の価値」に心理的な恐怖を感じるようになりました。
なので、「突拍子のない経済的問題が起こっても絶対にサラリーマンに戻らない」と、そんな感覚を持つようになるのです。
会社員に戻らない為の心理的対処
そこで僕は、経済的対策だけでなく、心理的納得感のある「サバイバルプラン」を立てることにしました。
具体的には、セミリタイアやアルバイトではなく、
①物価の安い国への移住
②地方都市での半自給自足生活
など、「仕事に戻るぐらいならこっちを選ぶ」という選択肢をあらかじめ用意することです。
旅行中に「ここに住んだら楽しそうだな」と感じた体験も、こうしたサバイバルプラン構築のヒントになりました。
終わりに
FIREにおいて経済的シミュレーションは当然大切ですが、同時に「戻れない・戻りたくない」という心理的な側面にも目を向けておくべきです。
「何があっても会社員には戻らない」と決意するためには、単なる資産額ではなく、自分なりのサバイバルプランが心の支えになります。
FIREの準備として必要なのは数字をいじる資金計画だけでなく、「生き方の設計」でもあると、リタイア生活のなかで日々実感しています。
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