FIREをした当初、僕はこれまでと同じように「お金の投資運用」に引き続き力を入れるだろうと考えていました。
サラリーマン時代は、資産を最大化することが大きな目標でしたし、数字が増えるたびに安心感が得られたからです。
投資先も株式や不動産、投資信託などで、引き続き、お金をどう効率よく増やすかを考えたりしていました。
ところが、実際にFIREをしてしばらく経つと、自分の「投資の優先順位」が大きく変化(下落)しました。
今日は、その理由と、FIRE後に重視するようになった新たな2つの投資対象について綴ります。
資産の最大化から人生の最適化へ
FIRE前は資産形成が最優先でした。
お金が増えれば選択肢が増えますし、将来の安心にもつながると信じていたからです。
ですがFIRE後の実態は、「お金を増やすこと」に対する関心が自然と後退するのです。
その理由は主に2つあります。
①残り時間は有限
ひとつは、人生の残り時間を意識するようになったことです。
有限な時間を何にどう使えば自分はより幸せになれるのかといった「有限な時間資産の合理的な割り当て」が課題となってきたからです。
これは、「現役社会人→(早期)リタイア」へと、人生のステージを進めた(最後のステージに来た)という感覚が予想以上に強かったからだと思います。
②漸減する資源
もうひとつは、お金はある程度放置しても増え続ける資産ですが、放っておくと確実に衰えていく資源があると意識するようになったのです。
それが「健康」と「人間関係」でした。
ストレスに左右されないリタイア後の日々で、自分の体調の良い状態とそうでない状態に敏感に気が付き、「加齢で失い続ける健康をなるべく良い状態に保とう」と思うようになりました。
また、リタイアを契機に仕事の人間関係が断捨離され、自分というアイデンティティーも新しくなったことで「より質を求めて人間関係を育てよう」と思うようになったからです。
健康は最大の資産
こうした2つの資産の気が付き、やはり僕が最重視する投資先のひとつが「健康」です。
FIRE後は、日々の運動や食事、睡眠、定期的な健康診断など、体のメンテナンスに時間と手間をかけるようになりました。
健康は、年齢とともに失われていく資産であり、同時に今のうちに積み上げておくことで、将来の自由度と医療費を大きく左右する「先行投資」でもあります。
若い頃は、健康はあるのが当たり前でしたが、今は元気に動ける時間をいかに延ばすかが人生をより豊かにする鍵だと感じています。
この、健康寿命を延ばすことは、「より早くアーリーリタイアをすることと同じ」とも考えています。
より長い健康寿命期間(元気な時間)を得るためお金を貯めてアーリーリタイアしたわけですし、リタイア後も健康寿命を長くするため健康に気を遣うのは、本質は同じだということです。
人間関係も“育てる資産”
もうひとつの投資対象が「人間関係」です。
FIRE後に実感したのは、仕事を離れると、特に利害でつながっていた人間関係が自然と減っていくということでした。
だからこそ今は、意識的に人と会う時間を確保し、昔からの友人や恩人との関係を育て直すことや、新しく知り合う人との関係も大切にしています。
利害を超えた関係性を築いていくことは、将来の精神的な豊かさや安定につながる「心の資産づくり」だと感じます。
人間関係は、お金と違って放置していると減っていくので、自分から時間を使って関心を持ち続けることでしか信頼関係は育たない(勝手に増えない)と思っています。
終わりに
FIRE後の僕にとって、お金を増やすこという「投資」から、人生をよりよくする時間の使い方へと「投資」の意味が変化しました。
お金はある程度、戦略さえ間違えなければ放置しても増えていきますが、健康と人間関係は手間をかけなければ増えていくことはありません。
人生の残り時間を豊かにする投資として、「この瞬間の満足」と「未来への備え」をバランスよく両立させながら、健康と人間関係を優先して時間を割くようにしています。
FIREは、投資対象の分岐点でもあり、残りの人生(健康寿命)を長くする早期投資の機会だとも捉えるようになっています。
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