リタイアして最初に戸惑ったのは、情報源が一気に狭まったことでした。
サラリーマン時代には、業界や経済の情報に自然と触れる機会がありました。
しかし、会社を離れると、そうした生の情報はほとんど入ってきません。
一方で、リタイア生活にはリタイア生活ならではの情報の拾い方もあります。
それは、自分自身の体験や感覚を一次情報として重視するという方法です。
今日はその実例として、僕が趣味としている旅行における出来事を紹介したいと思います。
JALでの小さな違和感
先日、札幌旅行の帰りに利用したJAL便が、機材トラブルによりキャンセルとなりました。
この場合は、滞在にかかる実費をJAL側が負担するので、帰宅後、所定の手続きに従って宿泊費や交通費のリファンド申請を行いました。
その申請から支払いが完了するまで、今回、2か月半もかかりました。
これまでもJALを利用する中で同様の申請をしましたが、通常は数週間で処理が完了していました。
年度末をまたいだことによる会計処理の影響など、さまざまな事情は推測できますが、それでもかつてのスムーズな対応に比べ、明らかにスピード感が落ちていると感じました。
体感を通じた企業評価
リタイア後は、このような体験を単なる不満で終わらせず、株主の立場(僕はJALの株式を持っています)から企業活動を推し量る材料とするようにしています。
過去1年ほどのサービスに関する変化を振り返ってみると、
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カスタマーサポート窓口の廃止・統合(→人件費の抑制か)
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到着機材遅れによる出発遅延の増加(→機材使用率の引き上げによる設備費圧縮か)
など、コスト削減の動きが読み取れます。
本来、利用者に悪影響を与えない範囲での効率化は歓迎すべきものですが、サービスレベルの低下を感じるようであれば、株主としては慎重に注視する必要があると考えています。
もちろん、こうした印象だけで売買を判断するわけではありませんが、経営陣の交代やそれに伴う変化も重要なので、見逃さないように捉えて「体感で判断する」は有効な方法になります。
リタイア後だからこそできる、興味の絞り込み
現役時代は、興味があるなしに関わらず、幅広い業界に目を向けて、情報を取りこぼさないことが重要でした。
ですがリタイア後は、それとは対照的に、自分の興味がある分野だけに集中するスタイルへと変化しました。
旅行が好きな僕にとって、航空業界は常に関心が持てるし身近に利用する世界です。
財務データだけでなく、実際にサービスを体験しながらの肌感覚で企業を評価できることは大きな価値だと感じています。
これは僕に限らず、リタイア生活を送る投資家の方ならば、限られた興味領域に絞り体感で投資判断を下したりユーザ視点で評価するスタイルも珍しくはないと思います。
終わりに
以上、リタイア後は情報を得る機会は減りましたが、その分、自分自身のアンテナを頼るようになりました。
数字やトレンドに振り回されるのではなく、自分の体験での感覚を大切にすることです。
僕のような財務の専門家ではない立場では、たとえ財務諸表を読み込んでも、成長を予測したり、株価にどこまで織り込まれているかは見極められません。
それゆえ、FIREならではの「自由な時間と興味関心のある範囲にアンテナを立て、”体感”で投資判断する」という生きた情報の活用ができることは、FIREのメリットの1つだと思っています。
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