アーリーリタイアから38カ月目の資産状況です。
今回、金融資産と純資産の比較推移をしながら、資産防衛と資産増加のバランスにどう取り組んでいるかの内情を綴ります。
なお、そのバランス維持とは「資産を守りながら、日々お金のことを気にせず、なるべく効率的に増える構造」という状態のことです。
金融資産の推移
金融資産は、現預金、株式、債券、年金保険等の資産総額です(不動産は含まず)。
*不動産を含む資産全体とそこに占める純資産は後述します
今月の着地と月次推移
2025年7月末時点の金融資産は、リタイア時(2022年5月末)の105.8%と、リタイア後の最高値となりました。
ですがこの数値は質素なものだと思います。このタイミング、多くの方は資産を大幅に増やしていると思います。
リタイアから3年経過するなか、僕の金融資産は最低ケースで99.8%、最高ケース(今回)が105.8%と、実は「振れ幅」は6%しかありません。
6%のふれ幅を「実スケール」でみれば、以下の通りフラットな線(下図の青い線が金融資産の推移)です。
青い線(金融資産)の概況としては、リタイア以降は「キャッシュイン(資産所得)<キャッシュアウト(生活費)」なので、現預金は減っている構造が前提です。ただ、株や外貨などの時価(評価増)の増分でその減少分がちょうど程よく埋められていて、結果、横ばいで推移しているように見えます。つまり、数値上の出来事です。
オレンジの線(純資産)は、不動産含む資産全体の評価額から借入額(住宅ローン)の返済を引いた「純資産」です。不動産(投資用および自宅)の時価評価が増えていることで成長していますが、これも数値上の出来事です。
数値上の動きとなるのはしょうがないことです。
全資産を現預金で持つわけではないので、現金以外の多くの資産は時価評価になるゆえアップダウンします。
ただ、そのアップダウンでいちいち「お金が気になる」とならないようにしたいというのが、リタイア生活での重要なメンタル指標にしています。
純資産の推移
ところで純資産の詳細をみると、リタイア時点比で128.7%と成長しています。
その構成を資産種別・リスク種別で示したのが下図です。
少し資産戦略(メンタル面を含む)を綴ります。
金融資産の戦略
金融資産(グラフの左側、金融資産の範囲)は、前述の通り「横ばい」ながら、内訳としてはリスク資産の比率がリタイア時点から増えています。
これは偶然の産物ですが、「リタイア時に金融資産の大半を現預金で持っておく」という入口戦略を取ったので、このアプローチは、実はおもしろいのかもしれません。
偶然となったのは、僕はリタイア直前まで海外赴任をしていたので、赴任中は「非居住者として証券口座が凍結される」ゆえ、赴任前に大半の株式等を現金化していたからです。
結果、帰国直後にリタイアした時点では、このように現金比率(低リスク資産=濃紺)が大半でスタートしました。
つまり、インフレで現預金が減り続ける(でも動きはスロー)はメンタル的に受け入れつつ、なるべくインフレ以上、現預金の減少分以上の「適度な利回り(評価額増)」を達成しようと考えました。
なので、株式相場が大幅下落する度に株(高リスク資産)や社債等(中リスク資産)、不動産を買い増すアプローチを取っています。NISAや新NISAの投資は全額やったうえでの取引です。
支出減少分を横目でみながら、現預金比率を少しずつ下げる(徐々にリスクの高い資産へと移行させる)を取るので、一気にリスク資産に飛びついたりもしません。
支出過多とリスクバランスを取りながら(利回りを調整しながら)のアプローチになる、そんなFIRE入り口戦略です。
結果、今時点は比率が「高リスク:中リスク:低リスク」は3均等です。
大半のFIRE達成者は株式比率が高い状態からリタイア生活に突入するので、きっと給与収入がなくなるなかで、高リスク資産に対してメンタル的に、気になってしまうと思います。
僕は逆のアプローチゆえ、その「お金が気になる」がやや少ないと思います。
分散戦略
また、金融資産と不動産でアセット分散させています。
前者は現物取引だけ、後者はレバレッジ(手元現金は少なくても住宅ローンによって不動産を購入できる)で実施するわけです。
金融資産の信用取引はデメリットも顕著ですが、不動産の信用取引(=住宅ローン)は制度的にメリットが多々あるからです。
なので、資産全体の成長と安定性の相反要素を両立させるうえで、資産クラスのうち「不動産をレバレッジ」して「金融資産は現物」で構成させ、全体の心理的な負荷の少ない分散戦略を取っています。
これは自分のスタイルには適っていると思っています。
もし僕がイケイケ投資家だったら、金融資産も信用取引でレバレッジして、不動産も頭金なしのローンで成長オンリーを目指したかもしれませんが、そんな勇気も根性もありません。
もちろん、帰国後にすぐに全資産を株式に投資していたら今はもっと資産成長していた結果となっています。でも、そうせずに「お金を気にしない」を取ったことで、何ら、後悔はありません。
終わりに
精神的には、お金にとらわれないリタイア生活を送ることが大事です。
いまの投資戦略はそんな自分の意向には合った「入口戦略」であり、その後の「分散戦略」を取れています。
経済イベントや政治混乱等の影響を受ける金融資産は、変動が早く大きく出るので、そこを防衛中心の現物構成で変化を抑えると気になることも減りますし、一方で不動産は、それが遅延して訪れたり、変化もゆっくりなので、レバレッジがかかっていても気にならない、という構造が自分に適しているからです。
投資戦略といっても、僕の場合はテンプレに沿ってやったのではなく、自分の置かれた状況を試行錯誤して進めただけの結果であり内情の果てだと思います。
人は利益より損失を過大に恐れる(プロスペクト理論)ので、こうした資産運用をしながら、暴落時の資産毀損シュミレーションもしてメンタル面で備えはしています。
最高値を記録した時こそ、最悪を思い浮かべるのも、自分の変な癖かもしれませんが、防衛戦略としては大事な習慣です。