FIREをした人の割と多くが「もっと早くFIREできた」と情報発信しています。
それはFIRE界隈のマーフィーの法則ともいえる「リタイア資産は案外減らない」といった実体験から来ているケースが多いようです。
僕自身もその体験をしていますしそい発信しています。
だからといって各自が判断をする上ではその「もっと早くFIREできた」という意見を鵜呑みにしては危険です。
マネーリテラシーの相違
まず何よりも他人と自分ではマネーリテラシーが異なるかもしれません。
マネーリテラシーとは、お金に関する知識やスキルのことで、きちんとお金を管理したり効果的なお金の貯め方や使い方の判断や行動を促す能力全般の事です。
「もっと早くFIREをできた」と主張する人は(自分も含めて)基本的にはマネーリテラシーが高いと思います。
それは、資産管理をマメにしたり、その増減変化を敏感に察知したり、早々に対策を打つのです。
だからこそ「結果として」リタイア資産は案外減らない状況を作ることができるのです。
それにマネーリテラシーの高い人はリタイア生活を支える資産が「十分なる経済安全圏」に達するまでは軽率にFIREには踏み込まないとも言えます。
「リタイア資産は減らない」というのは万人に起こるものではなく、そうした特性を持つ人なりの結果はもたらすものだということです。
いまいちど、自分のマネーリテラシーについて確認することは大切ですし、同じようなリテラシーを持っていると判断できるのなら、その再現性は高いと思います。
FIREの準備不足
そして次に、マネーリテラシーも高く資産保全に能力をもっているとしても、そもそも「リタイア資産は案外減らない」と過信し、FIREの準備不足を怠ることは大きなリスクとなります。
準備のなかでも重要だと思うのが収入と支出の展望です。
将来の投資リターンを高く見積もりすぎたり、生活費の増加や予期せぬ出費を過小評価したりすることが収支展望の甘さであり準備不足によるものです。
リタイア後、株式投資等の資産所得に頼る場合、投資リターンの前提にしている数字(例えば4%ルールの4%など)が十分に維持可能であるかという点も大事です。
同様に支出においてもリタイア後に発生する支出をしっかり洗い出せているかが大事です。
例えば今から4,5年前には今の時代に支出にのしかかる「インフレ」であったり「金利上昇(借入金のある人など)」は想像しにくいものでした。
そうしたあらゆる事態を想定し場合によっては係数や負荷をかけてシュミレーションし、必要な資産を見積もって準備することも大事です。
ちなみに僕は、FIRE後の経済的な外的リスクとして①医療費5割負担、②税負担増(消費税アップ、資産課税等)、③インフレ、を考えていました。
また、個人に関連するリスクとして、①長寿リスク、②医療費、③インフレ(物価上昇)、④家族の支援、⑤ライフイベント費用、を挙げています。
選択・確証バイアス
人間の心理はいろいろなバイアス(偏見や先入観)にとらわれています。
それゆえ「リタイア資産は案外減らない」という極めてFIREを早めることに都合の良い情報を必要以上に妄信してしまう心理状態になりえます。
おそらくFIREについて情報発信するブログのなかでは、「リタイア資産は案外減らない」という意見も多くありますが、同様に先日の株価大幅下落の時に「リタイア資産が大きく減って下落する株を損切した」という記事もみかけます。
やはり成功事例やポジティブストーリーだけを参照せず、FIREの窮地に陥る例や潜在的なリスクにも目を向けることが大事です。
FIREに前のめりで資産形成の勢いをつけるのは良いことですが、いざ判断となったらこうしたバイアスを意識し冷静に対局的に状況を見つめることも大事です。
終わりに
以上が「もっと早くFIREできた」という意見を鵜呑みにする3大リスクで、①マネーリテラシーの相違、②FIREの準備不足、③選択・確証バイアス、を取り上げました。
とはいえ人間は完璧でもないので、幾らこうしたリスクを認識してもどうしてもFIREをしたい人にとっては「リタイア資産は案外減らない」は極上の情報です。
なので最後の手段であり準備は、例えば僕もやりましたが、「想定外(リタイア資産が枯渇するなど)が起きた場合の対処案」を持っておくことです。
以前「サバイバルプラン」ということで記事にしました。
以上、適切なタイミングでFIREすることに寄与できればと記事を綴りましたので参考になれば幸いです。
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