「資産3億円、毎月75万円の安定収入(年金+不労所得)」と聞けば、誰もが「老後は安泰」と思うはずです。
しかし、実際には孤独や虚無感に悩む人がいます。
英子さんの事例は、FIREや早期リタイアを目指す人にとって重要な教訓です。
今日は「お金を持っていても幸せとは限らない」ことを示す事例から、僕が考える大切なポイントを綴ります。
お金は必要条件であって十分条件ではない
68歳の英子さん(仮名)は、亡き夫の購入した分譲マンションで一人暮らし。ローンなし、年金25万円、不労所得50万円、総資産3億円。数字だけ見れば理想的です。
しかし、生活は月12万円で質素、趣味や外出にもお金を使いません。現役時代の「節約こそ正義」という価値観を手放せないのです。さらに家族との関係も希薄で、「誰かのためにお金を使う」機会もない。結果、通帳の数字だけが増え続ける孤独な日々になっていました。
お金は「幸せの条件」ではあっても、「十分条件」ではない。これは痛烈な現実です。
通帳残高は年々増える一方です…「年金月25万円」「不労所得月50万円」「総資産3億円」完璧な老後を送れるはずなのに。68歳女性が吐露する〈誰にも共感してもらえない苦しみ〉【FPの助言】
リタイア後の豊かさを決める3つの要素
リタイア後の豊かさには次の3つが不可欠だと考えています。
①お金を使う意味を持つこと
お金は、安心や備えのために保有したり、自分へのご褒美として使うことも必要ですが、それ以上に体験や学び、他者貢献や社会貢献などと結びつくと、より意味がある使い方になります。良く言われることですが実践すると真実だと感じます。②人間関係の再構築
退職とともに仕事上の利害でつながっていた人間関係は消え、残るのは家族や利害を超えた友人、そして新しいコミュニティです。1人の孤独を楽しみながらも、時には誰かと過ごす時間も幸福度に左右しますし、そうした環境を作るための努力も欠かせません。③価値観のリセット
現役時代に正しかった「節約」や「効率重視」という考え方はリタイア後にはかえって足かせになります。お金についても「守る」から「生かす」への意識転換が必要ですし、うまく考え方や価値観をリセットしないとしっくりこない日々となってしまいます。僕がやっていること
といった事を踏まえ、僕は老後を迎えるまでのアーリーリタイア期にこそ、あえて「習慣や考え方を変えよう」と取り組んできました。
自分が本当に何を求めたり心地よいと感じるかは、やってみないとわからない(やりもせずに頭で導くだけの回答は回答でない)という前提でFIRE実験なるものをしました。
お金を使う実験と適性支出の設定
親孝行を最優先してみる
定年まで勤めていたら後悔するであろうものごとは、予め想定していました。その1つとして大きいいのが「親孝行が不十分」というものです。アーリーリタイア生活では老齢の母親への親孝行をかなり優先し、同様に、お世話になった人への恩返しも心がけています。リタイア後の新たな挑戦(自由投資予算)
アーリーリタイア後は会社員時代にしてこなかった新たなことに取り組んでみたいと考えました。結果的に、「自由投資予算」を設け、日々の生活で少しでも「おもしろそうだ」と感じたことに時間とお金を瞬時に割り当てて実行するよう習慣化してみました。
以上の3つが正解かはわかりませんが、やはり大事なのは「リタイア後の自由や幸福は自分で作るのが基本」ということです。
老後を迎えるまでのアーリーリタイア期間に、あえて「旅行や趣味、学びに投資するとどうなるか?」といった目的など、いろいろ経験し体感したことで、自分なりの回答を得られたとは思います。
終わりに
英子さんの事例は、現役時代に貯蓄に励み、それが習慣となって結果的に老後も「数字が増えるばかり」となり「数字をどう生かすか」が手薄になってしまいました。
それによって加齢とともに孤独や孤立といった不安が膨らんだと思います。
個人によってリタイア生活の正解(自分が居心地よいと思う在り方)は違うので、やはりIREや資産形成はゴールではなく、新しい生き方のスタートだと思って、自分が「当たり前」と思っていることも疑ったり、実際にやってみた手ごたえで判断するなど、やはり行動主義が重要だと思います。
そうした取り組み(お試し)こそ、定年よりも若くて元気でいられるアーリーリタイア期のうちにやってみる価値があると思っています。
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