FIREの所要額を算出するうえで最も厄介な課題は「予測できない将来の支出をどう想定するか」です。
そんな予測困難な「変数」は、家族や子供のある方よりも、50代独身のアーリーリタイア生活を送る僕にとってはよりシンプルだとは思います。
それでもリタイア前に洗い出したリストは大きく5つあって、①長寿リスク、②医療費、③インフレ(物価上昇)、④家族の支援、⑤ライフイベント費用です。
今回はそんな予測しずらい将来の支出についての僕の対応を綴ります。
① 長寿リスク
予想以上に長生きすることで資産がより必要となることへの備えです。
何歳まで生きるかはわかりませんが、リタイア資産をシュミレーションするうえでの前提としては100歳としました。
これは「見積前提として十分」と思える安全サイドの数値でシュミレーションするためであって、現実にどうなるかはわかりません。
その現実サイドの関連として、今後、何歳まで生きるかは「平均寿命」ではなく「平均余命」が参考になります。
平均余命は「ある年齢の人があと何年間生きることができるか」といった期待値のことで、例えば55歳男性の平均余命は約27年という統計データがあるので、僕の場合は82歳となります。
なので100歳はシュミレーションとして担保しておきたい前提値で、おおかた82歳でどういった資産状況になるかを意識しています。
②医療費
年齢を重ねるにつれ病気や怪我による医療費がより発生するとは思います。
ですがそれがどの程度の金額になるかはわかりません。
ちなみに統計データからは生涯医療費が2700万円でそのうち55歳以降に発生するものが63%相当です。(https://www.mhlw.go.jp/content/shougai_r03.pdf)
なお医療費は全額を負担するわけではなく現行制度での自己負担額は1~3割です。
高齢となっても収入が一定以上あれば、自己負担額1割の恩恵を得られず、もしかしたら3割負担となる可能性があります。
今後は高齢化社会となるなかで各個人の負担はより大きくなるとのトレンドも予想されることも踏まえ、55歳以降に3割負担をしていくと約500万円は必要になるかもしれないとの想定を持っています。
介護費用も同様に想定しなければいけません。
③ インフレ(物価上昇)
僕がリタイアをした2022年は既にインフレが始まっていました。
インフレが続くと、その影響は複利と同じように生活費の負荷としてのしかかってきてきます。
ですがリタイア前のシュミレーションではインフレを考慮していませんでした。
厳密にいえば自然減と相殺していました。
それは「インフレで物の値段があがるのと同じスピードで、加齢による体力・行動力の低下で生活費が減る」との前提でインフレ率を加味しませんでした。
ただ、リタイア後は更なる円安などで想定以上に日常生活の費用が増加してきたので、リタイア後の途中の段階でFIREシュミレーションを見直しました。
④ 家族の支援
僕の場合は家族の支援に関する変数は「さほど多くない」との前提です。
まず、リタイアした時点では子供は成人していて、教育費等の負担など主要な家族の支援は終わっていたからです。
ただ一方で、親についての経済支援は出てくるかとは想定しましたが、これは本人の年金や貯蓄である程度は自己解決されるとの見通しで、さほど家族支援に予算を積んではいません。
結論としては、主には子供や孫への経済的支援として考えられるもの(結婚、自宅購入、その他)を見込んでいるのみです。
⑤ ライフイベント費用
ライフイベント費用としては、マイカーの買い替えや車検、自宅の修繕費、家電製品の買い替えなどを見込んでいます。
その他は、前述の中にほぼ吸収されていますし、旅行は趣味なので生活費のなかに含めています。
人生でのライフイベントはかなりのところが終わっているので、僕の場合は相当シンプルだとは思います。
終わりに
以上、予測しずらい将来の支出リストとして①長寿リスク、②医療費、③インフレ(物価上昇)、④家族の支援、⑤ライフイベント費用、の5つを挙げました。
実際のところ、こうした将来支出は正確に予測することは難しいので、厳しめの前提で仮説を置いて試算し、都度、リタイア生活後に見直しをかけるのが現実的アプローチだと思っています。
蛇足ですが、こうした予測しずらい支出リストを挙げたり考えたりすると、どこか寂しい気持ちになります・・。
経済的には将来をしっかり見通しするメリットはあるのですが、生活的には、どこか人生の生きる範囲を見切っている感じがなんとも寂しい気がするのです。
人間不思議なもので、将来を見通せると寂しく感じるのに、若くて先が見通せないと「先行き不安」に感じたりと、厄介な方に感情がひっぱられやすいのかもしれません。
「どんな将来だってどんとこい」ぐらいな豪快な生き方が最強なのかもしれません。
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