FIREや早期退職を検討するとき、多くの人は未来の不確実性を想定し、資産面のシミュレーションをしたり、生活習慣を整えたりと、さまざまな備えをします。
将来の収入、投資環境、インフレや税制、健康、家族の変化・・・と、気を配るテーマは尽きません。
しかしどれだけ調べても、未来の不確実性は明確にはなりません。むしろ、情報を増やすほど不安が増すことさえあります。
だからこそ重要なのは、
「変えられること/変えられないことを仕分けし、不確実さを対処する」に行きつきます。
今回はそのために、将来の事象を4つに整理する方法を紹介します。
Step1:不確実性を4つに分ける
軸は次の2つだけです。
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事象としてコントロールできるか(予測・操作が可能か)
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努力によって結果を変えられるか
この2軸で、未来の事象は4つの領域に分類できます。
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行動で改善できる領域
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仕組みで維持すべき領域
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備えでしか対応できない領域
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受容して共存するしかない領域
分類が明確になるだけで、判断に伴う迷いや心理負荷は大きく減ります。
ステップ2:分類ごとに「別の行動」を取る
① 行動で改善できる領域
支出、生活習慣、体力、学びなど、自分の意思で変えられるもの。迷う時間があるなら行動したほうが早い領域です。
② 仕組みで維持すべき領域
家計管理、投資ルール、健康維持など、ここは「運用する仕組み」さえ整えておけば淡々と維持できます。不安が生じるなら、仕組みと心理状態がズレているだけかもしれません。
③ 備えでしか対応できない領域
老い、不慮の病、災害、市場変動、制度変更など、ここは「努力で何とかしよう」としても無理がある領域です。
正解は、「対処療法としての備え」です。
余裕資金、保険、分散、バックアッププラン・・備えたら手放す。これ以外にありません。
④ 受容して共存するしかない領域
他人の感情、理不尽、曖昧な問題、答えのない迷いなど、備えることも難しく、確かな解もありません。
必要なのは、「現実の不完全さを認め、共存したり距離を取ったりする成熟した態度」です。
これは諦めではなく、不完全さや理不尽があるという現実は受け入れる(*理不尽を受け入れろと言っているわけではありません)ことです。
FIRE判断が混乱する理由(=不一致の発生)
この分類の狙いは、「対処すべき領域を取り間違えない」ことにあります。
混乱が起きる典型例は次のパターンです。
・③や④の領域を、①の「行動」で改善しようとする
・③や④を、②の「仕組み」で解決しようとする
すると、
・解のないものに解を迫る
・コントロールできないものを変えようとして疲弊する
・予測不能なものを予測しようとして不安が増す
という「判断の誤作動」が起きてしまいます。
FIRE判断の適正化:4分類ごとに取るべき行動
分類が定まれば、やるべきことは一気に明確になります。
①行動で改善できる領域 → 着手する
②仕組みで維持すべき領域 → 仕組化し習慣化する
③備えでしか対応できない領域 → 備えて手放す
④受容して共存するしかない領域 → 距離を取りつつ共存する
終わりに
FIREは「自由を手に入れる判断」であると同時に、「不確実性と向き合う判断」でもあります。
不確実性ゆえ、「FIREの判断は複雑そう」に見えますが、実はこの4つの行動に集約されます。
未来の曖昧さは消せませんが、曖昧さに振り回される必要もありません。
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変えられることと、変えられないことを明確に分ける
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分類ごとに別の行動を選ぶ
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解のない問題に答えを求めない
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不完全な世界を前提に、現実的な判断をする
こうした不確実性への適切な対処ができれば、FIRE判断は驚くほど軽くなります。
次は最後となる「主体的に決めたと言えるか、未来の自分に説明できるか」という後悔のない判断方法を綴ります。
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