僕はFIRE(早期リタイア)の不安を断ち切って決断するために、ある判断軸を使いました。
なにしろ早期リタイアでの不安は、得られる喜び(自由)より大きかったからです。
判断軸は、「会社を辞めることで何を失い、何を得るのか」という比較で、50代半ばの自分に該当するものを書き出しました。
失うもの=①給与、②年金、③福利厚生、④社会的信用、⑤自己実現。
得るもの=(今しかできない)①投資、②スポーツ、③旅、④学習、⑤親孝行、⑥人間関係。
アーリーリタイアの決断の決め手~ゲインとロス分析(50代半ば)
この判断軸を読み返すと、当時は「後悔を回避すること」を最優先したと気づきます。
今日は、この判断軸の答え合わせ(4年後のいま)をしてみます。
失うもの(ロス)の本質は「安定」と「肩書き」
FIREで失うものとして挙げた「①給与、②年金、③福利厚生」は確かに重要です。
ただ、これらは本質的には「金銭の問題」であり、事前に想定でき、生活設計と調整で緩和できるロスでした。
一方で、「④社会的信用、⑤会社を通じた自己実現」は性質が違います。
お金では代替できず、失ったあとに作り直すには時間と試行錯誤を要する「アイデンティティーの問題」です。
そこで僕は、「お金のロスよりも、アイデンティティー再構築の方が難易度が高い」と仮説を持ってFIRE生活に臨みました。
このブログのタイトルで「Fire-Driven Lifestyle Innovation」としたのも、そんな「サラリーマンの延長線でFIRE生活を送っても自分自身はサラリーマンの感性のままだだろう」という仮説前提があったためです。
言い換えれば、自分の思考や行動を変革しないとアイデンティティロスの問題は解決できないし、新たな”自分とは何者か”も生まれないという思いです。
4年後の今の答え合わせ
4年経った今となって言えるのは、その仮説の通りで、「金銭面のロスは想定の範囲内(対処可能)だが、アイデンティティーの問題は想像以上に大変で、サラリーマン的な思考を捨てたことがはやり良かった」ということです。
金銭面のロスの答え合わせ
実際、FIREで失うものとして挙げた「①給与、②年金、③福利厚生」は、資産の取り崩し、生活費の調整、支出の優先順位などでコントロール可能です。
これらはすべて数値で把握でき、意思決定で調整運用できました。
逆に言えば、ここを過度に恐れていたら、FIREは一生選択できなかったと思います。
金銭のロスは「怖い」ものではなく、「扱える」問題だったというのが今の実感です。
想像以上に時間がかかったアイデンティティーの再構築
一方で、社会的信用や自己実現のロスは想像以上に埋まるまで時間がかかりました。
「会社名を名乗らなくていい自由」は良いのですが、一方で「あなたは何をしている人ですか?」と聞かれたときに困ります。
自分の言葉で説明できない状態は居心地が悪いものとなります。
結果的に、このブログでFIRE生活での気づきやこの変革を言語化してきたことで、「FIRE生活はサラリーマン生活の延長にはない独自の価値や意義がある」という実態を自分の言葉と経験で伝えられるようになりました。
膨大なる3年の時間をブログに注がずにいたら、おそらく今でも「なぜFIREをしたのか」、「どんな価値観で生きているのか」を説明できなかったと思います。
FIRE生活の4年間で優先回収したもの
一方で、FIRE前に想像していたことと異なる経験もありました。それは「得るものとして挙げた項目の優先順位」です。
実際に4年間の日々で力を注いだ順に並べると、
親孝行・人間関係 > スポーツ・旅 > 投資・学習 > 緩いビジネス
となります。
振り返ると、投資や学習、ある程度の旅や運動は、サラリーマンを続けながらでも不可能ではなかったかもしれません。
しかし、親孝行だけは違いました。これは時間を逃せば二度と回収できない投資でした。
4年が経ち、いまは母の認知症がかなり進みました。
4年前から親孝行に手を打ったことで、
・頻繁にランチに連れて行ったり、自宅に手料理を届けたりできた
・国内旅行ほか最後の海外旅行(ハワイ旅行)を企画実行した
・家系図を作って見せた
・亡き父の残した四国88箇所のお遍路の納経帳や掛け軸を完成させてあげた
などは早期リタイアせずには難しかったと思います。
すると自分にとって大きな後悔が生まれたと思います。
僕はまだ時間があるので、残りの項目は今後、回収すれば良いだけです。
FIRE判断の本質は「どちらが得か」ではなかった
こうしてみると、僕は「どちらが得か」を選んだのではなく、「どちらが後悔の期待値が低いか」を選んでいたということです。
FIREでの収入減やアイデンティティロスを抱えるより、「やれるはずだったことを、やらずに終わる不安」が大きなリスクだったのです。
この感覚は、4年経った今、むしろ強くなっています。
終わりに
こうしたFIREでの判断軸に対して、自分自身で答え合わせをすることで、4年という区切りにしています。
そして、次の段階に進むうえで新たな課題が浮かび上がります。
それは、
アーリーリタイアの賞味期限(65歳の定年までの働かない時間)の残りを、どんな体験に、どれだけの資源を投下すべきか?そして、それをどう評価すればいいのか?
ただこれに対しては、これまでの経験から得た感覚でもって新たな仮説は持っています。
次の記事でそれを綴りたいと思います。
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