アーリーリタイアから4年。ようやく僕自身、「リタイア後の人間関係はどうあるべきか」という問いに対して、はっきりとした答えを持てるようになりました。
その答えに至るまでには、大学時代、サラリーマン時代、そしてリタイア後という三つの時期で、人間関係の「広さ」と「深さ」がどのように変化してきたかを振り返ることが欠かせませんでした。
今日は、そんな視点から綴ります。
大学時代・・広く浅く、そして勢いで深く
大学時代は、サークル、ゼミ、バイトなど、自然と「広く浅く」友人が増える時期でした。
一方で、距離感を意識せずに勢いで踏み込み、夜通し語り合うような「深さ」もありました。
ただ、当時は自分の価値観も相手の価値観もまだ固まりきっておらず、自己認識も発展途上ゆえ、深く話しているつもりでも、今振り返れば「深さの限界」があったと思います。
若さゆえの情熱に支えられた関係だったのでしょう。
サラリーマン初期・・深い関係が増える
社会人になると、仕事や生活を通して自分の考え方や価値観が明確になり、対話の質も高まります。
このプロセスの中で、自然と「深い関係」が増えていきました。
同期、学生時代からの友人、新たに出会った趣味仲間・・いずれも、価値観と距離感の相性が重なったからこそ信頼が厚くなり、長く続く関係に育っていきました。
人生の基盤となる人間関係が形成されるのは、この時期だったと思います。
30代後半〜40代・・仕事と家庭中心で広く浅くへ
30代後半から40代になると、仕事の責任も家庭の比重も大きくなり、人間関係は再び「広く浅く」へとシフトしていきます。
仕事関係、子どもの関係など関わる人は増えるものの、深めるための時間もエネルギーも不足し、結果として「つながりの多さ」が「つながりの質」を上回る状態でした。
仕事に家庭に忙しい日々で、すぐに量が限度を超え、質を重視できない状態です。
価値観は確立し、自分の悩みも明確なのに、それを共有できる深い関係を育てる余裕がない・・そんな矛盾を抱えた、ある意味で孤独な時期でもありました。
リタイア後・・ハイブリッド型が自然となる
リタイアすると、会社を通じた広く浅い関係は一旦リセットされ、利害を超えた関係だけが残ります。
同時に、自分の時間が増えることで人間関係を再構築する余裕が生まれます。
ここで改めて実感するのが、リタイア後の深い関係が成立する条件は「価値観と距離感の相性」だということです。
歳を重ねるほど、自分のペースは崩したくない。かといって、孤独が多すぎるのは避けたい。
こうした「矛盾する本音」を両立させる必要があります。
そのためリタイア後の心地よい人間関係は、次の二つの欲求を満たす形に収斂します。
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孤独の快適さ(自分の時間を守りたい)
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つながりの温かさ(誰かと楽しく過ごしたい)
この両方を叶えると、自然と次の構造になります。
深い関係=人格承認・孤独の癒し・安心できる距離感(生きるうえでの土台)
広い関係=気軽なつながり・視野の広がり・ペース維持のしやすさ(刺激と可能性の拡張)
深い関係は長い時間をかけて育まれた信頼があり、価値観が根の部分でつながっています。なので頻繁に会わなくても維持することは可能です。
一方で、広く浅い関係も、日常的な行動(食事、飲み、趣味、スポーツ・・等)に連動し、生活リズムに弾み(約束があるから行動する等)をつけながら、新たな視点や気づきなど新鮮さを与えてくれます。
終わりに
人生のステージに応じて、人間関係の広さと深さは自然と形を変えていきます。
そしてリタイア後は、「深い関係 × 少数」+「広い関係 × 適度」というハイブリッド型が、もっとも自然でストレスの少ないバランスになります。
自分時間も大切だし人間関係も欲しい。
これが僕にとっての「リタイア後の理想的な人間関係」という居場所になります。
なお、世の中には人間関係に多くを求めない人もいますし、大事なことは「自分の心地良い居場所を理解し、それを自分で作る」にあると思います。
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