先日、FIRE卒業を考えている関西在住の50代の方から相談を受けました。
その方のリアルな気持ちを伺うなかで、セミリタイア界隈でよく語られる「FIREが正解」「FIRE卒業は負け」といった単純な構図とは、まったく異なる実態を強く感じました。
結論から言えば、僕はその方のFIRE卒業を応援する形となりました。
今日は、この相談を通して考えた「FIRE卒業」について、率直な感想を綴ってみたいと思います。
相談者の背景:激務とFIRE、その後に生まれた違和感
その方は、長年にわたり教育現場で働いてきました。責任も重く、日々の業務はかなりの激務だったそうです。
その結果、体を壊し、やむを得ずしばらく休暇を取ることになりました。
当初は、休暇後はそのまま退職し、FIRE生活に入る計画だったとのことです。
実際、休養2年目は、心身の健康も復活し、趣味の旅行を中心に、思い切り好きなことをされたそうです。時間にもお金にも縛られず、行きたい場所へ行き、やりたいことをやり切ったそうです。
ただ、その生活を続けるなかで、次第に「暇すぎて、正直つまらない」と感じるようになったと言います。
FIRE生活そのものが悪いわけではない。けれど、どこか刺激がなく、張り合いが薄れていく感覚があったそうです。
「今しかできないこと」は何かという気づき
やりとりを重ねる中で、「今しかできないことは何か」というテーマで意見交換をしました。
その結果、旅行や趣味は、実は仕事をしていても十分にできる、と捉えていらっしゃるようです。
逆に言えば、「今しかできないこと」は、もしかすると仕事のほうではないのではないか・・そんな気づきが生まれたのです。
約2年近いFIRE生活の中で、好きなことをやり尽くしたからこそ得られたリアルな感覚だと思います。
僕が伝えた助言:選べる状態で働く意味
資産的にはすでに経済的自立を達成されている方なので、今は「働いてもいいし、働かなくてもいい」という選択肢があります。
その中で今回、「今しかできないこと=あえて働く」という選択を、前向きに検討されました。
僕からは、「FIRE前の仕事は逃げ道もなく大変だったかもしれませんが、いま職場に復帰したら、以前とはまるで違う仕事への向き合い方になるのでは」との可能性を申し上げました。
なぜならら選択肢がある状態で働くというのは、自分の人生にオーナーシップを持っているからです。
もし仕事に違和感を覚えたり大変だと感じたら、またFIREに戻ればいいわけです。
それができるのも、すでに経済的自由を手にしているからこそです。
終わりに
世の中には、表面的に「FIRE卒業=負け」「FIRE継続=勝ち」といった見方もあります。そんな世間体を気にしすぎると、「FIRE継続を良し」という判断に傾くかもしれません。
今回の相談を通して改めて大事だと思うのは「自分が納得して選択すること」です。
その方は、FIREを実際に経験したうえで「いま自分がやるべきことは仕事だ」と気づけたことが、短いFIRE生活だったとしても、非常に大きな価値があったと思います。
ご相談者も、真正面から決断に向き合ってご自身が選んだ結果なので、きっと、新たな感覚で職場に戻られると思います。
素晴らしいご決断を心から応援し、今後のご活躍をお祈り申し上げます。
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