バブル期というと「給料が高く羨ましい時代」というイメージがあります。
しかし、もし当時の環境で“本気でFIRE”を目指したとしたら、現代よりはるかに不利な条件がそろっていたと、バブル後半を社会人として過ごした僕は実感します。
今日は、FIRE達成に必要な基本アクションに沿って、バブル期にFIREを目指すと直面したであろう苦難を整理して綴ります。
1. 入金力を上げる
FIRE達成の要は、まず収入(入金力)を高めることです。しかしバブル期は、この“入金力強化”が非常に難しい環境でした。
①若手の安月給+年功序列の崩壊でダブルパンチ
当時、新入社員だった僕は「低賃金」が当然と受け止めていました。というのは、「いずれ年功序列で給与が上がる」という会社の説明もあり、安月給に甘んじていたからです。ところが現実は、時代が成果主義へ移行し、結果、「低賃金で入り、年功序列の給与の伸びを享受できない」というダブルパンチです。
②長時間労働+大量のサービス残業
当時は「ワークライフバランス」という概念がないどころか「24時間働けますか」が合言葉となる時代背景でした。残業(月100時間程度)をしても残業申請は45時間という働き方が当たり前で、給与を時給換算すると恐ろしくものでした。③転職が不利
転職はさほど一般的ではなく社会ではマイナス評価となりがちでした。それゆえ転職で給与を伸ばすキャリア戦略がほぼ封じられ、「社内で滅私奉公する一択」という少ない選択肢を生き抜くという息苦しさがありました。2. 節約する
いくら稼いでも、節約できなければFIREは遠のきます。しかし当時は節約が難しい状況でした。
④“付き合い文化”が強い
上司や取引先との飲み会は日常で断る文化もありません。若手は上司から奢られますが、とはいえ社外接待も、3次会ともなれば顧客の喜ぶお店は「高額&領収書を切れない」と自腹となっていましたす。
3. 投資する
⑤オンライン取引で投資できない
ネット証券がなく取引は対面や電話注文。仕事の合間に取引など不可能で、手数料も高額。投資のハードルが桁違いに高かったといえます。
⑥ 長期積立やインデックス投信が未発達
今のような低コスト投信やインデックスは存在せず、ほったらかし投資も実践困難(個別株中心)。なのでFIREに向く放置系の投資手法が市場にありませんでした。
⑦ NISA・iDeCoなど税制優遇が存在しない
税制優遇がまったくないため、長期投資の効率も低く、資産形成スピードは遅くなりがちです。
⑧ 情報格差が大きく、個人が学べる環境がない
ネットもスマホもなく投資情報は証券会社、会社四季報、日経新聞等の紙媒体。効率よい情報収集も困難。
4. 副業する
⑨副業禁止
就業規則で副業が厳格に禁止されている企業が大半で、YouTube、SNS、Webサービス、クラウドソーシングなど副業インフラも存在しません。
5.その他
FIREとは直接関係しませんが、
⑩同調圧力
組織やコミュニティからの圧が極めて強く、FIREのような独自の生き方を支える空気は皆無(=FIREは孤独な挑戦)。
終わりに
以上、「バブル期のFIRE志向を削ぐ10個の要因」を並べてみました。
バブル期は表面上は「高給の恩恵がある時代」との印象ですが、実態は滅私奉公の残業漬け。組織第一という同調圧力で個人の自由意思への尊厳はありません。
それでも「バブル期の時代にモーレツを耐えて入金力を上げながらFIREを目指すのが美味しい」のか、「将来に夢を持てないこの時代に、資産作りの豊富な手段でFIREを目指すのが美味しい」のか、これは好き嫌いの問題でしかなく、時代による恩恵の違いはほぼ無いと思っています。
僕自身、そんなバブル期ゆえ「定年までは働けない」という気持ちが生まれたとことは確かです。
結論、今の時代を過去と比較しても、損得はイコールなので、きっぱり「今の時代にあるもの」を使い倒しFIREを目指すほうが、不満やストレスもなく良いと思っています。
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