「高齢になったら田舎より都会に住むべきだ」という議論が、SNS上で活発なようです。
都会派は「公共交通が整い、徒歩圏で生活が完結する都会は高齢者に向いている」と主張する一方、田舎派からは「電車待ちは無駄」「徒歩での買い物は大変」「車がある生活のほうが圧倒的に便利だ」といった反論も見られます。
《老後は都会生活が便利》投稿に地方民が猛反論、「電車の待ち時間がムダ」「荷物を車で運べない」との声も…“泥仕合”の中で見過ごされる視点
今回は、老後より少し早いアーリーリタイア生活を東京で過ごしている視点から、このテーマを整理してみたいと思います。
僕のスタンスと「老後」の定義
まず前提をはっきりさせます。
僕がここで言う「老後」とは、65歳から75歳くらいまでの健康年齢期です。
この時期は、多くの人にとって、
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移動できる
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判断できる
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体力がある
という点で、機能的には現役世代と大きく変わりません。
違いがあるとすれば、「仕事の義務から解放されている」ことです。
つまりこの時期の老後は、衰えを前提に生活を縮める段階というより、これまで培ってきた時間・お金・体力をどう使い切るかを考えるフェーズだと捉えています。
健康年齢期に重要なのは「徒歩で動けるか」
そうしたリタイア期、仕事(通勤)がないゆえ「意識的に歩く」を習慣にする人も多いと思います。
僕自身も、健康のためにジムにも行きますが、基本はできるだけ歩く生活をすることです。
そこで重視したいのが、徒歩を前提とした生活環境です。
単に「歩ける距離」ではなく、「歩くことが想定された設計かどうか」と言う点です。
都会も場所にはよりますが、比較的、遊歩道やランニングコースなど整備された場所も多く、路面がデコボコも少なく歩きやすいと感じます。
田舎の街での自然の中の散歩も良いのですが、車の通行前提で作られた道路だったり、最近は熊の出現も気になったりで、歩きながらも気にすることも多くあります。
こうした環境は、自治体の財政力や人口規模と比例した構造の違いだと思います。
生活半径10分圏がもたらす利便性
また、徒歩生活での利便性も重要です。
例えば、生活圏での片道10分圏内の完成度です。
僕の生活する街では、徒歩10分の範囲に、
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食料・衣料を扱う店
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役所や図書館
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病院や娯楽施設
が概ね揃っています。
生活に必要な外出は、ほぼ徒歩10分以内で完結します。
スーパーにしても5,6店舗あって競争原理が働いているので、品質の割に値段が安かったり得意分野(肉が強い、鮮魚が良い・・等)を上手に活用できます。
また、疲れたり天候が悪くなれば、徒歩圏内でもすぐにバス停もあれば流しのタクシーも乗れるという利便性もあります。
こうした凝縮された生活圏が、リタイア生活の利便性や自由度を高めてくれます。
都市機能が生む、人間関係と移動性
なお、ここで言う都会は、東京に限りません。
大阪、名古屋、福岡、札幌・・等々、地方大都市やそれらに準ずる地方都市の中心部も、十分に選択肢になると思っています。
また、都会の良さは利便性だけではありません。人が多いことで、コミュニティや人間関係を選べる点も大きいと思います。
関係が濃くなりすぎず、距離の取り方を自分で調整できるのは、健康年齢期の暮らしでは意外と重要だと思えるのです。
そして、僕の場合は更に旅行を楽しみたいので、羽田空港や東京の主要ターミナル駅などからの日本各地への路線が豊富で選択が多いことも、生活の満足度を押し上げます。
田舎の良さは「住む」より「巡る」
もちろん、田舎の良さを否定するつもりはありません。
田舎生活だからこそ、庭を使って野菜を育てたり、花を植えたり、自分の趣味のためのガレージなど持つのはとても魅力です。
ただ、今のアーリーリタイア期や健康年齢の前半は、まだまだ広く動き回ることを前提にしたいので、そうした田舎の魅力を味わうとしても、もう少し先のタイミングだとは思っています。
当面は都市を拠点にしながら、旅行や長期滞在で各地の田舎を巡ることで、田舎の異なった魅力を味わうことをしたいと思っています。
終わりに
老後といっても、健康年齢期の初期段階で大事にしたいのは、「守りの場所選びというより、動ける前提を活かし切る場所選び」という視点です。
その結果、田舎というよりも都会(地方都市を含む)がマッチしています。
田舎の魅力は、旅行を通じて季節ごとの食や文化を体験することで、その良さを味わいたいと思っています。
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