完全FIREをして資産を取り崩す生活が始まったとき、僕は3つの心理的ストレスを感じました。
それは、お金を増やしたいという未練を捨てること、資産を取り崩すことへの不安と対峙すること、そして想定外が起こるかもしれないという恐怖を克服することです。
いずれも、自由を得た代わりに背負う「心理的なコスト」のようなものでした。
ただ、これらはFIRE達成後2年ほど経つうちに、自然に解消していきました。
今日は、その過程について綴ります。
「未練」~時間とお金の優先順位を入れ替える
最初に直面したのは、「お金を増やしたい」という気持ちとの決別でした。
これは現役時代の名残であり、FIRE後には不要な感情です。
会社員時代は、時間を使ってお金を増やすことが当然でした。
しかしFIRE後は逆で、お金を減らしてでも時間を大切にしたいという価値観に自然と切り替わっていきます。
広義には、「健康>時間>お金」という優先順位に落ち着きました。
この変化は損得の話ではなく、「生き方の比重」を見直すことです。
こうして「時間が主軸」に切り替わったとき、ようやく「お金を増やしたい」という未練から解放されました。
「不安」~不透明さは実績で回収
次に感じたのが、不安です。
その正体は、「経済的な見通しの不透明さ」にあります。
FIRE前には多くの人が収支シミュレーションを立てますが、あくまでそれは「想定」です。
実際には、収支は、市場変化、医療費、税制、インフレなど、不確定要素があって影響を受けます。
ところが2年ほど実際に生活してみると、想定していた数字が実績値となり、結果的に「想定は妥当だった」と確認できました。
不安とは「見えないから生まれるもの」であり、「見えた瞬間に消えていく」ものでした。
「恐怖」~リスクとの共存設計をする
最後に残ったのが、恐怖です。
恐怖とは、「お金が減ったとき、何かが壊れるのでは」という漠然としたストレスです。
これは感情論ではなく、設計と覚悟でしか克服できません。
僕は次の3つを明確にしてから、ようやく腹がくくれました。
①資産毀損のシミュレーション、
②生活費のゆとり費の削減余地の把握、
③最悪時のサバイバルプラン
この3点を設計すれば、リスクは「避ける対象」ではなく、「共存できる前提」になります。
完璧主義であればあるほど、想定外を恐れがちですが、FIRE後に必要なのは「完璧な管理」ではなく、「柔軟な許容」です。
「どうにかなる」と思える構造をつくることが、最も合理的な防御になります。
終わりに
FIRE後にお金の未練・不安・恐怖が自然に消えていくのは、リスクがなくなるからではありません。
むしろ、リスクを理解し、共存できる構造を持つことで「安心」の質が変わるのです。
いくら「完璧なシュミレーション」を求めても、FIREは生き物でもあるので「想定外が起きても揺るがない安心を持つこと」が最終的な拠り所だと思います。
未練・不安・恐怖は誰もが通る関所のようなもので、その先に「FIRE後の安定した自由」に辿り着くのだと思います。
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