ブログ読者の方から「現役時代の年収や、その中でどのように資産を形成してきたのか知りたい」というコメントをいただきました。
最近、こうしたお金周りのご要望をよくいただきます。
FIREをテーマにしたブログでは「どのくらいの収入で、どんな支出を経て、いくらの資産を築いたのか」が具体的に示されていると、ご自身の資産形成の計画を立てやすいのかもしれません。
一方で、個人的には、年収や資産の公開をしても、人によってその過程は大きくことなるので参考にはなりにくいのではと思っています。
今日は、改めて、このテーマ(年収と資産形成額)について、僕の考えを綴ります。
なお先般も似たようなご要望を頂きました。
年収と資産額は「再現性のある情報」ではない
まず、年収と資産額が相関するとは言え難く、「参考値」であっても「再現性のある指標」では無いと考えています。
例えば、同じ年収(仮に600万円)でも、住む地域、家族構成、働き方、価値観によって残せるお金の額はまったく異なります。
また、投資タイミングや不動産購入の有無など、運や時代背景の影響も大きいものです。
つまり、「僕がこうだったから、あなたも同じぐらいの資産ができる」という話にはならないと思っています。
ただ、「どう考え、どう選んできたか」という支出の考え方は大事で、それによって残せる額や貯蓄率に影響があると思います。
僕が重要視しているのは「資産の作り方の思考」
僕が現役時代の資産形成で意識したのは、収入の多寡ではなく「お金の使い方の構造」でした。
サラリーマンである以上、収入は出世(肩書)と評価の影響を受けてしまいます。入金力を上げる努力はしましたが、自分の意思でどうにかなるとも限りません。
一方、支出関連は直接コントロール可能です。
具体的には、①固定費を徹底的に削減し、②残りを資産形成に回し、③会社の制度を最大限に活用し、④自宅(不動産)も資産とみなして資産形成に組み込む・・という方針です。
サラリーマン時代は、社宅かマイホームに住んでいたため「家賃を払う生活」をしていません。
結果として支出は抑えられ、貯蓄率も高く、そして金融・不動産投資の余力がありました。
離婚による財産分与も経験しましたが、それも含めて僕のケースは特殊で、同じ「独身」という属性の方が単純に参考にできるものではないと思っています。
ただし、「どうやってお金を増やしたか」のHOWTOは「標準的な正しいこと」があり、上記の①や②は大事だと思っています。
そして、本当に資産形成を押し上げる裏には、「どういう思考と仕組みがなぜ資産を作るのか」というWHY(HOWっぽいけどWHYです)を理解することがポイントです。
上記の③や④の裏にあるものが大事だと思っています。
「どのように判断してきたか」という視点
僕の資産形成の出発点は「どこかでリスクを取らなければ増えない」という前提です。
ただし、自分の属性や強みを徹底的に活かせば、リスクを小さくしたり回避できると考えています。
そうしたリスクテイクの考え方のうえで、僕が採用したのは「安全な制度を徹底的に使う」というアプローチです。
マーケットは人間の思惑や期待値で上下に動く捉えどころのない空間です。
それに比べれば、会社の制度や国の制度といった「仕組み」はもっと透明で比較評価でき、その動きをトラッキングできます。
なので、「制度系」で高い安全性と持続性を確保する方針でリスクを取ってきました。
リスクを取ったのは不動産投資(金融投資ではない)です。
金融投資は現物オンリーのやり方で、仕事の合間に入ってくる業界情報や世界経済の動きなどを投資に活用していました。でも、現物(現金投資の範囲)ゆえ、限られた資金に対する一定利益しか生まれずドラスティックにはスケールしません。
かといって株式の信用取引やFXで「手持ち資金の数倍」をレバレッジした投資を進め、大きな利益を狙う方法もあります。でもそれはとても危険に感じました。
なので、不動産を借入金(住宅ローン)満額を使ってマイホームを買うというレバレッジをして、大きな金額となる不動産は、減税や給付プログラムなど国レベルや会社レベルで様々なサポートも制度も受け、安定・安心して投資してたのです。
もちろん、借入額が大きいので「家計インパクト」は大きいですが、失敗の可能性がより低いと、リスクテイクしました。
どっちにしろ、資産形成をするには「どこでリスクを取るか」を選ぶ必要があるのです。
僕は自分の属性と相性が良い不動産の領域でリスクを軸にしていただけです。
終わりに
ということで、その読者の方へのお返事としては「僕の現役時代の年収や資産形成額そのものは、個人差が大きく、再現性という意味ではあまり参考にならない」としています。
ただし、数字の裏にある「思考の前提」や「判断のプロセス」には一定の普遍性があります。
FIREを成功させる鍵は、金額の多寡ではなく、「自分にとってのリスクと選択のバランスをどう設計するか」にあるわけで、リスクの取り方の工夫が、世の中、いろいろパターンがあると思います。
FIRE4年目の完了まで残り5か月ちょっとなので、このテーマもカバーしていこうと思っています。
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