リタイア後は、「資産をどれだけ増やすか」から「資産をどう使いながら守るか」という出口に向けた戦略が求められます。
この出口戦略が順調か否か、それを測定する指標も異なります。
ちなみに僕自身、現役時代やFIRE直後までは資産を増やしたいがゆえに「資産増加率や貯蓄率」という指標でその成長性を見ていました。
ですがリタイア後は「それぞれの出口での資産がどうなるか」をみるため、金融資産・純資産・総資産という3つの指標を使うようになりました。
「金融資産=今の生活原資」、「純資産=今の投資撤退時の手残り」、「総資産=今死亡した時の手残り」です。
今日はその指標と、リタイア生活の安定と自由をどう支えているか綴ります。
① 金融資産:リタイア生活の駆動部
定義:現預金・株式・投資信託・債券など、すぐに現金化できる資産の合計。目的:リタイア生活を動かす「流動資産の構成実力」。
金融資産は、リタイア後の生活を維持・継続するための「生活の駆動部」です。
現在はこの金融資産を取り崩しながら生活しているので、つまりキャッシュフローはマイナスです。
しかし、株式や外貨などのアセット評価がリタイア以降も堅調に推移し、結果として総額はほぼ横ばいかプラスを維持しています。
僕にとって金融資産のモニタリングは、「安心して減らせる状態を保てているか」を確かめる作業でもあります。
② 純資産:リタイア生活の実力値
目的:自分が築いた「いまの財務実力」を示す。
純資産は、FIRE生活における「財務的な実力値」を示す指標です。
金融資産に加え、不動産(投資用・自己所有を含む)も評価対象としています。
ただし、負債(住宅ローン)を差し引いたものが手残りであり「今の実力値」として捉えています。
なお、自己所有のマンションも含めている理由は、購入時から資産価値を意識して選び、自分の意志で築いた形成資産であるからです。
その資産を全て処分して現預金化して生きることも、施設入居の資金源にすることもありえるわけで、今のリタイア人生で投資や資産運用を撤退した際の可動範囲として扱っています。
*現役時代は「投資余力」を重視して自宅を除外して資産管理していましたが、今は出口戦略を優先しそれを含めて管理しています。
総資産:リタイア生活の出口戦略
定義:純資産に負債を加えた総額。
目的:「人生の出口」での財務実力を測る。
総資産は「純資産+負債額」で構成され、人生の最終局面での財務実力を示します。
ここで負債(住宅ローン)も含めた総資産で見る理由は、これがいまの相続額になるからです。
住宅ローンは団信契約により特定条件(死亡・高度障害時)でローン残金が支払免除されるため、今時点の総資産はそのまま「今、自分に何か起きた場合の手残り」となります。
この総資産を把握することは、最期までの資金計画や相続設計を現実的に考えることができます。
終わりに
以上、リタイア資産の出口戦略を意識して、僕はこの3つの指標を異なる目的で追うようになっています。
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金融資産:いまの生活のやりくりを支える流動資産の見える化
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純資産:これまでの努力を見える化(今時点の投資撤退手残り)
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総資産:人生の最終的な手残りを見える化(今時点の人生手残り=相続額)
もはや現役時代のような「お金を増やしたい」という未練もなく、「資産成長率」も拘りません。
その代わり、3つの指標を定点観測して出口資産を把握することで「リタイア生活での不安が減り、自由度が増え、迷いない意思決定ができている」と感じています。
言い換えると、この指標は「僕がリタイア後にお金とどう向き合っているか、その価値観を可視化したもの」でもあります。

