前回の記事で、僕は「FIREをすると物欲が減る」と書きました。
物欲が減るのは「収入が減って節約志向になったから」と捉えがちですが、実態は違って、FIREで会社ストレスや他者評価から解放され「心の安定」が生まれた結果、欲が減るのです。
仕事で頑張りすぎて疲れると「ご褒美浪費」が生まれたり、そんな頑張りが認めらないと承認のための「ブランド品浪費」が生まれたり、といったことがなくなります。
そうした欲求が静かに消え、結果、自分本来の欲に目覚めるのがFIREのメリットです。
最近、こうした欲を理解することが自分の行動や人生設計にとても大事だと思っています。
今日は、この「欲に向き合って自分の人生を上手に設計する」というテーマで綴ります。
欲を理解することは、賢い生き方の土台になる
僕は、欲そのものを悪いものだとは思っていません。
むしろ「自分がどんな欲を持っているか」を理解し、それをどう使うかを設計することが、器用で賢い生き方につながると感じています。
たとえば、疲れているときに「甘いものが食べたい」と思うのは自然なことです。ただ、それを無意識に繰り返してしまえば健康を損ないます。
同じように、FIRE後に「まだお金を増やしたい」といった欲のため無理に節約ばかりをしても、時間とお金を有効に使えない生活になってしまいます。
そうした欲を否定することではなく、「なぜそれを求めるのか」を見抜くことが大事です。
結局、欲を「エネルギー」として上手に使える人は、欲に支配されず、欲を自分の味方にできると思うからです。
それが、僕の言う「欲の設計」です。
欲の3構造を知る
そんな欲には大きく3つの層があります。
① 欠乏から生まれる「補填の欲」
ストレスや不安、承認欲求といった「足りない感」から生まれる欲です。
忙しいときに「自分へのご褒美」を買いたくなるのが典型で、これは「心の栄養補給」のようなもので、悪いわけではありません。
ですが慢性化すると「消費の連鎖」に陥ります。
サラリーマン生活では、この欲が大きくなると思います。
② 快楽を求める「刺激の欲」
楽しさや達成感を得るための欲です。
旅行や外食、推し活など、「もっと気分を上げたい」という自然な欲求で、エネルギッシュに活動する源ですが、刺激が薄れると次を求めるため、満足が持続しにくい側面があります。
僕はリタイア生活の3年目ごろから「忙しいのに退屈」という状態ができました。日々の生活習慣がルーティンとなり、やることは多いのに、退屈(刺激が足りない)という状態です。
自由投資予算というものを作り、気になることになんでも投資する枠組みを作ったら、刺激が増えました。
③ 関与・創造の「内発の欲」
FIRE後に強くなるのがこの層です。
「作ってみたい」、「試してみたい」、「自分の手で変えてみたい」といった、「関わることで満たされる欲」というものです。
外部から得る喜びではなく、自分の中から湧き出る満足感です。
僕の場合、その自由投資予算を使って「空き家のDIY」や「新しい体験や探求」などをプロジェクト的に取り組んできましたが、それがこれにあたります。
終わりに~欲をデザインするFIREへ
FIREは「欲をなくす生き方」ではなく、「欲の質を変える生き方」だと思っています。
FIRE達成者には「FIRE=悟り」と表現する人もいて、確かにその通りではあるのですが、どこか腑に落ちない点があり、ずっと考えてきました。
FIRE4年目のいま思うのは、悟りというより、「調律」に近い感覚です。
何かを捨てて無になるのではなく、自分の中にある本来の「欲」というエネルギーを、人生設計で大切な資源である「お金、人間関係、愛情、恩返し、人生のチャンス」(僕の場合)に整合させていく感覚です。
なので、欲は消えるのではなく、自分と響き合うものと調律をとって生きるエネルギーになるのだと思います。
まあ、こんな抽象論っぽい発想が、どこか「悟り」とも言える気がしますが、まずは構造解析と言語化をしてみました。
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