先日、「60歳で仕事を辞めストレスなくのんびり生活している」という男性を紹介する記事を読みました。
資産は2.2億円、72歳の現在も株主優待や配当を楽しみ、満足した生活を送っているという内容です。
ただ読み進めるうちに、いくつかの矛盾や疑問が浮かんでモヤモヤとした感覚から、僕自身、「資産額と人生の楽しみにどう相関があるのか」というテーマに強い関心を持っていることに気づきました。
今日はこの記事を題材に、その点を整理してみます。
記事の概要と3つの疑問
記事の男性は、現役時代に老後資金1億円を目標に貯めつつ株式投資を楽しみ、結果として2.2億円を築いたとのことです。
60歳で仕事を辞めて以降もストレスなく暮らし、現在は優待や配当を楽しんでいると紹介されていました。
しかし、次の3つの疑問が残ります。
① 描写が薄い:楽しさの具体像が「優待や配当」だけで片付けられている。
② 満足と後悔が同居:「今が楽しい」としながら「もっと早く投資をすべきだった」と語る不一致。
③ 楽しみの多軸性が欠落:老後を豊かにする社会性・自己実現・健康といった視点が見えてこない。
「60歳で仕事を辞めストレスなくのんびり生活している」資産2.2億円・72歳男性の楽しい老後
これらの点を順に考えてみます。
「優待が楽しい」で済ませる生活の薄さ
記事の中心は「株主優待や配当が楽しい」という話でした。
もちろん経済的なお得感は悪くありませんが、資産2億円超の生活を象徴する楽しみとしては物足りなく映ります。
優待の内容は商品券や日用品あるいはレジャー施設や企業の関連施設利用が中心で、値段にしても数千円から数万円規模のものがほとんどです。
これを「楽しい」と語られると、資産規模とのギャップに困惑しました。
優待生活を極める桐谷さんのように「優待を使い倒す挑戦」として楽しむなら理解できますが、そうした背景も語られず、生活の厚みを感じられませんでした。
資産2億円の生活で、そんな優待がどう「楽しい」につながるのかさっぱりわかりませんでした。
満足なのか後悔なのか
次に違和感を覚えたのは、「今に満足している」と言いながら「もっと早く資産運用をしていればよかった」と語る点です。
これは満足と後悔が同居した矛盾した表現に聞こえます。
もし定年までの仕事に満足していたのなら、「仕事をしながらも投資で稼げる」と言うでしょうし、逆に仕事に不満があったりのFIRE志向であれば「もっと早く会社を辞めれば良かった」が出てもよいはず。
記事はそこを掘り下げず、一般的な投資アドバイスでまとめてしまったため、説得力を欠いていました。
そもそも、老後資産として2億円が十分な資産規模と言うなら「もっと早く投資をしていれば良かった」という後悔より「高齢から投資しても十分間に合う」と言うはずです。
老後の楽しみはもっと多軸的
僕が最も気になったのは、楽しみの軸が経済的メリットだけに寄っていたことです。
実際の老後の充実度は、社会性(人との関わり)、自己実現(やりたかったことへの挑戦)、健康(体力や心の安定)といった要素に支えられるものです。
72歳という年齢を考えれば、健康や残り時間をどう意識しているか、資産の自由度をどう生かしているか、といった話こそ知りたかったのに、そこに触れられていなかったのは残念でした。
終わりに
今回の記事を読んで、記事そのものはがっかりしましたが、逆に、僕自身が「資産額と楽しみの関係」について興味があるのだと気づきました。
資産をどう使うか、資産と楽しさがどう結びつくのか・・。お金そのものではなく、お金という手段が人生の質にどんな影響を与えるかを知りたいのです。
基本、お金に囚われた人生ではない前提ならば、「自分の送りたい人生に必要な額さえあれば、それ以上、お金をもっていても持て余すだけ」という仮説を持っています。
お金の過多に関係なく楽しめる・・という「お金に支配されないマインド」こそ自分が大事にしたい生き方かもしれません。
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