FIRE(早期リタイア)後の声としてしばしば聞かれるのが、「結局、趣味は生きがいにならなかった」という後悔です。
その背景には、人によって「趣味に何を期待するか」という前提が違い、その期待値が整理されないまま議論されるため、意見が極端に割れてしまうという事情があります。
今日は、趣味をめぐる3つの期待値の型を整理し、それぞれの特徴とリスクを考えてみたいと思います。
3つの期待値の型
リタイア後の趣味に対する期待は、大きく分けて3つの型があると思います。
① やりがい型:達成感や成長を強く求め、人生の中心に据えるタイプ。
② 癒やし(リフレッシュ)型:心身の回復や日常の彩りを目的に、軽やかに楽しむタイプ。
③ つながり(共有資産)型:体験を仲間や家族と分かち合い、思い出や会話のストックを重視するタイプ。
この3つの「趣味に求めるもの」が混同されることで、「趣味は意味がない」あるいは「趣味で十分生きられる」といった極端な主張が生まれがちです。
やりがい型の特徴とリスク
「成長したい」、「成果を残したい」と考える人は、趣味に対しても同様の期待を抱きます。
例えば、絵が好きな人が、絵を描くだけでは物足りず、個展を開いて他者からの評価を得たい、承認がなければやりがいを感じない・・と望むケースです。
利点は、趣味が軌道に乗れば仕事を離れた後でも強い達成感を得られ、生きがいとして持続できます。
一方で、他人の評価に依存すると趣味が仕事のように義務化し、結局はサラリーマン生活の延長となり、燃え尽きや疲弊に陥るリスクがあります。
癒やし(リフレッシュ)型の特徴とリスク
「リタイア後は心地よさを大切にしたい」、「無理なく過ごしたい」という人は、癒やしを趣味に求めます。
例えば、散歩や読書、庭仕事、温泉旅行など、静かで安定した時間に満足できるタイプです。
利点は低負荷で続けやすく、健康維持にも直結する点。
ただし、安定しすぎて刺激が不足し、「退屈だ」、「物足りない」と感じることもあります。
僕自身、このタイプが6割ほどを占めている感覚があります。
つながり(共有資産)型の特徴とリスク
最後は「体験を誰かと分かち合いたい」という期待を持つタイプです。
旅行先の景色や食事を家族と語り合ったり、友人と新しい活動に挑戦したりすることで、趣味が人間関係の接着剤となります。
利点は孤独を避けられ、思い出や会話が資産として蓄積されることです。
一方で、関係性に依存しすぎると摩擦やストレスの原因になるリスクがあります。
僕自身、このタイプが4割ほどで、癒やし型と組み合わせながらバランスを取っていると感じます。
結局「趣味は生きがいにならない」のか?
要は、趣味が生きがいになるかは、趣味にどのような期待を置くかで変わります。
「やりがい」を強く求めすぎると失望につながり、逆に「暇つぶし」と割り切れば虚しさを覚えたりします。
このジレンマを解いて「趣味=生きがい」となるには、3つの型を自分なりにどう組み合わせるかにあります。
僕の場合は、自分で楽しむ癒やしの時間をベースにしつつ、誰かと共有する体験を定期的に取り入れることで、趣味全体がFIRE生活のライフスタイルとなり、生きがいを生み出しています。
その結果、「趣味は生きがいにならない」という極論は実感しません。
終わりに
FIRE後の生活は、仕事がなくなる分「趣味でどう生きるか」が大きな意味を持ちます。
「趣味は生きがいにならない」と感じるのは、多くの場合、趣味そのものではなく、趣味に対する期待値のすれ違いに原因があります。
つまり、生きがいは「趣味さえあれば得られるもの」ではなく、自分が何を求め、どう組み合わせて生活をデザインするかで生まれるものです。
趣味はそのための重要な素材であって、大事なのは自己理解に基づいて趣味を選択することにある・・・と思います。
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