長年、「仕事を辞めて自由に生きる」とFIREを目標にしてきても、いざ資産が十分に築けると「本当に辞めていいのか」と不安に襲われる人は少なくありません。
僕が読んだ記事もまさにその典型例でした。
54歳で資産1億円を築いた会社員が、退職を夢見ながらも一歩を踏み出せず、結局会社に留まり続けてしまう姿が描かれていました。
今日はこの記事を紹介しつつ、「FIREできない不安の正体」と僕なりの考えを整理してみます。
記事の概要
記事に登場する佐藤さん(仮名・54歳)は、大手企業の管理職で年収1000万円。独身で、長年の蓄財と投資の末に資産は1億円を突破しました。
昔からの夢は、退職して自由に生きること。国内外を気ままに旅行し、資格を取得し、ゆっくり学び直したいと考えていました。ところが、いざ辞めようとすると足が止まります。
株や投資信託を解約すれば税金で減る、暴落リスクやインフレ、病気や長生きの不安・・。
そのような理由から「まだ足りない」と思い続けてしまい、結局は会社員のままでいる、というのが記事の内容でした。
不安の正体を分解する
僕はこの記事を読んで、「辞められない不安」は大きく三つに分解できると感じました。
① 資産の減価リスク
株価の下落やインフレによる資産価値の目減りです。これは金融リテラシーや分散投資、生活費のシミュレーションである程度対策可能です。
② 収入源を失う不安
毎月安定して入る給与がなくなることへの恐怖です。会社員であること自体が一種の保険になっているため、それを手放す勇気が出ないわけです。
③ 社会的役割やアイデンティティの喪失
「自分は会社員である」という役割を失った後、どう生きるのかが描けないこと。この不安は金融の知識では解消できず、むしろ人生設計や自己理解の深さが問われます。
僕の考え
こうした不安の要因に対して、僕が思うシンプルな解決策は「3つの不安を切り分けて考える」ということです。
資産リスクに関しては数字で管理できますし、収入源の喪失はセミリタイアや休職などで段階的に慣れることができます。
ただ、一番難しいのは、社会的役割を失った後に「自分はどう生きたいのか」という問いに答えることです。
だからこそ、必要なのは資産をさらに増やすことではなく、現状維持バイアスを外し、小さな代替的行動を試していくことだと僕は思います。
完全リタイアの前に、働き方を緩める、休暇を長く取る、学び直しに一歩踏み出すなど、「未来の自分を試す」実験を重ねることで、不安は徐々に具体的な安心へと変わっていくはずです。
終わりに
現役時代はどうしても「資産形成」を中心に物事を考えてしまいます。
そのため「資産形成が人生のゴールではない」と頭では理解していても、不安の正体を整理できずに「まだ足りない」と現状維持を続けてしまうことはよくある事例だと思います。
だからこそ大切なのは、不安の要因を切り分けて自分なりに整理し、「納得感」を持てるようにすることです。
セミリタイアの実例や、実際に行動した人の声をブログなどで知り、イメージを膨らませることも有効でしょう。
僕自身は比較的楽観的な性格なので、ある程度の準備や検討をしたら「これ以上は考えても仕方ない」と割り切り、実際に進みながら不安に向き合うタイプでした。そして、実際に歩むと「やはりFIREして良かった」としか思えません。
こうした姿勢もまた、不安を乗り越える一つの方法だと思います。
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