7,000万円の資産に執着する老人の末期

2025-09-07

お金

t f B! P L

老後に十分な資産と年金を持ちながら家族から孤立する寂しい男性を綴った記事を読みました。

Aさん(78歳・男性)は7,000万円の金融資産を保有し、住宅ローンも完済。さらに月17万円の年金収入があり、経済的には安定した生活を送れています。

しかし、妻を亡くしてから混乱が生じます。子どもが将来に備えて通帳や不動産の情報を尋ねると、「金を狙っているのか」と激怒し、やがて家族と断絶する老後となりました。

記事では「お金に執着せず使い道を取り決めることが人生の豊かさを左右する」と結論づけられていました。

ただ、僕は「お金の使途を決める」というテクニカルな問題ではなく、本質は、お金に執着する人と、執着しない人の間にある深いギャップにあると感じました。

この溝を理解せずに感情だけで向き合うと、親子とはいえ断絶が生まれます。

今日は、自分の経験談も交えて記事の感想を綴ります。

記事の概要

記事で最も気になったのはこの親子の会話です。

「父さん、念のためなんだけど。万が一のときのために、通帳の置き場所とか不動産、保険のこと、ざっくりでいいから教えておいてくれない? 相続のことで何か希望があるなら、書面に残しておいた方が安心かもしれないよ」。
長男としてある程度のことを把握しておく義務があると考えた末での相談でした。ところが、これにAさんは激怒。「まだ死ぬ気はないぞ。人の金をあてにしてるのか? なんて奴だ……」。これをきっかけにAさんは子どもも孫も自分から遠ざけるようになったのです。

「そのお金、どうぞ死ぬまで抱えていてください」長男が放った痛烈な一言。〈資産7,000万円〉〈持ち家〉〈年金月17万円〉の78歳男性…孫にも会えぬ孤独な毎日

執着する人の心理

お金に執着するのは単なる性格ではなく、背景があります。

配偶者を失った孤独、体力の衰えによる不安・・こうした状況で「お金は唯一自分を守る大切な存在」になりやすいのです。

加齢によって猜疑心が強まるのも自然なことで、周囲の言葉や行動が「お金が狙われている」と映ってしまいます。

外から見れば「頑固」、「ケチ」に映っても、本人にとって資産を手放すことは安全や尊厳を失うことに直結するので、「自分を失いたくない」という切実な感情から反応したりします。

執着しない人の立場

一方で、僕自身は「お金は本人が自由に使えばいい」という立場です。相続なんて無くても構わないし、資産をどう使うかは親の自由だと思っています。

ただし、相続対象となる資産リストや負債情報は整理しておくべきです。これが無いと、残された家族に現実的な負担がのしかかります。

そのために「資産を明らかにしてほしい」と願うのは、金銭欲ではなく合理的な備えにすぎません。

しかし執着しない側から見れば「合理性」でも、執着する側には「取りに来たのではないか」という疑念として映ります。

ここに大きな誤解と溝が生まれるのです。

僕の経験からの学び

僕の父もまた、お金や成功に強く執着する人でした。

80歳を超えても株の信用取引まで手を出すので、僕が「投資は現物だけにしてはどうか」、「きちんと資産や口座は取りまとめて、負債を明らかにしておいて」と助言すると、「お前は俺の資産を狙っているのか!」と反発してきました。

儲けや成功に異常にこだわる心理があると、他人をみても「お金を狙っている」と自己投影しやすいのです。

そんな狭い視野での呪縛があるゆえ、正面から説得しても無駄だと悟り、僕は「母に迷惑をかけるのは良くないだろう」と別の角度から寄り添うようにしました。

父が病気で弱って、ようやく僕の言葉に耳を傾けるようになりましたが、それまでの頑固で思い込みの激しい人との長期戦は大きなストレスでした。

そこから学んだのは、「理解はできなくても、理解しようと努める」ことが断絶を防ぐ最低限の方法だということです。

終わりに

7,000万円の資産を持ちながら孤独に陥ったAさんの例は、金額の問題ではなく「お金に執着するかどうか」という態度の違いが生んだ悲劇です。

執着する側には切実な理由があり、執着しない側にも合理的な思いがあります。

そのギャップを無視して感情だけで反応すれば、親子関係も破滅します。

お金は人を縛り執着させる魔力があります。ましては「多くの資産=自己を肯定する唯一の拠り所」となってはなおさらです。

だからこそ若いころから「お金に頼らない幸福」を体験したり、「お金は人生を豊かにする道具の1つでしかない」と捉えることが大事です。

僕のブログで「お金への執着からの解放=精神的自由」と重視する理由は、ここから生まれています。


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自己紹介

2022年3末に完全リタイア。FIREの自由で創る”自分らしいセカンドライフ” としてFIRE-Driven Lifestyle Innovationをテーマに、日々の気づきや経験を発信して精神的に豊かなFIREを応援します。
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