1億円という数字は大きく見えますが、実際にFIRE生活を支えるには不十分だという声です。
その背景にある理屈を整理すると、大きく3つに分けられます。
①「4%ルール」への疑い、
②「FIRE必要資金」の誤解や過小見積もり、
③時間と労力の問題です。
今回は、この3つを冷静に見つめ直していきます。
①「4%ルール」への疑い
FIREの資金計画で必ず登場するのが「4%ルール」です。
これは「資産を年4%ずつ取り崩せば30年以上資産が持続する」というアメリカの研究に基づいたものです。
しかし日本では税制やインフレ、医療費の上昇リスクなどを考慮すると、そのまま当てはめるのは危ういという指摘があります。
特に「税引き後で安定的に4%を確保する」ことは容易ではなく、過去のデータで成立したからといって将来も同じように機能するとは限りません。
つまり「1億円=年400万円で安心」とは必ずしも言えず、不確実性への対応力に自信が持てない人にとっては「1億円でFIRE無理」となるのです。
②「FIRE必要資金」の誤解・過小見積もり
次に多いのが「必要資金を過小評価しているのでは」という懸念です。
例えば、都市部に住み続ける前提で住宅費や教育費を見落としていたり、介護や医療など将来の支出を軽く見積もっていたりするケースです。
1億円という額面に安心感を覚えても、ライフイベントや生活スタイル次第で出費は大きく膨らみます。
逆に、生活コストを抑えた暮らしを選べば、総務省の家計調査からも年300万円前後で十分暮らしている世帯が多いことが分かります。
要するに必要資金は「額」ではなく「暮らしの形」に依存しているので、都市型・高支出前提の人から見れば「1億円でFIRE無理」という主張になるのです。
③ 時間と労力の問題
最後に見過ごされがちなのが「時間と労力の問題」です。
まず前提として、1億円という資産を築くこと自体が大変です。
サラリーマンの生涯年収からしても「そもそも貯められない」という意味で「1億円でFIRE無理」と語られることもあります。
また、1億円を持ってFIREしたとしても、それを長期にわたり維持・運用するには手間がかかります。
インフレや相場変動への対応、税制改正や社会保障制度の変化を踏まえた判断など、少なからず時間と労力を割く必要があります。
「完全に放っておいても大丈夫」というわけではなく、継続的な管理を負担と感じる人には難しいのです。
終わりに
以上のように、「1億円でFIRE無理」という主張は大きく3つに整理できます。
①「4%ルール」への疑い、②「必要資金」の過小見積もり、③時間と労力の問題です。
ただし、これらはあくまで前提条件や価値観に左右される議論です。
年300万円程度で幸せに暮らせるライフスタイルを描ける人にとっては、1億円でも十分に成立するでしょう。
結局のところ大切なのは「資産額」そのものではなく、自分がどんな暮らしを選び、どのリスクを許容できるかで、その答えは何十通りの人生観があるわけです。
なので、「1億円でFIRE無理」なんて個別具体的な意見に左右されず、自分にとって「どんな暮らしを描き、どんなリスクを許容するか」に集中することが大事だと思います。
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