「好きを仕事に」という言葉を聞くと、副業マーケティングの匂いを感じることがあります。
「今の仕事が嫌いな人」を狙って「副業で自由に稼げる」と誘うキャッチコピーのように響くのです。
もちろん、結果として「好きを仕事に」を実現する人はいます。ただしそれは「嫌なことを避け尽くした結果」というより、むしろ嫌な部分を受け止めながら総合的に「仕事が好き」となったように見えます。
今日はこの「好きを仕事に」の違和感について綴ります。
「全部好き」という幻想
多くの人が思い浮かべる「好きを仕事に」とは、プロセスも結果もすべてが楽しい理想像でしょう。自分の趣味や特技を活かしてそれをフリーランス的に独立し、事業化する方法です。
例えば、僕は料理が好きで、仕込みや味付けの工夫をしたりといったプロセスから食べた瞬間の「美味い!」という結果も、全体を楽しんでいます。
しかしこれをビジネスにすれば、定時に店を開け、顧客の注文に合わせて同じ料理を作り続ける毎日となります。何ら工夫や試行錯誤の楽しみはなく義務的な作業になりかねません。
趣味だからこそ純粋に楽しめるものを、仕事に混ぜて崩してしまうリスクは無視できないのです。
フリーランスでも残る「5つの嫌」
また、フリーランスなどで独立したからといって、サラリーマンが体験する典型的な「5つの嫌」は避けられず、形を変えて現れます。例えば以下です。
① 人間関係が嫌(パワハラ上司など)
サラリーマンの場合は上司や同僚との関係が中心ですが、フリーランスでは取引先や顧客が無理な要求や理不尽なクレームをすることと同じです。断れば収入が減るので立場はより弱い場合すらあります。
② 会社組織が嫌(不公平な評価制度など)
フリーランスは組織に属さない分、「市場の評価」の影響を受けます。自分の実力より低い単価を提示されたり、口コミやレビューで仕事が左右されたり、見えない相手の評価に委ねるようなものです。
③ 報酬が不満(給与が安いなど)
サラリーマンは固定給で安定している一方、フリーランスは成果次第で収入が変動します。単価交渉もうまくいかないとバイト以下の報酬となるなどもありうるので、報酬が満足するとは限りません。
④ 仕事内容に不満(やりたくない仕事)
生活を支えるためには自分の得意や希望から外れた案件を請けざるを得ないこともありえます。単純作業や雑務も含まれ、「やりたいこと以外をやる比率」は意外に高い可能性もあります。
⑤ 働くこと自体が嫌(会社は搾取するから)
サラリーマン時代は「会社に搾取されている」という感覚がありましたが、フリーランスになると「社会全体に搾取されている」という感覚に変わるかもしれません。税金、手数料、保険料などをすべて自分で負担するからです。
総合判断できるかがカギ
僕の言いたいのは、サラリーマンでもフリーランスでも、嫌な部分は必ずあるということです。
そして、フリーランスの人が「好きなことを仕事にしている」と言う場合も、それ相当の嫌な事や大変なことを乗り越えたうえでの発言に見えます。
だから「好きを仕事に」をそのまま「嫌なことのない世界」と捉えるのは危うく、むしろ、好きも嫌いも混ざり合う中で、総合的にプラスを感じられるかが大事だという点です。
そうして初めて「好きを仕事に」が現実的に成立するのだと思います。
終わりに
「好きを仕事に」は決して間違いではありません。
ただし、それは「嫌なことからの逃げ道」というより、嫌なことも含めて「総合で好き」と思える状態だといえます。
「総じて好き」と思える状態をつくるために、働き方の比率を調整するなども有効で、その一つが「セミリタイア」ではないかと考えています。
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