FIREを達成して時間もお金も自由になったのに、いざお金を使うとなると不安が勝り、結果、以前のよう「貯める」ばかりになる人は少なくありません。
こうした「貯める」から「使う」に習慣や思考様式を転換するには、特定のスキルや能力が必要と感じます。
そこで今回、「お金を活用する」という状態に至るまでの自分の変化(5段階)をもとに、「お金を使う能力判定」としてセルフテストできるツールを考えたので紹介してみます。
ステージ1:資産を把握できず不安が先立つ
総資産や収支の全体像が見えていない状態です。
現状の立ち位置も、将来の見通しも立たず、不安のあまり支出が極端に抑制されます。
FIRE達成者でこの段階にいる人は少ないですが、資産の可視化がすべての出発点です。
僕自身は、FIRE前から月次の資産管理(資産総額)はしていましたが、FIRE後はさらに区分別(金融資産、純資産、総資産)、種別(アセットアロケーション、ポートフォリオ)、パフォーマンス別(利回り分析)もして透明性を高めました。
ステージ2:資産は把握できているが、長期シミュレーション力がない
資産の可視化ができていても、その数字の未来予測ががわからずに「いくら使っても大丈夫か」を数字で判断できない段階です。
例えば、インフレ率や生活費変動を踏まえた長期予測ができず、結果として消極的な支出にとどまります。
ステージ3:シミュレーションはできるが心理的抵抗が残る
将来計画に数字的裏付けがあり、理論的には安心して使える状態です。しかし、「本当に計画通りいくのか」という不安や、「資産を減らしたくない」という感情が足かせになっています。
お金の使い道そのものへの検討がまだ浅く、「使う目的」に自信が持てません。
ステージ4:使いどころが明確で不安を克服
旅行、趣味、学び、人間関係など、自分の生活や人生の質を高めるための支出先が明確になっています。使うことへの罪悪感は消え、お金を目的達成の道具として前向きに扱える段階です。
ステージ5:お金と幸福が統合されている
明確な人生の目的を持ち、資産・時間・エネルギー・人間関係を総合的にデザインできています。お金の使い方が幸福の実現と直結し、消費・投資・寄付などが一貫した価値観で運用されます。
「使えるか」ではなく「どう使えば意味を最大化できるか」に意識が向かっていて、明確なお金の出口戦略と自分の得たい幸福がリンクしている状態です。
終わりに
お金を使えない理由は「もったいない」だけではなく、資産把握力、計算力、計画力、心理的成熟度、そして人生目的との結びつきといった複合的な要素で決まります。FIREは終着点ではなく、こうした成熟度を高める旅の入り口です。
自分の過去3年半で取り組んできた「お金を使う」というマインド醸成と習慣化で、いろいろと乗り越えてきた課題をもとに、それをステージ化してみました。
今どの段階にいるのか、次のステージはどういった状態かを知ることで、単なる節約から、人生を豊かにするお金の使い方へと変わっていけると思っています。
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