これまで僕は、仕事でもFIRE生活でも「能力やスキルが高いのになぜか失速してしまう人」を多く見てきました。
そこに共通するのは、知力や専門性の不足ではなく、もっと根本的な「体力」の欠如です。
ここでいう体力とは、単に筋肉や持久力のことではありません。行動を起こしそれを推進・継続する総合的な能力であり、いわば人生の土台となる資本です。
今日はこの「体力」がなぜ仕事やFIRE生活の成否を分けるのか、自分の捉え方を綴ります。
三つの体力資本
僕が考える「体力」は3つの資本で成り立っています。
① 身体(フィジカル資本):筋力・持久力・心肺機能・回復力など、行動の物理的な土台。
② 心理(メンタル推進力):好奇心・目標意識・自己効力感など、内側から「やりたい」を生む動機。
③ 習慣(行動システム):身体と心理から生まれる行動を続けさせる統制力・持続力。
これらは相互に補完し合い、どれか一つが欠けても長期的な成果は難しくなります。
身体があっても心理的推進力がなければ動けず、心理があっても習慣がなければ続きません。
僕はこうした「体力」という総合力を「体力=身体×心理×習慣」として捉えています。
仕事パフォーマンスと体力
現役時代に実力を発揮するには、知力や専門スキル以上にこの「体力」が欠かせません。
特に若手のうちは、知識や経験に大きな差がない分、体力の有無が如実に現れます。
例えば、仕事量が増えると集中力が切れ、判断が遅れ、遅刻や欠勤が増える人がいます。身体力が欠如しているケースです。
あるいは仕事量が増えてそこそこ成果を出してもムラがある人がいます。習慣(持続性)が欠如しているケースです。
これらケースでは、上司からすると「これ以上は難しい」、「安心して任せられない」と判断し、責任ある仕事やチャンスが巡ってこなくなります。
反対に体力のある人は、仕事がどれだけ立て込んでも安定したパフォーマンスを保ち、周囲への気遣いや笑顔も欠かしません。
この違いは若手から中堅へと移行するなかで着実に差を生んでしまいます。
もちろん職種によっても違いますが、根本には、こうした体力不足が仕事のキャリアに失速を招くと感じています。
FIRE後の生活と体力
FIRE生活においてもこの3つの要素(体力)は生活の質を大きく左右します。
もちろん、FIREを達成できる人は資産計画を立案・実行するだけの習慣力や自律性をすでに備えている場合が多いでしょう。
しかし若くしてFIREすると、十分な身体力に対して心理的な活用先が限られ、日々の充実感が薄れがちです。「FIREは暇」とか「世間から取り残されている」といった感覚が生まれるのは、このアンバランスが原因のひとつだと思います。
逆に50代以降のFIREでは、時間や心理的自由があっても身体的な衰えが活動を制約しやすくなります。なので「心理>身体」というアンバランスで、やりたいことが見えても体がついていかないとなります。
だからこそFIRE後は、外部から与えられる役割がない分、自分で体力の三要素を均等に整えることが重要となります。
終わりに
知力やスキルは確かに重要ですが、それを生かすのは体力です。
体力とは、「身体力」を維持・向上させる運動習慣、「心理力」を刺激する新しい挑戦、「習慣」を支える自律的な行動ルーティン、といった3つから生成される大事な資産です。
現役時代は外部環境によって鍛えられますが、FIRE後は自ら設計しない限り衰えていくので、若い時のFIREは「身体力>心理力」のアンバランスを均等にするよう心理力を高めることを意識したり、高齢期のFIREは「身体力<心理力」を均等にするよう、より身体を鍛えることを意識しなければいけません。
3つ(身体・心理・習慣)をバランスよく維持することが仕事もFIREも失速しない鍵になると思っています。
↓