FIREは”否定の美学”~人生から何を除外するか

2025-07-10

経済的自由・FIRE

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FIRE(経済的自立と早期リタイア)について語るとき、「どんな生活をしたいか」、「何を目指すのか」と、「新たな生き方」という足し算の視点が取り上げられます。

もちろんそれも大切ですが、僕がFIREをして強く感じるのは、「人生から何を取り除くか」という引き算の視点がより本質的で現実的には重要だ、ということです。

例えば、夫婦や恋人同士でも「好きなものが一緒」が必ずしも良い関係を永続させるのではなく、「嫌いなものが一緒」がその永続性に効果が高いことがあります。

それと同じで、FIREも「これ以上、自分の人生に残したくないものを手放す選択」をまずは誤らないことが大事だと思っています。

今回は、そんな「FIRE=否定の美学」という観点から、僕の考えを綴ります。

「足す」より「引く」が先に来る感覚

何かを始めるとき、人は「何が得られるか」、「何が好きか」で考えがちです。

でもFIREの場合はむしろその逆で「自分にとって不要なものを除く」という引き算の感覚が基本に置くべきです。

僕が会社員人生から除外したかったのは、以下のようなことです。

  • 平日朝の決まった起床

  • 月や年単位で自由が制限される生活

  • 意味のない目標や評価への順応

  • 惰性で続く人間関係

  • 常識や期待に合わせ続ける自分

だからといって「仕事が嫌い」ということはなく、むしろ好きだったと思っています。

「好き・嫌い」では語れない選択

仕事が好きになるかどうかは、仕事そのものより、職場の環境などが重要かもしれません。

職場環境にも恵まれ、また、仕事も「できないことができるようになる」とか「チームで協力し何かを達成する」など、良い面も多々経験しました。

でもだから「じゃあ好きならずっと生涯、やり続けるか?」と考えると、またそれは別です。

人生の残り時間を意識しだした40代からは特に「好きだからずっと続ければ良い・・」と今を起点に将来を設計するより、「人生を後悔しないか?」と将来を起点に今の生き方を考えるようになってから、なおさら違和感はありました。

好きな食べ物も毎日食べれば飽きるように、きっといくら「仕事は好きだ」という人も、それを20年、30年、40年とやり続けて幸せかは・・・よく考えたほうがいい問題だと思っています。

つまり、FIREとは「好き/嫌い」という軸だけではなく、「どこまで犠牲を許容するか」という線の引き方があるのです。

FIREは“否定の美学”である

こう考えると、FIREの本質は、「何かを得るため」ではなく、「何を持たないかを明確にする」ことだと思います。

「好きだから良い」と流されるのではなく、好きなことも否定できる、好きなことも引き算できる美学でもあると思います。

ブラック企業やパワハラなどといった明確な「嫌い」があった人は、それを捨てることがFIREだということになり、動機としても迷いは少ないはずです。

一方で、僕は「会社に人生の時間を捧げて終えるのはちょっと違う」といった、何を引き算するかがファジーだったわけで、ようやくFIRE4年目に入り、その実感を言語化できるようになりました。

FIREという人生の引き算で手放すのは、自分らしく生きるうえで必ずしも必要のない「会社員という構造を手放すこと」です。

そこには「会社が定めた目標や評価=正義」となり、それに縛られ、そこから「xxすべき」が生まれ、義務や役割をこなす、そんな籠の中での出来事なわけです。

その籠から出るのは逃げでも妥協でもなく、「これ以上、自分を犠牲にしない」ための意志だと僕は考えています。

こうして考えると、FIREという生き方はひとつの美学だと捉えています。

終わりに

FIREとは、「好きなことだけをする」ではなく、「嫌なことを人生から外す」という潔い選択です。

僕の場合、会社員としての時間の拘束を外す代わりに、「縛られずに考える時間」や「自然や社会とつながる生活」を得ました。

こうした価値観は、「働くことこそ正しい」という社会評価軸では測れないかもしれません。

でも人生の残り時間が少なくなりつつある僕にとって、はるかに意味があり、自分を満たしてくれるものです。

だからこそ、FIREは“否定の美学”としての人生設計だとも言えますし、何を捨てるかをしかり認識することが大事だと思っています。


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自己紹介

2022年3末に完全リタイア。FIREの自由で創る”自分らしいセカンドライフ” としてFIRE-Driven Lifestyle Innovationをテーマに、日々の気づきや経験を発信して精神的に豊かなFIREを応援します。
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