昨年、NewsPicksで公開された動画の中で、「オルカンを買う人は出世できない」という発言が取り上げられ、SNS上で大きな議論となりました。
オルカンとは、MSCI全世界株式指数に連動するインデックスファンドで、新NISA開始以降、特に人気の高い投資先のひとつです。
動画での主張は、「ネットや流行に流されてオルカンを選ぶ人は、自分で考えない。そんな人は仕事でも出世できない」というものでした。
この発言に対し、賛否両論が噴出。「出世と投資を結びつけるのは時代錯誤だ」、「オルカンは効率的な選択肢だ」という反論も多数寄せられました。
僕自身も、当初は「なぜ出世とオルカンが関係あるのか?」と疑問に思いましたが、論点を整理すると、確かに考えるべき点も見えてきました。
今日はこのテーマを掘り下げてみます。
「オルカン=思考停止」という誤解
論争の中心には、「オルカンを選ぶ人は受け身で、仕事でも結果を出せない」という短絡的なイメージがあります。
しかし、これは必ずしも正しくありません。オルカンは世界中の株式市場に低コストで分散投資できる合理的な仕組みです。
特に黎明期からオルカンに投資した人は、その価値を自ら調べ、戦略的に判断した「先見性ある投資家」と言えます。
むしろ、オルカンは投資のゴールではなくツールです。考え抜いて委譲することで、投資に費やす時間を減らし、人生の他の分野に集中できるのは大きな利点です。
出世する人は「委譲」が上手い
僕が強く感じるのは、出世できる人ほど委譲が上手いということです。
マネジメント層は、すべてを自分でやるのではなく、任せるべき業務は部下や仕組みに委ね、自分は判断や戦略に集中します。
オルカン投資も、まさにこの委譲の発想です。
個別株選定という時間のかかる作業を市場全体に委譲し、その分のエネルギーをキャリアやライフプラン、自己成長に割けるので、むしろ出世できる人の発想に近いと考えています。
とはいえ、最近はプレイングマネジャーの増加やジョブ制への移行など、必ずしも部下の数=出世というものでもありません。部下もいない専門職として相当に高い給与を得ている人もいます。
ということで、何をもって出世、あるいは成功とみなすかの根本も、変わりつつありますが・・。
「考え抜いて委譲する人」と「流される人」
なので重要なのは、オルカンを選ぶまでのプロセスであり思考です。
自分で考え、世界経済の成長性やリスク分散の意義を理解してオルカンを選んだ人は、戦略的な委譲ができるタイプです。
単に「みんなが買っているから」と後追いするだけなら、投資も仕事も受動的な姿勢に陥るでしょう。
要は、オルカン投資そのものが問題なのではなく、「どんな考え方でオルカンを使うか」が問われているのだと思います。
僕の投資観
僕もインデックス投資を資産形成の1つの軸にしています。
個別株で市場に勝つためには時間も労力もかかり、そのリターンは必ずしも保証されません。
一方、オルカンなどのインデックス投資は、投資運用を仕組みに委ね、浮いた時間を学びや、家族や自分の時間として有効に再投資する方が合理的だと考えています。
オルカン(や類似のインデックス投資)は、低コストで世界の成長に連動できる「手離れの良い仕組み」です。
これをポートフォリオの一部に取り込んで活用する方針で投資を進めてきています。
終わりに
正直、オルカン投資と出世の因果関係を強引に結びつけた議論には、どこかモヤっとしたものを感じます。
ただ、こうした論争がきっかけで「自分は何を委ね、何を自分で考えるのか」という視点を改めて意識できたのは良いことだと思っています。
出世する人ほど、効率化や委譲を上手に使い、自分の時間を価値ある活動に振り向けると思っています。
僕は今後も、新NISAの積立枠を活かして、インデックス投資を自分の資産運用の一部に組み込むことは続けていくつもりです。
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