先日、「定年後に人気の仕事ランキング」という記事を読みました。
そこに並んでいたのは、清掃、品出し、接客、警備員といった仕事です。そして、人気の理由は「負担が少ない」「経験がなくてもできる」というものでした。
正直、読み進めるうちに、僕は働く気が湧くどころか、「シニア世代をバカにしているのでは?」という感情さえ抱いてしまいました。
今日は、その理由を整理しながら、定年後の働き方に本当に必要な視点について考えます。
なぜ“人気の仕事”なのにワクワクしないのか
これは、FINANCIAL FIELD編集部による記事です。
「定年後」に働くならどの「職業」が人気? 「勤務日数や勤務時間」の平均はどのくらい?
冒頭に書かれたのは、
定年後に人気の仕事とその理由をご紹介します。定年後に同じ職場で働き続ける方もいる一方で、新たな仕事に就く方もいるでしょう。定年後の仕事選びのポイントは、無理なく続けられることや、やりがいを感じられることです。
そんな「やりがいを感じる仕事」に惹かれ記事を読み続けました。すると、
●清掃 ●品出し、仕分けなどの軽作業 ●販売、接客 ●警備員そして、その理由は「体力的な負担が少ない」「経験がなくても始められる」というものでした。
人気の理由が、結局「楽さ」や「簡単さ」に終始し、何ら「やりがい」については言及されていません。それどころか「負担が少ない」とか「経験不要」という理由では「仕方なく選んだ仕事」に見えてしまいます。
シニア世代の方だって、そんな弱腰な状況でもないはずだと、残念に思ってしまいました。
仕事の魅力は“場所と目的”で変わる
これが同じ清掃でも、愛着のある場所なら話は変わります。
例えば、自分の子どもがよく遊んだ遊園地や、地元のランドマークなどの清掃員として、愛着ある場所を綺麗に掃除する仕事なら、きっと誇りや喜びを感じる人もいるでしょう。
接客も同じです。もし大学の学食や文化施設で働けるなら、若い人や夢を追う人たちと関われるなど、そこで交わす会話や笑顔に触れる時間が働く価値になります。
こうした「意味のある文脈」が全くなく、「軽作業」、「未経験OK」という条件だけでは、その仕事は「誰でもいい単純作業」にしか見えないのです。
単純だったり大変な仕事でも、その意味を見出すことはできると思っています。
必要なのは「やりたい理由」を生む情報
なお、良く言われる「シニアが働く理由」は、お金、健康維持、社会とのつながりなどさまざまです。
それを満たす方法は必ずしもアルバイトや軽作業といった切り口ではなく、重要なのは、「その仕事を選ぶと何が得られるのか」という点です。
たとえば、
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地域に貢献できる
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学び直しの機会がある
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好きな場所やテーマと関われる
こうした前向きな意味づけがあれば、仕事は単なる「労働」ではなく「リタイア生活の生きがいの一部」になるし、雇用が不足する今の時代、まさにこうした「仕事への意味付け」という観点が世の中で求められているはずです。
終わりに
定年後にどんな仕事をするかは、人生の後半をどう過ごすかにつながる大事な役割があると思います。
もちろんお金だけが目的なら、「負担が少ない」、「未経験でできる」で割の良い仕事に飛びつくのはわかりますが、それだけでは働くことに意味や喜びを見いだせません。
この記事を読むと、どうも「シニアの選択肢は狭い」、「コスパのよい楽な仕事が人気」と、どこかシニアには夢も希望もないような描かれ方で残念に感じてしまいました。
定年後の働き方は、本来もっと自由で創造的であっても良いはずで、「街でみかける元気なシニアの仕事ぶり」にはもっと気づけるように意識するつもりです。
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