大人になると、勉強が将来の選択肢を広げてくれることや、生涯学習の大切さがわかります。
しかし、子供にとって「なぜ勉強が必要なのか?」という問いは、なかなか腑に落ちないものです。
新学期を迎え、いよいよ受験であったり、勉強が大切になる子供たちの親御さんも読者のなかにいらっしゃると思います。
今回は、そんな問いを小学生の姪っ子から投げかけられたエピソードを綴ります。
なぜ勉強しなきゃだめなの?
ある日のランチで、小学6年生の姪っ子(仮にメイちゃん)と話していたときのことです。
メイちゃんのお母さんが笑いながらこう言いました。
「最近、メイは友達とLINEで“推し”のジャニーズ(仮に“ジャニ男”)の話ばかりしてて、全然勉強しないのよ」
すると、メイちゃんがすかさずこう口にしました。
「ねえ、なんで勉強ってしなきゃいけないの?」
お母さんは「勉強は学生のお仕事と同じよ」と応えました。
けれど、メイちゃんの視線はすぐにこちらに向きました。
「でも、WATARUおじさんは“お仕事してない”って言ってたじゃん。大人だって仕事しない人いるじゃん?」
・・・。
FIRE(経済的自立による早期リタイア)で無職状態の僕に突然向けられた、本質的な問いでした。
FIRE的視点からの回答~自由と勉強
少し間をおいて僕はこう答えました。
「そうだね。おじさんは今、働かなくても暮らせるようになったけど、それは若い頃にたくさん勉強して、働いて、お金が自然に増えるようなシステムを作ったからなんだよ。だから今は、時間の自由があるんだ」
メイちゃんは少し不思議そうな顔をしました。
そこでもう少しメイちゃんの興味に近いところから話してみることにしました。
「そうだね。おじさんは働かなくても安心して暮らせるように、ずっと勉強も仕事もしてきたから、もう仕事はしなくてもいいんだよ。」
メイちゃんは納得していない様子でした。
確かに僕の論理では「(勉強といった嫌なことも)やるだけちゃんとやれば、いずれやらなくても良い」といった「勉強=必要悪」と言ってるようなものです。
ですがアーリーリタイア生活では、強制されずとも自分の学びたいことを学んでいます。
そこで、話の方向を変えてみました。
推しに会いたい?それ、夢の入り口かもよ
「メイちゃん、ジャニ男のこと、めっちゃ好きなんでしょ?」
「うん、世界で一番好き!」
「じゃあ、いつかジャニ男に会って、話してみたいと思う?」
「え!?できるの!?」と身を乗り出してきました。
ヘタに回答するのも嘘つきになるので、
「うん。できる可能性はあるよ。でもね、それは秘密の方法なんだよ。おじさんだから知ってるんだ。」
夢に近づくために「勉強」はある
「実はね、自分で会社を作ったり、有名な社長さんになったりすると、CMで一緒に仕事したり、ごはんを食べたりするチャンスができるんだよ。実際に、芸能人と結婚した社長さんもいるんだよ」
そう言って、世間で話題になった某アパレルの〇〇社長と女優の〇〇の記事をスマホで見せてあげました。
「でもね、それも全部、勉強をして、社会の仕組みを知って、自分で力をつけた人たちができることなんだ」
勉強は「夢への準備運動」
僕は続けてこう伝えました。
「お金持ちになるにも、会社を作るにも、“勉強”が必要なんだよ。学校のテストで良い点を取るためだけじゃなくて、社会の仕組みを理解したり、人の気持ちを考えたりするためにやるんだよ。」
メイちゃんはしばらく考えてから言いました。
「でも、会社を作るのって難しそう…」
「うん。もちろん簡単じゃないよ。でも、今のメイちゃんにできることは、知らないことを一つずつ知っていくこと。好きなことに近づくには、それが一番なんだ」
そう話すと、少し目が輝いたように見えました。
終わりに
思い返せば、学生時代の勉強は辛かったし、サラリーマン時代のスキル獲得の学びは、辛くはありませんが、でも「やらなければいけない勉強」というものでした。
ですがFIRE後の学びは、「自分が本当に知りたいこと」を自分で選んで学べる、そんな贅沢な時間になっています。
そこには苦痛はなく、むしろ喜びさえあります。
メイちゃんにとって今は“推し”が一番の関心事。
これだけ熱量があるなら、推しと会うといった夢の入口として勉強に万進することから、きっと世界を広げていけるはずだと、信じています。