FIRE(経済的自立と早期リタイア)のデメリットとして「社会とのつながりがなくなる」という声をよく聞きます。
正直、この意味がまるでわかりません。
確かに、仕事を辞めると職場の人間関係は激減しますが、それは本当に「社会とのつながりの喪失」を意味するのでしょうか?
そもそも、「社会とのつながり」とは何を指すのでしょうか?
そこで今日は、漠然と「なくなる」と考える前に、その要素を整理し考えてみました。
「社会とのつながり」は3つの要素に分けられる
「社会とのつながりがなくなる」と言われるとき、以下の3つの要素が混同されていると思います。
① 物理的接点(人との交流)
仕事を辞めると職場で交わされた定期的な会話、飲み会などはなくなります。
また、仕事を通じて人と新たに知り合う機会も無くなります。
ですがこうした会話程度なら、そこらの定食屋でも交わせますし、より深い間柄での会話が望ましいのなら、趣味のコミュニティでも可能です。
物理的なやりとりが減ることが「FIREのデメリットだ」と言うほど大そうな事とは個人的には思えません。
② 社会的な役割(責任や貢献)の喪失
仕事においては〇〇業務の担当とか〇〇係長など、業務の種別や役職としての役割があります。
FIREはこうした会社の役割を捨てることになるので、仕事を背負っているという気概や責任も、あるいは誰かの役に立っているという貢献も無くなります。
これによって自分のアイデンティティを失うとか、「誰かの役に立っている」という実感が減るというのはあるのかもしれません。
ですがそんなものはFIREではなく定年を迎えても同じことですし、そもそも日々の業務で「役立っている」なんて感じるほど余裕があるものかも疑問です。
仮に喪失したところでボランティアであったり家族のサポートなど、自分が何かの社会的な役割を持つことも可能なわけです。
③ 心理的なつながり(共感や理解)の喪失
FIRE後はライフスタイルが大きく変わったり、あるいは興味や価値観も変化したりすることで、話が合う人が減るということがあります。
ただこれも、FIREに限らず、例えば結婚をすれば独身仲間と疎遠になったり、子供が卒業すればママ友、パパ友と疎遠になったり、転職しても職場で共に働いた仲間と疎遠になるわけです。
FIREに限った問題でもありません。
FIRE後の新たな自分の立場や考え方をもとにお互いに理解し共感できる仲間を見つけることができないわけでもありません。
FIREしても「社会とのつながり」は喪失しない
こうしてみると、「社会とのつながり」と言っても、単に人と会話することなのか、社会的な役割を持つことなのか、それとも共感できる仲間がいることなのか・・ で意味が異なります。
また、FIREが社会とのつながりを断絶する特別なイベントではなく、ライフイベント(卒業、就職、転職、結婚・・)の1つでしかありません。
「つながりの形が変わる」なんてことはFIREに限った話ではありません。
実際、FIREによって「利害だけで結びついていた人間関係」というつながりを淘汰でき、より大切なものが残される、そんな選別メリットもあるわけです。
終わりに
以上、FIRE後に「社会とのつながりがなくなる」というのは曖昧で、人とのコミュニケーションなのか、社会的役割か、共感できる仲間か、その捉え方で意味は大きく異なります。
そうした「社会とのつながり」は、FIREというライフイベントに限らず人生ステージのどこにでも起こりうる「社会とのつながりの変化」でしかありません。
しかも、全ては自分がどう行動するかでいかようにでもなるものです。
「社会とのつながりがなくなる」とデメリットとするのか、「自分の思うままの社会と関わり方を自由に選べる」とメリットとするかも、本人の捉え方次第です。
それゆえFIREのデメリット論に振り回されず、自分が「どのつながりを大切にしたいか?」を考える機会として冷静に考えて必要な準備をするほうが、100倍、意味ある結果につながると思います。
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