リタイア生活に入ると、「ストレスから解放された」という感覚は確かにあります。
会社員時代のように、時間的な制約もなければ、無意味な人間関係に悩まされることもありません。
「自分のペースで一日を組み立てられる」日々は、想像以上に快適です。
とはいえ、すべてのストレスが消えるわけではありません。むしろ「ストレス源が変わる」と言ったほうが正確です。
今日は、FIRE生活でどんなことがストレスになるのか、その実感を共有したいと思います。
結論としては、「人間系ストレス」はさして影響しませんが、「システム系ストレス」はとても大きな影響がある、ということです。
会社員時代の人間系ストレス
会社員時代のストレスの多くは、人間関係に起因するものでした。
行事的な飲み会や休日の接待ゴルフなど、一時的ながら面倒なストレスです。
これは、短期に解消できるので、行事の開催前までは憂鬱だったり面倒ですが、終わればさらっと忘れられます。
そしてもうひとつは、日々の業務で他者の発言や行動に気を配り続けるという、恒常的な人間関係の緊張感です。
いわば、「人間関係センサー」を日々使い続けてセンサーが疲弊し、またそのデータを蓄積するメモリーも「メモリーが一杯です!」となっている感じです。
リタイア後の人間系のストレス
一方、会社生活の日々から解放された今は、人間関係センサーの蓄積メモリーも解放され、こうした恒常的なストレスはすっかりなくなります。
それゆえ、FIRE後のいまは人間に由来するストレスには寛容になったと感じます。
レジで手際が悪くても、「急がなくていいよ」と思えますし、子どもが泣き叫んでいても「元気があっていい」と思えるようになりました。
それだけ会社員時代は、人間関係のストレスで心の容量が逼迫していたのでしょう。
ということで、リタイア後は人間系のストレス源というのはほぼなくなりました。
むしろ際立つ「システム系ストレス」
一方で、FIRE後に顕著になったのが、システム系のストレスです。
例えば、あるスーパーのセルフレジで、決済アプリを立ち上げた際に広告が表示され、決済までの動作がワンテンポ遅れることがあります。
そういう場面に遭遇すると、「この非合理な仕様はなぜ改善されないのか?」とモヤモヤします。
レジ待ちの行列を減らすには、スムーズな決済フローの方が優先されるはずです。
それによって、レジ設備の余剰投資も削減でき、顧客満足度もあがります。
それを広告表示で邪魔するのは、マーケティング部門の都合に過ぎず、まるで全社最適の視点になっていないと思えてなりません。
リタイア後はこうした非人間系、つまり「システム系ストレス」に対してめっきり耐性が無くなったと感じます。
なぜ気になるのか?選択肢の落差
なぜこのようなシステム系のストレスに過敏になるのかといえば、それは「選択肢がない」からです。
普段のFIRE生活では、時間の使い方も行動範囲もすべてが自分次第。旅行も外出も、どこへ行くか、何をするか、すべての選択が可能です。
だからこそ、「この方法しか使えない」と強制される状況に出会うと、強い違和感を覚えてしまいますし、それが人間の限界ではなく、改善可能な“仕組みの設計ミス”だと、とても嫌に思うのです。
これは、FIRE生活において「不合理を我慢する必要がなくなったこと」による反動かもしれません。
逆い言えば、会社員時代、納得のいかない仕組みやシステムに対して「仕事だから」で割り切っていた面があるのでしょうね。
終わりに
FIRE生活では、「人」には寛容になれますが、「システム」には厳しくなる。
これが、僕が実感するFIRE後のストレス構造の変化です。
ストレスの総量は確実に減ります。ただし、何にストレスを感じるか、その“対象”は変わるのです。
そうした感覚の変化もまた、FIREという生活の面白さの一部なのかもしれません。
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