現役時代の賃金上昇カーブは投資成績に勝てたか検証した~賃金上昇率vs投資利回り

2023-01-08

セミリタイア 仕事 投資

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昨今「上がらない賃金」について社会の批判が大きくなっています。

岸田総理も「何としても賃上げ実現」と力んでいます。

電機メーカーの組合は「2023年春闘は前年の2倍超にベア要求増額する」と言っています。各方面で給与が上がる方向のニュースが出ています。

2022年3月でリタイアした僕からしても、元気で明るい日本の将来のために、現役の人の賃金は上がるべきと思います。

今回、僕が30年間の”サラリーマン労働力”で得た賃金上昇カーブが、自分の投資利回りを上回るか、その勝敗を試算しました。

結論からいえば、賃金上昇カーブの大敗です。

勝敗はさておき、労力に見合った賃金上昇であったかを振り返って考えてみます。

新入社員からリタイアまでの賃金上昇率

賃金上昇率の算出方法は、新入社員の時の年収とリタイア最終年の年収をもとに、その差分を年平均成長率(CAGR)で計算しました。

その結果、年平均で4.91%の成長率でした。

厚生労働省の賃金引上げ等の実態に関する調査では、80%の企業が賃金を引き上げており、その率は1.6~1.7%となっています。

その数値からすると、僕の成長率は少し大きく感じます。

ですがここにはトリックがあります。新入社員時にはそもそも給与が安いため、相対的に上昇率(成長率)が大きくなります。

投資における利回り

投資についての算出方法は、投資に回した資産を対象に、回収時点から投資時点の増額差分を当該期間、複利を前提とした成長率で割り戻し、年平均成長率を算定します(=CAGR)。

その結果、投資全体としては7%になりました。

個別銘柄の株や投資信託(確定拠出年金で退職時に解約分)などは平均を上げていますが、不動産投資(売却した物件のうちキャピタルゲインと賃料の総額で計算)はこれを下げています。

なお、定期預金や元本保証型の運用商品、稼働中の不動産収益などは入れていません。

僕の賃金上昇率の納得感

サラリーマン時代の30年間の平均賃金上昇率が4.91%は、投資で得られる7%に比較すると見劣りします。

しかも、新入社員時は「今を我慢すれば将来は給与がぐっとあがる」と、果実を先延ばしにされる形で安い給与に甘んじていました。

それゆえ、投資が7%に対し4.91%という賃金上昇カーブは、相対的には微妙です。

しかも、税金を考えると、額面の給与に課せられる税金が投資の諸税よりもぐっと高いので、実質的な手取り比較をすると、両者の差は広がります。

よって経済的な観点では、賃金常用カーブの納得感はないと感じます。

ただ、サラリーマンには賃金のほか、将来受け取る年金があります。

その年金受取額を含めた総合計で考えると、経済的な納得感としてはトントンかもしれません。

賃金上昇率に隠れたメリット(経済面以外)

つぎに、賃金上昇率の裏に隠れた非経済面のメリットを考えてみました。

サラリーマン生活で、「自分を成長できた」「いろいろな経験ができた」ということに加え「スキルを得た」や「いろいろな人と知りあえた」もあります。

投資のための原資を稼ぐうえでも、サラリーマンとしての労働は必要不可欠です。

こうして考えると、経済的には(年金も含めて)投資利回りとはトントン。ただし、お金以外のメリットとしてのら経験やスキル、人脈を得るなどを踏まえると、トータルとしては、なかなか良いモノだとは納得します。

r>gの法則について

ところで、賃金上昇率と投資等の資産所得の利回りを比べて、後者が高いのという結果が出ましたが、これはいわゆる「r>g」と一致してしまいます。

r>gとは「21世紀の資本」の著者であるトマ・ピケティ氏が導いた公式です。

rは資本収益率(Rate of Returen on Capital)、gは経済成長率(Economic Growth)を表しています。

つまり、株や不動産、債券などへの投資による資本収益率がつねに経済成長率(経済成長に連動した労働収入の伸び)を上回るということです。

だからといって、「労働収入が効率悪いから止めろ」というものではないと、個人的に思っています。

また、トマ・ピケティ氏のポイントも、富の再分配が必要だという主張であって、労働が悪いということでもありません。

終わりに

サラリーマンが一生懸命に仕事をして得られる賃金上昇に比べると、株や不動産などの資本所得で得られる利回りは、楽なものです。

ですが、サラリーマンが年収を上げる努力をすることで、賃金上昇率があがるだけでなく、年金所得も増えたり、経験やスキル、人脈を広げるなど、さまざまな有形無形、短期長期のメリットもあります。

そして何より、想定内の賃金上昇カーブがないがゆえ、投資も活用することで、r>gというよりも、r+gとして資産を増やすことでアーリーリタイアが可能となる資産に早く到達できたと思っています。

自己紹介

2022年3末に完全リタイア。FIREの自由で創る”自分らしいセカンドライフ” としてFIRE-Driven Lifestyle Innovationをテーマに、日々の気づきや経験を発信して精神的に豊かなFIREを応援します。
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