社員に優しく聞こえる(が賃金カット)スローガンTop3を振り返えった

2023-01-09

仕事

t f B! P L

僕が現役時代に経験したさまざまな会社の施策やスローガン。

そのなかで、本来の崇高な狙いとは裏腹に「(賃金カットにつながってしまった残念な)社員に優しく響くスローガン」がありました。

今回、そんな残念スローガンTOP3を時系列に取り上げて切り込んでみます。

それは、①頑張る人を評価優遇します(=成果主義)、②ワークライフバランス、そして③高齢者が活躍できる場を(定年延長)です。



そこにある「会社が裏技的に使っている人件費カットの手法」も理解しながら、自身を守る人生サバイバル力を身につけたり、社会の実態を知るきっかけになればと思っています。

頑張る人を評価優遇します(=成果主義)

バブル崩壊の1990年代後半、企業がこぞって採用したのがこの「頑張る人を評価優遇する」という成果主義です。

成果主義の前は、「勤続年数」や「年齢」に応じて待遇を決める「年功序列」という制度でした。

成果主義の目的と運用

成果主義は、年功序列を排除し、若手社員を中心にパフォーマンスの高い仕事をしてもらうよう、モチベーションの向上と活気のある組織作りを目的としていました。

僕の会社では年齢給の要素を残しながら、年収の2割相当は「成果の度合い」で変動するようになりました。

その結果、同等賃金グループで、成果を出したトップ30%の社員の給与は年功序列の時代よりも同等以上となりましたが、残り70%の人は微減~大きく減少です。

つまり全体の人件費が圧縮運用されていました。

成果主義の弊害

表向きには「成果給であがるかも」という期待を持たせる制度でしたが、給与設計上は人件費を削減する制度として使われていたのです。

また、成果主義の制度の副作用として一部の猛烈な社員が自身の成果を得るために、残業を惜しまず働くようになりました。

そうした社員が多くなればなるほど人件費が膨れ上がってしまうという問題も出てきました。

もちろん、本来の目的通りに成果主義に移行し、組織を活性化し利益をもたらした会社もあります。

ですが、実質的な賃金を減らしたり、過酷な労働を招き会社もそれを放置するという実態もあったのです。

ワークライフバランス

そんな過重労働を緩和させるかのように登場したのがワークライフバランスです。

ワークライフバランスとは、“仕事”と仕事以外の“私生活”の調和をとり、その両方を充実させる働き方や生き方をすることで、相乗効果を生み出すことです。

1人1人の社員の「生きがい」や「やりがい」を引き出すものと期待されました。

ワークライフバランスの目的と運用

ワークライフバランス会社の狙いは、

① 私生活が充実することで仕事の生産性向上につながる、

②優秀な人材を確保する、

③企業の優良なブランドイメージをつくる、

といったところです。

そのために、会社は社員の長時間労働を減らし、年次有給休暇の取得を増やし、社員が私生活に時間を費やせるよう、後押しをします。

ワークライフバランスの弊害

そんなワークライフバランスの問題は、残業時間を減らすことを目標にし、その目標を数値してモニタリングし、数値目標の達成を細かく管理指示する、ということから生まれます。

やるべき仕事量は変わらないのに、社員の残業時間がモニターされていて、それが増えると中間管理職は上層部から怒られてしまうのです。

そこで管理職は部下に対し「帰れ、帰れ」と言いうようになります。

言われるままに帰る一般社員の実態は、こうして残業時間が減り、残業手当が減り、遊ぶ原資もなくなり、自宅に持ち帰る仕事も増え、私生活は圧迫される。一方で会社では「残業せずに仕事を完遂させよ」とのプレッシャーでぎくしゃくする。

こんな本末転倒な状況を作り出してしまう弊害があるのです。

ワークライフバランスは、仕事のやり方を効率化したり、不要な仕事を断捨離することで残業時間を減らすべきところ、残業をしない管理が、ワークライフバランスの目的化してしまった結末です。

『仕事量 変えずに「帰れ」 という上司』

そんな川柳で笑える程度なら良いのかもしれません。

「残業をしなくて楽な日々を送っているのだから、この仕事ぐらい耐えろ」とパワハラ度を増す鬼上司が出てきたりしたらさらに大変です。

ワークライフバランスも素晴らしいアプローチで、実際にそれによって社員満足度があがったという会社も多々あります。

ですが、その目的や運用を間違うと弊害でしかありません。

高齢者が活躍できる場を(定年延長)

昔は55歳が一般的な定年でしたが、若年層の人口減や政府も財源の欲しさから「高年齢者雇用安定法」が制定され、2025年から「65歳までの雇用確保」が企業に義務づけられました。

そこで会社は「高齢者が活躍できる」をスローガンに定年延長を図ります。

定年延長の矛盾と弊害

企業の本音は、給与が高止まりしている高年層には早々に会社を去って欲しいものの、政府制定のルールを守らないわけにはいかず、苦し紛れに定年延長をします。

本来は会社にはいなくなっているはずの大量の高齢者、その人件費を準備できず、役職定年や出向は良くありますし、一部は窓際族として追いつめる会社もあるようです。

その一方、定年までまだ年数のある社員の給与制度も早々に見直します。

僕の会社の場合は、60歳から65歳へ定年延長をするかわりに、本来60歳まで払われる相当分の年齢給は減らされ、60歳から65歳までの5年間で払われるよう、間延びされて調整されました。(厳密には65歳まで働けば多くはなりますが・・でも姑息ですよね)。

こうして給与が減ってしまいます。

さらなる弊害

こうした定年の延長の結果、「働かないオジサン」が生まれることになりました。

働かないオジサンとは、周囲の期待する役割に対して成果や行動が伴なわない定年手前の社員のことです。

存在感が薄く、妖精さんとも呼ばれます。

決して、働かないわけではありませんが、上がりきった給与がその働きに見合わないということで批判されています。

終わりに(僕の主張)

こうしてみると、時代の変遷で必ず起こる「制度の見直し」というなかに、心地よいスローガンに隠れ、人件費操作などがあったりと、会社や組織は侮れない生き物です。

僕がサラリーマンをした30年間をとっても、絶えずこうした課題や問題があります。

僕の主張は、会社や組織は正義を持て、というものではありません。

こうしたことが起こるのは当たり前だと捉え、自分なりの防衛策を取れるように思考方法やスキル獲得に柔軟になることです。

成果主義への対処としては、しっかり業務スキルをつけて転職力、人材としての市場価値を高めること。

ワークライフバランスで時間ができれば副業力を身に着ける。

定年延長となれば、リタイア(できれば早期退職制度も活用)して自分で稼ぐ。

会社や組織が侮れないことをするならば、こちらも負けないだけ「侮れない自分」になって処世していくことが大事です。


自己紹介

2022年3末に完全リタイア。FIREの自由で創る”自分らしいセカンドライフ” としてFIRE-Driven Lifestyle Innovationをテーマに、日々の気づきや経験を発信して精神的に豊かなFIREを応援します。
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