”夫は小遣い制”の是非-世界が驚く夫婦慣習をマッピングしたらこうなった

2023-01-23

家族 日常の雑記

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夫婦間で家計管理を分担する方法は大きく3つありますが、そのなかで「奥さんが家計を管理し、旦那さんはお小遣い制」が突出して多いのが日本です。

少し古いデータですが55.7%がこれに該当します(チャート参考)。

そういう僕もお小遣い制でした。

そんな夫婦分担のやり方を海外で口にすると、おおかた、「おまえは奴隷か~!」と驚かれます。特にアジアより欧米諸国ではそれが顕著です。

今回、夫婦間での家計管理について考えてみます。

先日の記事 ”結婚後に作った財産は誰のもの?-財産分与の分割ルールと揉めないコツは何だったか” でこの役割分担の話題を出しので、海外諸国との数字上での違いを調べたものです。

夫婦のお金を管理する方法‐3つのお財布

夫婦がお金を管理する方法としては財布は3つのパターン(*)がでます。

財布1つ:1つの銀行口座で家庭の収入、支出、貯蓄を管理する。妻によって管理され夫が小遣い制を「妻が管理」としています(→チャートの縦軸で利用)

財布2つ:夫婦が生活費の項目(家賃、食費、電気代とか)の担当を決め、それぞれの財布から該当項目を支払う個別管理。よって夫婦の共有口座はもたない。

財布3つ:夫婦共有口座を作り(=「共同口座」)そこから生活費等の支払いや決済をする。夫婦それぞれの収入は自分の口座で受け取り自由に使う。(→チャートの横軸で利用)

*パターンは、あくまでも考え方の説明なので、「共同口座を複数の銀行に作る」といった個別事情や運用事情は言及していません。

なお、欧米などの感覚でいけば、夫婦とはいえそれぞれが稼いだお金はそれぞれが管理するものだという認識が強いので共同口座を作ることが多いです。(③の方法)

世界的にも稀な日本の「妻が管理」

こうした「妻が管理」を横軸、欧米で当たり前といっていた共同管理(縦軸%)でチャートに表してみました。

すると、日本は世界でも特異なる位置(赤色)にあり、「妻が管理型」が55.7%と半数以上を占めています。これはその調査対象35カ国で最も高い比率で、韓国とフィリピンが続きます。スウェーデン(表には掲載せず)はわずか1.9%です。

また、日本では他国と比べて「共同管理」も少ないことがわかります。



(情報源:ISSP(International Social Survey Programme)2012より筆者が独自に作成)

共同管理という方法について

欧米諸国に多くみられるのが共同管理です。これは

・「お互いに家計を負担しながらも、自分のお金は自分で管理をしたい」

・「夫婦それぞれが経済的に独立して公平な関係を維持したい」

・「生活に関わる引落などの一切を1つの口座から支出し、管理を楽にする」

といった動機で共同管理の口座を作って運用しています。

欧米の銀行では、共同名義(JointAccount)で口座を作れる国も多くあることから納得です。日本だと夫婦一方の名義でしか作れませんし、作れるとしても後見人として認知問題があるケースぐらいです。

なぜ日本では妻が財布の紐をにぎるのか

一方、日本において「妻が管理」が妥当だと思う世帯が多い理由は、

・「食費や生活費全体の実態を掴んでいる妻が支出をやりくりしたほうが効率が良い」

「旦那はお金の使い方がルーズだから」

・「夫は平日銀行に行くことができないから」

といった感じです。

こうしたやり方を、僕がやっていると海外で話すと、「You poor boy!」と皮肉られます。

Poorは「貧しい」(貧困)と「可哀そう」(同情)の2つの意味があるので、まさに両方にドンピシャの僕は、poor manよりpoor boyということです。

ちなみに、生活費を「妻が管理」ではなくその逆の「夫が管理」、つまり「夫が妻に小遣いや生活費を渡す」は日本で17.3%と少数派です。

これが主流の国がまたあって、夫の権力が強いトルコやメキシコ、韓国が高い割合です。まあ確かにメキシコのバーにいくとテキーラを小さなグラスにいれて一気に飲む「男飲み」を自慢しあう軍団にも出くわすので、男の男意識の高さは、わかる気もします。

夫婦仲はお金を使う決定権と金銭感覚

ところで、夫婦が合意のうえで適切に管理運用されているならば、それは「妻の管理」であろうが「夫の管理」であろうがスムースに事が運びます。

最大の不幸は、そうした管理方法より使い方絡みです。

ある大きな買い物でも「買うか否か(決定権)」と「その使い道や金額が妥当か(夫婦の金銭感覚)」です。

例えば、妻にしろ夫にしろ、何か高い買い物をする時に事前に相手に相談をして承諾を得てから買うなど、共同決定をしていれば、概ね、家族生活でのフラストレーションは溜まりません。

そのとき、勝手に買ってしまったり、金銭感覚が大きく違って納得感がなかったり、そういったことが喧嘩や離婚の原因ともなりかねません。

なにより、コミュニケーションを取ることも、金銭感覚のずれはお互いに歩み寄っていくことが、何よりも大事ですね。

そういった不自由が嫌で、ましては給与も上がらない先行きならば「少しでも多く自由にお金を使える独身の方が良い」と非婚化が進んでしまいますが・・・。

終わりに

日本も共働き家庭が増えてきたとはいえ「共同管理型」は35カ国中最低の11.2%、また「妻が管理」は55.7%と、家計管理は世界的にも特殊だというのがチャートからわかります。

夫婦共に十分に稼ぐパワーカップルが増えると共同管理型も増えていくように思えます。それは女性の社会進出が以前よりも進みつつあるので、きっと増えていくでしょう。

また、どちらか一方が大黒柱として働く(もう一方はパートなどで働く)なり、大黒柱の稼ぎが家計的に少なければ、もう一方が頑張って働いて補う、という家族意識が高いとも言えます。

これは日本の良さとも感じるので、突出した位置にいる日本、それが悪いことだ、という短絡的なものでもなさそうです。

自己紹介

2022年3末に完全リタイア。FIREの自由で創る”自分らしいセカンドライフ” としてFIRE-Driven Lifestyle Innovationをテーマに、日々の気づきや経験を発信して精神的に豊かなFIREを応援します。
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