FIREが良いか悪いかではなく、なぜ人によって評価がここまで分かれるのか。FIRE4年が経過した僕なりに、その背景にある「評価軸の違い」を言語化します。
FIREの後悔は「幸福の測り方」で決まる
FIREの後悔は、FIREという選択そのものから直接生まれるわけではありません。
むしろ、自分がどの基準で人生の幸福を評価しているかが曖昧なままFIREを選ぶことで、後から違和感として立ち上がってくるものだと感じています。
僕は、FIRE後の幸福評価には大きく分けて2つの座標軸があると考えています。
環境差分型~サラリーマン vs FIRE
一つ目は、環境差分型の評価軸です。これは、FIRE生活の良し悪しを「サラリーマン時代と比べてどう変わったか」という相対比較で測る視点です。
ストレスは減ったか
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制約や強制は減ったか
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嫌なことを避けられるようになったか
いずれも減点方式であり、「避けられた苦痛」が多いほど幸福度は上がります。
サラリーマン生活に強い不満を持っていた人にとって、FIREは構造的に後悔が少ない選択になりやすいといえます。
お金には「嫌なことをやらずに済む」という明確な価値があり、その回避効果が大きいほど、人生は好転したと実感しやすいのです。
ただし、この軸には明確なリスクもあります。
FIRE後の後悔要因は主に「お金が足りないこと」に集約され、節約や我慢、不安といった別種の忍耐が日常化します。
一方で、お金以外の要素については、「暇でも忙しいよりまし」、「孤独でも嫌な人間関係よりまし」と、受容可能な場合も多いといえます。
未来基準型~分岐した自分同士の比較
もう一つが、未来基準型の評価軸です。
こちらは、「理想の未来に近づいているか」という観点から、FIREという選択を評価します。
比較対象は過去の自分ではなく、
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FIREを続けた未来の自分
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FIRE以外の選択をした未来の自分
という、分岐した可能性同士の比較です。
この軸では、評価は常に「自問」として立ち上がります。
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この自由を、自分はきちんと使えているのか
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目指していた状態に近づいているのか
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別の選択のほうが納得できたのではないか
比較対象が「存在しない未来」であるため、構造的に不安や後悔が生じやすいともいえます。
例えば、
・会社員の方が安心だった
・肩書があった頃の方が楽だった
・大きなプロジェクトに関われなくなった
・社会との接点が減った
といった不安や不満です。
一方で、社会的な評価軸を十分にやり切った、あるいは仕事としての限界を感じている場合には、サラリーマンとして描く未来より、FIRE後に描く未来の方が大きく感じられることもあります。
正解・不正解ではなく「配合比率」の問題
重要なのは、どちらの評価軸が正しいかではありません。多くの人は、この2つを異なる割合で併せ持っています。
環境差分を重視する人もいれば、未来基準を重視する人もいる。
FIRE後悔の多くは、この自分自身の「評価軸の配合比率」を把握しないまま意思決定してしまうことから生じます。
これは、地図上で自分の現在地を知らずに移動するようなものなので、自分の位置情報を理解することが、後悔を避けるための前提条件になります。
終わりに
FIREは幸福を保証する選択ではありません。
FIREはむしろ、自分がどの座標軸で人生を評価しているのかを、強制的に可視化する選択だと思います。
次の記事では、僕自身がこの2つの評価軸をどのような割合で持ち、どのように「後悔しない未来」を設計しているのか、個人的なケースとして、もう一段具体的に書いてみたいと思います。
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