最近、上場企業で「早期退職募集」が急増しているというニュースを目にしました。
しかも前年比2倍。赤字企業だけでなく、黒字の大企業までもが積極的に制度を導入しています。
上場企業の「早期退職募集」が前年比2倍に急増――パナソニックHDなど黒字・大手にも構造改革の波
これは単なるリストラではなく、社会の基盤が変わりつつある兆しだと思います。
今日は、この動きをFIRE(早期リタイア済)という立場から綴ります。
企業が早期退職を増やす「本当の理由」
かつての早期退職は「苦しい企業が人件費を削る」ための制度でした。しかし今は事情が異なります。
-
事業構造の転換
-
DXによる人材の入れ替え
-
終身雇用モデルの限界
-
成長領域への大胆な資源シフト
黒字企業であっても、未来に向けて組織の最適化を進める時代に入りました。
これはつまり、「会社が社員の人生に長期的な責任を持つ」前提が崩れてきている
というサインです。
「会社が個を守る時代」から「個が選ぶ時代」へと社会の価値観が変化していて、FIRE的な生き方とよく響き合っていると感じます。
制度があれば僕も使ったか?と自問した
このニュースを見た時、ふと考えました。
「もしあの頃、制度があったら使っていただろうか?」
答えは、おそらく No です。
当時の僕には、
-
サラリーマンとしての役割をまだやり切っていない感覚があった
-
会社との区切りを自分でつけた実感が持てていなかった
-
「辞める」という選択を自分の意思として扱える心境になかった
という背景に加え、ちょうど離婚を経験し、新たな居場所や役割を自分で取り戻す必要があった時期でもあり、制度を前向きに使えるコンディションでもなかったと思います。
もしそんな心の混乱を抱えたまま制度を利用して辞めていたら、どこか「逃げた」という後悔が長く尾を引いたはずです。
制度はたしかに「優しい出口」ですが、受け取る心の準備ができていないと、むしろ苦くなっていたと思えます。
制度を使わずにFIREしたことを後悔しているか?
では、制度もなく僕はFIREに至ったわけで、これを不運とか不幸だと思うか?
この答えもおそらく No で、制度がなかったからこそ、僕は
-
自分の意思で人生を再設計できた(主体性)
FIREの自由がもたらす選択肢を正しく選び続けている(自由の質)
-
“与えられた出口”ではなく、“自分で開けた出口”を選んだと(自律)
を得られました。
もし制度を使って辞めていたら、「自分で獲得した自由」という感覚も希薄になり、今のようなFIRE観を語ることもなかったと思います。
僕にとって「自由>お金」という価値は譲れない基準です。
制度を使うべき人
ただし、早期退職制度が有効に機能する人も確かにいます。
-
仕事を完全にやり切っている、あるいは環境が劣悪
-
制度で得た資金で、すぐにやりたいことがある
-
仕事よりも優先すべき家庭・健康・ライフプラン上の理由がある
ただ、僕は当時「自分の力で立ち直り、自分の役割を再構築する必要があった」だけの話です。
終わりに
早期退職募集が前年比2倍に増えたという事実は、社会が「会社依存」から「個人選択」へ大きく舵を切り始めた証だと思います。
制度には経済的メリットがありますが、その代わりに何を失い、何を得るのか は人によって異なります。
僕は制度ではなく、自分の意思で辞めたからこそ、いま味わえている“自由の質”があると感じています。
一方で、制度を使って早く新しい人生に踏み出す自由もまた、立派な選択です。
大切なのは、
「その選択が、自分の人生の流れにフィットして納得できるかどうか」
それだけなのだと思います。
↓

