リタイア生活に入ってから、お金の使い方における「浪費」と「投資」の境界線が大きく変わったことに気づきました。
よく「リタイア後は体験にお金を使うようになる」と言われますが、それは表面的な話にすぎません。
実際には、同じ交友や旅行でも、会社員時代とはまったく異なる意味を持つようになったのです。
会社員時代には必要経費だと割り切っていた支出が、今では人生の質を高める大切な投資に変わる。逆に、当時は贅沢だと思っていたものが、今振り返ると何の価値もない浪費に感じられる。そんな価値観の転換が起こりました。
今日はこの変化について整理してみます。
会社員時代の交友=必要経費
正直なところ、僕は会社員時代の飲み会がさほど好きではありませんでした。
ですが、会社組織にはどこか独特の「最後までつきあえるかを試される場」といった観念があり、避けては通れませんでした。
部門全体の飲み会では体力勝負のような空気が漂い、同僚との個別の飲み会でも「人間関係を円滑に保つ」という目的が先立ちます。
つまり、そこにはリターンの少ない必要経費の側面しかありませんでした。
安い居酒屋で十分だと思っていましたし、三次会まで流れてタクシー帰りになるようなお金の使い方は、当時から「浪費」としか感じませんでした。
結果的に会社を辞めた今でも、あの場に残るものはほとんどなく、やはり期限付きの経費だったと感じます。
リタイア後の交友=人生のうるおいへの投資
しかし、リタイア後の交友はまったく意味が変わりました。
会社の人間関係という制約が消え、友人や仲間と過ごす時間は生活に欠かせないうるおいになっているからです。
そこに無理や我慢はなく、純粋に心地よさや楽しさを共有する時間へと変わりました。
だからこそ、場所選びの基準も大きく変化しました。
「安ければ良い」という発想は消え、「快適に過ごせるか」、「相手と特別な体験を共有できるか」を重視するようになったのです。
結果として、落ち着いたカフェや少し高めのレストランで過ごすことも、人生の豊かさを高める投資だと感じています。もはや必要経費という感覚はありません。
会社員時代の旅行=リフレッシュの必要経費
旅行も同じです。
会社員時代の旅行は、基本的に仕事の疲れを癒すためのリフレッシュでした。
高級旅館や温泉に泊まることもありましたが、目的はあくまで「仕事に戻るためのエネルギーチャージ」であり、これも交友と同じく期限付きの投資にすぎませんでした。
ただ、今振り返ると、温泉旅館に泊まったこと自体しか覚えておらず、「どんな風呂だったか」、「料理や景観はどうだったか」を思い出せない旅も少なくありません。
こうした旅行は、当時は贅沢だと感じたのに、今となっては浪費に近い支出に思えてしまいます。
リタイア後の旅行=記憶に残る体験への投資
リタイア後の旅行は、ストレス発散の要素が消えたことで基準が根本から変わりました。
今の僕にとって旅行はすべて投資です。
なぜなら、それは人生を豊かに感じさせ、後に思い出として残るからです。
ただし、記憶に残らない旅行は浪費に近いと考えています。
「海が一望できた」、「地元の食材を存分に味わえた」、「露天風呂から風景を楽しめた」・・そうした体験こそが、後に振り返って心を潤す価値のある投資になります。
基準は「リフレッシュできるか」ではなく、「思い出として残るかどうか」に完全に変わったのです。
終わりに
振り返ってみると、リタイア後は交友も旅行も「浪費」と「投資」の境界線が劇的に動きました。
会社員時代は必要経費として割り切っていた支出が、今では人生の質を高める投資に変わる。その一方で、かつて贅沢と感じたものが、今では無価値な浪費に見える。
つまり、会社員時代の「ストレス」や「必要経費」という特殊な前提こそが、支出の感覚を歪めていたのです。
それをリタイア後に実感できたことが、僕にとっての「浪費と投資の境界線の変化」であり、思わぬ異変です。
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