FIRE(経済的自立と早期リタイア)を実行するとき、よく語られるのは「いくら貯めたか」とか「どんな生活をするか」です。
でも実はもう一つ大切なことがあります。それが「辞め方」です。
「会社をどう辞めるか」は、単なる形式的な話ではなく、FIRE後の精神的な満足度に大きな影響を与える「入り口の設計」だからです。
今日はこうしたFIRE後の生活を良くする「辞め方」について綴ります。
2つの辞め方タイプ
僕が考えるFIREの「辞め方」は大きく2つに分かれます。
A. 不満型:会社の「マイナス部分」の貯蓄で辞める
「上司と合わない」、「評価されない」、「働き方が合わない」といった理由を材料に、「もう辞めるしかない」と気持ちを高めていく方法です。
B. 目的型:FIRE後に「やりたいこと」を起点に辞める
「自分の時間を取り戻したい」、「新しい挑戦をしたい」、「家族との時間を大切にしたい」といったポジティブな理由から辞めるパターンです。この2つは、どちらが正しいという話ではありません。また、実際はこの2つの混合型が多いと思います。
自分の「辞め方」が自分らしいかどうか
FIRE後の生活で満足感や安定感を高めることは、この2つによっていかに「辞め方における自分の納得感」を作るかが大きく影響します。
例えば、仕事において、誠実な人間関係を丁寧に築いたり、信頼を大切にしてきた人が、怒りや不満だけで会社を去ると、自分の中に「らしくない違和感」が残るかもしれません。
「あんな辞め方をしなくても良かった」とか、「最後に感謝の一言でも伝えたかったし、感謝もされたかった」といった後味の悪さがといったものです。
そんな後悔が芽生えると、それがFIRE後の「心のざわつき」につながってしまいます。
つまり、「辞め方というのは、それまでの自分の価値観、強味、スタイルと整合を取ること」がとても重要になるということです。
言い換えると、会社生活での自分らしさと辞め方の「一貫性」がFIRE後の安定感や安心感を支えるのです。
辞め方の指針を整理する
では、どうやって自分に合った辞め方を選ぶか?
僕なりに3つのタイプに分けて整理してみました。
それは「優先すべき辞め方の配分(不満脱出型:目的型)」の組み合わせパターンです。
なお、僕自身は分類では「誠実・人間関係重視型」か、かなり「野心型・自由志向型」に近いと感じていて、その割合は(不満脱出型:目的型)=(1割:9割)、もしくは目的型=10割だと思っています。
もちろん、不満型が10割で「崩壊寸前・環境劣悪型」というのも自身のメンタルやフィジカルの生存戦略としては重要で、そうした劣悪な環境で無理に「良い人」を演じても潰れてしまうだけです。
なので、どのタイプであっても「自分の強みや信条を壊さない、環境に潰されない辞め方」は重要で、それがFIRE後の納得感や誇りに繋がるのです。
終わりに
FIREの成否は、実は世間で語られる「お金の問題」よりも、納得感や一貫性が大事だと思っています。
自分の内面が安定していて、人生の転換点に自分らしさを持ち込めたかどうか・・・それがFIRE後の幸福感を大きく左右すると思います。
FIREを計画している人はその「辞める理由は何か?」に目がいきがちですが、実は「自分らしい辞め方はどれか?」という視点もしっかり持つこともお勧めします。