アーリーリタイア生活を続けていると、日々の中で「自分の感じ方が変わってきた」と思うことがあります。
リタイア後の特別な出来事とかで感じるというより、変哲もない日常の中にいて、「以前とは違った視点や感情が生まれる」という種類の変化です。
今日は、そんな「サラリーマン時代にはなかった心の余裕ができた」と気づいた、つい先日のエピソードを綴ります。
エレベーターでの出来事
ある平日のお昼、僕は自宅マンションのエレベーターを待っていました。
その時間帯に人と鉢合わせることはほとんどありませんが、その日はたまたま、同じフロアの奥から老夫婦が歩いてくる足音が聞こえました。
僕がエレベーターの前に立っているのを見て、ご夫婦も少し驚いたような表情を見せました。
70代半ばほどの上品なご夫婦で、旦那さんは空のペットボトルを数本持ち、奥さんはゆっくりとした足取りで後に続いていました。
「こんにちは」と声をかけてくださったので、僕も軽く挨拶を返しました。
そのとき「あ、旦那さんはゴミを捨てに行くのだな」と察しましたが、エレベーターはまもなく到着しそうな微妙なタイミングです。
「旦那さんがゴミ捨てを終わってからでは、エレベーターには間に合わないかもしれない・・待とうかどうしようか・・」と思った次の瞬間、旦那さんが奥さんに「ゴミを捨ててくるから、次のエレベーターでゆっくり行こうや」と声をかけました。
奥さんへの言葉でしたが、同時に僕に対し「気にせず先に行ってくださいね」という配慮がにじむ言い回しでした。
そして僕は、「エレベーターを開けて待ってしまうと、ご夫婦が恐縮して小走りで来てしまうかもしれない」と考え、あえて待たずにエレベーターに乗って降りていきました。
サラリーマンの頃なら気づかなかったかもしれない
これがサラリーマンの頃だったら、そもそもこうした小さなやり取りに意識が向くことすらなかったと思います。
もしかしたら「あちゃー、運悪く誰か来たな。エレベーターで待つのも面倒だしなあ・・」といった「運が悪い」とか「タイミング最悪・・」として片付けていたかもしれません。
やはり忙しいと「これから自分がやるべきこと」に意識が向いてしまい、他人の言葉や配慮を受け止める余裕がなくなってしまうのだと思います。
なので、アーリーリタイアをした今は、相手のちょっとした気づかいや優しさにより気づけるし、「どうすれば相手に負担をかけずに自然に対応できるか」と、自分のほうも気持ちのゆとりが生まれたように感じます。
その後、思ったこと
あのご夫婦とはその後、まだお会いしていません。
都会の集合住宅では、ご近所で顔を見ても名前を知らないまま、会わなければそれきりということも多いものです。
でも、次にまたお会いしたら、少し声をかけてみようと思っています。
何か特別に伝えたいことがあるわけではなく、あの紳士的な旦那さんの対応に優しそうなご婦人とは、もう一度、言葉を交わせたら嬉しい・・といった気持ちが残っています。
終わりに
リタイア後の生活で感じるいちばん大きな変化は、「心の持ちよう」が変わったことです。
自由な時間がたっぷりあって、ストレスのない生活で、心の余裕ができたからです。
特別の出来事ではなくても、こうした日常生活で物事に対する受け止め方が変わるというのは、とても重要なことだと思いました。
なので、FIRE生活のメリットはこうした“人のやさしさに気づける暮らし方”ができることでもあり、それが自分の心持ちにプラスになることも大きいのだと思います。
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