給与だけでは資産形成に限界があります。
サラリーマンの収入は、毎月コツコツと働いて得るもので、投資元本が限られたなかでは一気に資産を増やすような加速度的な成長は見込めにくいからです。
そこで今日は、サラリーマンが本気で資産形成を考える際に、どの投資指標を軸にすべきかを綴りたいと思います。
なお、結論としては、個人的には「ROE(自己資本利益率)」という視点が最重要と考えています。そして、投資対象としては、不動産投資が最適である理由も合わせて解説します。
給与ベースの資産形成の限界
サラリーマンの資産形成には、構造的な制約があります。
まず、収入源が「給与」に依存しており、月々わずかずつしか増えていきません。たとえ昇給しても緩やかで、収入の急増は見込みづらいのです。
さらに、ボーナスや退職金といった「まとまったお金」も得られたりしますが、それはあくまでステージの後払いであって、今すぐに自由に使える資本ではありません。
このような「後払い構造」の中で資産を形成しようとすると、どうしても「時間に依存した、だらだら型の資産形成」になりがちです。
だからこそ重要になるのが、自分が持つ限られた資本(=自己資金)をいかに効率よく働かせるかという、「資本効率」の視点なのです。
自己資本の効率を見るROEという視点
資本効率を測るための代表的な指標が、「ROE(自己資本利益率)」です。
ROE = 純利益 ÷ 自己資本
これは、自分の元手(自己資金)を使ってどれだけの利益を生み出せたかを表します。
もともとは企業の財務分析に使われる指標ですが、個人が投資を行う上でも極めて有効です。
例えば、自己資金100万円で年間20万円の不労所得が得られたとしたら、ROEは20%です。
一方、1000万円を銀行に預けて年間2万円の利息しか得られないなら、ROEはわずか0.2%にとどまります。
重要なのは「いくら持っているか」ではなく、「いかに資本を活かすか」で、この考え方が、サラリーマンが投資を考える上で非常に本質的な視点だと思っています。
不動産投資で借入を活用したROEの実例
では、具体的に不動産投資でROEがどのように活用されるか?
たとえば、2,000万円の物件を自己資金200万円+借入1,800万円で購入したとします。
年間の家賃収入から諸経費とローン返済を差し引いて、手元に20万円のキャッシュフロー(税引前利益)が残った場合、このときのROEは以下の通りです。
ROE = 20万円 ÷ 200万円 = 10%
仮に、同じ物件を全額自己資金(2,000万円)で購入していたら、ROEはたったの1%にとどまります。(20万円÷ 2,000万円=1%)
つまり、借入を活用することで、自己資本の働き(効率)を何倍にも高めることができる。これが不動産投資の大きな強みで、「レバレッジ」と呼ばれるものです。
レバレッジの使い方~FXと不動産の違い
ROEを高めるためにレバレッジ(=他人資本の活用)を使うという発想は、不動産以外にも株式やFXなどでもあります。
しかし、ここで大きな違いがあります。
たとえばFXや信用取引では、価格変動によってロスカットや追証が発生することがあります。つまり、少し相場が下がっただけで、強制的に資産が失われるリスクがあるのです。
一方、不動産投資の借入(=住宅ローンや投資用ローン)は、性質がまったく異なります。
返済をきちんと続けていれば、相場が一時的に下がっても、資産が失われることは基本的にありません。
しかも、安定して入居者がいれば、毎月のキャッシュフローは継続的に生まれます。結果としてROEも安定的に維持される。
そして何より、安定した給与を持つサラリーマンこそ、金融機関からの信用が高いため、低金利・好条件で融資を受けやすいのです。
借入金は本当に悪なのか?
でもこうした「借金=悪」という根強い神話がいまだにあります。
特に日本では、借入に対する心理的な抵抗が強い傾向にあります。
しかし、これは一種の思考の硬直であり、「借入=悪」ではなく、「何のために借りるか」が本質です。
企業経営では当たり前のように資金調達が行われていますし、それによって利益を生むのが通常のビジネスモデルです。
同じように、個人でも“収益を生む資産”を購入するための借入は、むしろ健全な戦略です。
つまり、借入金を利用して自己資金を最小限に抑えつつ、利益を最大にするのは、企業にとっても、個人にとっても、普遍的な利益獲得戦略です。
サラリーマンこそROE思考で資産を加速させよう
こうした不動産をレバレッジする方法は、サラリーマンの最適な投資モデルといえます。
それはサラリーマンが持つ「安定した給与収入」が最大の武器として活用することができるからです。
金融機関は貸付において、物件の資産価値も、貸付先の「キャッシュフローの安定性」もとても重視します。
そのため、サラリーマンは、良好な借入条件で不動産投資に取り組むことができるのです。
また、不動産は現物資産であり、インフレにも強く、時間とともに資産価値が上昇する可能性もあります。結果的に、ROEの向上にも貢献します。
このように、「ROEを意識したレバレッジ活用」こそが、サラリーマンにとって最も合理的な資産加速戦略といえると思います。
終わりに
サラリーマンが資産形成を目指すなら、重要なのは「どれだけ働いたか」よりも、「資本がどれだけ働いてくれているか」です。
そのためには、ROEという“資本効率の視点”を持つことが不可欠です。
不動産投資は、借入を活用して安定した利益を生むことができる数少ない投資手段です。
「ローンは悪」といった思い込みや誤解を手放して、柔軟な思考で資産を動かせば、サラリーマンでも資産形成を大きく増やすことが可能です。
「資産形成を加速させる不動産投資」は、ROEという視点を持てばその真価がはっきりと見えてくるのですが、何かと、向き不向きや、感情的な思い入れもでてくる難しい分野なのかもしれません。
↓