今後、フルFIREの難易度は劇的に上昇するのは本当か?

2025-05-27

経済的自由・FIRE

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FIRE(経済的自立による早期リタイア)への関心が高まる一方で、「今後はフルFIREの実現はますます難しくなる」と警鐘を鳴らす論考も登場しています。

とある記事では、マクロ経済やテクノロジー、移住戦略の変化を理由に「もはやフルFIREは非現実的」と論じていますが、果たして本当にそうなのでしょうか。

今回はこの記事の主張を検討しつつ、僕自身の見解を述べたいと思います。

記事の主張

記事の主張は明快です。

①FIREを支える「4%ルール」は、低インフレ・安定成長・突発支出の少なさなど、複数の前提に依存しており、現代の経済環境にはそぐわない。

②また、FIRE後に再就職を検討しても、AIによる雇用の代替が進行し、思うように働けない可能性がある。

③さらに、海外移住によって生活コストを下げる戦略も、世界的な物価上昇や富裕層への課税強化によって現実味が薄れてきた。

④したがって、「働かずに完全リタイア」という発想よりも、月5〜10万円ほどの労働を前提としたセミFIREなどの柔軟な選択が理にかなっている。

というのが記事の概要です。

今後、フルFIREの難易度が劇的に上がる理由

合意する点

筆者の結論である「フルFIREに固執せず、資産とスキルを掛け合わせていくセミリタイア(セミFIRE)が合理的で健全な戦略(④)」という点には同意します。

ライフスタイルや働き方の多様化が制度面でもサポートされつつある現在、フルに働かず、かといって完全リタイアでもない「中間解」としてのセミリタイアは、選択肢として今後ますます広がっていくと思います。

疑問のある点

一方で、以下の3点については疑問が残ります。

  • インフレ進行による4%ルールの限界(①)

  • AIによってFIRE後の再労働が困難になる懸念(②)

  • グローバルなコスト上昇により、海外生活の旨味が減っている点(③)

これらを根拠に「だからフルFIREはもはや無理だ」と断じるのは、やや飛躍があるように思われるので、順に見ていきます。

①「4%ルールは崩壊した」は本当か?

確かにインフレはFIREにとって脅威ですが、インフレに強い資産(株式や不動産など)を中心に運用している点は見落とせません。

これらの資産は、長期的にはインフレを上回るリターンを生み出してきました。

さらに、NISAの拡充など制度的にも投資家に有利な環境が整いつつあります。

従来の「固定的な4%ルール」を盲信するのではなく、柔軟な取り崩し戦略を採用すれば、FIREの持続性は十分に確保できます。

なにより、フルFIREを目指す場合、4%ルール(生活費の25倍)でリタイアせず余剰資産を織り込みます。また、物価上昇分を差し引いての4%と発想します。

なので、フルFIREが続かない場合は、4%の崩壊に問題があるのではなく、そもそもフルFIRE戦略(準備)の欠陥という俗人的問題だ思います。

②「AIで再労働が困難になる」層はFIREに向いていないのでは?

AIによって単純労働が減少するのは事実ですが、それがすべてのFIRE実践者にとって不利になるわけではありません。

むしろ、AIを使いこなし、個人の発信力やスキルを高めて、より創造的な働き方を模索できる人にとって、FIREは非常に向いている選択肢です。

FIREは「ただ逃げる生き方」ではなく、「新しい働き方を試す余白」を生み出すライフデザインです。

その意味で、テクノロジーの進化は味方になり得ます。

③「海外移住が現実的でなくなった」も視野次第

記事では、移住によるコスト削減の戦略が難しくなったと指摘していますが、視野を広げれば選択肢は依然として豊富です。

例えば、従来の大都市ではなく、地方都市や第二都市への移住、あるいは国内でもリモート環境の整った地域への転居などが考えられます。

確かに移住には手間や準備が必要ですが、「移住=バンコクやバリ」といった固定観念を外せば、FIRE後の生活費を柔軟にコントロールする手段はまだ十分に存在しています。

なお、円安により海外居住のアドバンテージが薄れたのはその通りですが、これも為替次第なので、向こう10年間、20年間、今の基準より円高に進めば現状よりも有利にはなりますし、読みにくい(断言できない)というのが今の相場と思います。

終わりに

確かに、フルFIREの実現は以前より難易度が上がっているかもしれません。それは年金等の社会保障や資産課税というトレンドが個人的には脅威に思います。

そして筆者の主張の通り「フルFIREだけを視野に入れるのは得策ではない」に合意します。

よって、フルFIREは「すべての人にとって難しくなった」というより、「努力次第で実現できる人の層がより明確に分かれてきた」という変化だと思います。

また、FIREを目指す層は、労働期間中から副業や資産運用に取り組む人たちで、こうした人々にはむしろ制度や技術の進化が追い風でもあります。

よって、「フルFIREが狭まっている」というより「FIRE可能性の分布が広がっている」というのが僕の見解です。

FIREとは、個人の選択と努力で人生を切り開く自由への挑戦であり獲得です。その人の自由選択から生まれる自己決定なる「フル」や「セミ」ならば、それは正解だというのがFIREの本質です。


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自己紹介

2022年3末に完全リタイア。FIREの自由で創る”自分らしいセカンドライフ” としてFIRE-Driven Lifestyle Innovationをテーマに、日々の気づきや経験を発信して精神的に豊かなFIREを応援します。
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