FIRE批判~「働けるなら働いて税金を納めよ!」の正誤

2025-05-14

経済的自由・FIRE

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先日、あるFIRE実践者の記事(以下)を読みました。いわゆる、資産所得も得ながら「住民税非課税世帯」の制度を利用して、所得税の負担を抑えているという内容です。

このスタンスに対して、「働けるんだったら、ちゃんと働いて税金を納めろよ」と、不公平感を訴えるコメントが寄せられたそうです。

今回は、そんなFIREをめぐる「税金も納めずに自由気ままに暮らすなんて不公平だ」という点について、僕自身の考えを綴りたいと思います。

記事での主張

記事の主人公(くるみさん)は「平均年収2000万」と言われる外資金融会社を辞め、20歳で結婚した20代の方です。夫と長男の家族3人で「年間100万円未満のセミリタイア生活」を送っています。

セミリタイア生活で各種の優遇措置を受けるため、情報収集し、収入等もコントロールしています。
住民税非課税世帯だと翌年の保育園料が無償になったり、大学の授業料等の減免や給付型奨学金の支給を受けられたりと、かなり手厚いサポートが受けられるんです。
とインタビューで述べています。一方で悩みもあって、
 「働けるんだったらちゃんと働いて税金を納めろよ」というコメントがあったんですが、どの程度働いて稼ぐかは個人の自由だと思うんです。私たちはそんなにお金を使わないから、自分たちの生活が回る分だけ稼げばいいと思ってて。・・制度を悪用しているわけじゃなく、既存の制度を使っているだけなんですけどね。

といった認識にたっています。そんなアンチコメントに対しては、

今ある制度をうまく使って生きていこうね、ってだけで「ずるい」と思うのはその人の感情論でしょ。事実として、こっちは制度を正しく使っているだけだから、別にずるはしてないし。

と捉えています。 

「ちゃんと働いて税金を納めろよ」と言われることも…年収2000万の会社を辞めて、月6万7000円で暮らす20代夫婦が「何を言われても痛くない」と断言する理由

こうした考え方は僕も共感するところで、これは、制度の悪用ではなく制度の活用ですし、その結果、税負担を最小限に抑え恩恵を享受していることはなんら問題ありません。

一方で、そうした制度利用を外から見ると「ずるい」と感じてしまうことがあるのもわかります。

これについて僕の見解を綴ります。

なぜ「FIREはずるい」と思われるのか?

FIREはずるいというのは、かなり歪んだ見方だと思います。

FIREを達成した人の多くは、現役時代にそれなりの所得を得てきた人たちです。

当然、その期間には相当の所得税や社会保険料を納めています。

そしてFIRE後は、給与収入がなくなるため所得税が大幅に減り、代わりに配当や売却益などに対する分離課税(約20%)の負担が中心になります。

つまり、「稼ぐ段階では所得税」、「投資や資産運用段階では源泉徴収税」、「使う段階では消費税」、「引き継ぐ段階では相続税」と、どのライフステージでも税金は発生ます。

こうした仕組みを俯瞰してみれば、FIREをしているからといって特別に税から逃れているわけではありません。

ただ、働いて給与を得ている人から見れば、「頑張って働いている自分より、あっちは楽をしてるように見える!」という感情が芽生えるのも自然なことです。

でもこれはFIREというライフスタイルの「ある一場面」を切り取って見ているだけであって、全体像は少し違っているのです。

制度利用と感情論のすれ違い

「ずるい」と感じる気持ちは、制度の問題というより感情に起因していると思います。

もし自分が逆の立場だったら「働かずにいるなんて羨ましい・・でも自分にはできない」、「こっちは我慢して働いているのに!」といった思いになるかもしれません。

その結果、「不公平じゃないか」という感情的批判につながるのです。

でもこの構図はFIREに限らず、例えば子育て世代(税制優遇や教育無償化などの制度恩恵があり)は独身者にはない恩恵があったり、社会のあらゆる面で公平・不公平の批判となりうるものがあります。

これらは「現行の法制度に則って、正しく課税されている」だけのことで、なんら「ズルさ」ではなく、「視点や立場の違い」から来るものです。

自由の対価としての責任

僕自身、かつては住民税非課税世帯の恩恵を受けていた時期があります。

その時は、制度を使う立場にいた分、自分ならではのポリシーは持っていました。

それは、「自分が得ている自由や恩恵は社会に還元しないといけない」という感覚です。

身近なところでは、家族や友人への感謝を様々な形で実施したり、想定外の収入(給付金等)も寄付をしたりといったことです。

義務ではありませんし単なる感覚論ですが、自分だけが自由を独占すると「しっぺがえし」も受ける気がするし、そんな独占すべきものでもないと、恩恵還元は意識してしていました。

それがお金を持つより安心感だったからだと思います。

終わりに

FIREという生き方が広がってきた今、働かざるを得ない人、働かないでも良い人といった、ある種、「世の中は不公平」といったことが起こってしまいます。

資産所得を得ながら、所得税を払わない、それは現行制度で実現できることで、制度を活用することは、個人的には、ズルでは無いと思っています。

ただ、その自由やFIREの恩恵を独占して奪いっぱなしにせず、どう処理するかを考えることも大切だと思います。

やはり自由があるからこそ、FIREの恩恵は、親孝行でも、お世話になった人への恩返しでも何らかの形で社会や周囲に還元するのは、心もすっきりしますし、積極的にやってみる価値があると思っています。


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自己紹介

2022年3末に完全リタイア。FIREの自由で創る”自分らしいセカンドライフ” としてFIRE-Driven Lifestyle Innovationをテーマに、日々の気づきや経験を発信して精神的に豊かなFIREを応援します。
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