僕がアーリーリタイアをするとき「いまリタイアして本当に後悔ないか?」と自問しました。
それに答えるため3つの定量的な判断軸を使ったのですがその1つが「アーリーリタイアの金銭的価値」を計算することです。
金銭的価値は「定年まで勤めれば得られる所得総額」としました。
なぜならアーリーリタイアすると、その「定年まで勤めれば得られる所得総額」を失うことになるゆえ、その機会損失を被ってもアーリーリタイアをするか否かを判断するからです。
つまり算定方法は、
定年まで勤めれば得られる所得総額=アーリーリタイアの金銭的価値=機会損失、
なわけで金銭的価値を機会損失として受け入れてもアーリーリタイアを後悔しないと思えるか?と考えたのです。(*実際は勤労年数に比例し増える公的年金受給額も考慮します)。
今日はこの判断を思い出す少しショッキングなニュースも見たので、それを綴ります。
年収総額が過去最高
昨今の人手不足やインフレによって賃金上昇が起きています。
こんな記事がヤフーニュースにありました。
民間企業の給与は平均459万5000円…人手不足背景に3年連続増、2014年以降で最高
民間企業の社員やパート従業員らが昨年1年間に得た給与(賞与を含む)は平均459万5000円で、前年から1万9000円(0・4%)増え、比較可能な2014年分以降で過去最高となったことが国税庁の調査でわかった。増加は3年連続。人手不足を背景とした賃金上昇などが影響したとみられる。
僕がリタイアをした2022年以降からぐんぐんと賃金が上昇しているわけです。
勤めていた会社も大きくベースアップしたと聞いたので、その「定年まで勤めれば得られる所得総額」が当時の僕の算定より大きくなっています。
つまり賃金上昇でアーリーリタイアによる経済的な機会損失が大きくなるのです。
僕のアーリーリタイアの算定式
ちなみの僕は50代半ばを超えての遅いリタイアゆえそもそも「機会損失」は大きくありません。
個別事情としては、
・これ以上働いても退職金は大きくならない(一定の年齢で退職金積立額がピークに達して増えていかない)、
・この先、グループ会社への出向、役職定年、あるいは再雇用などで年収が目減りする可能性もあった
ということで厳しめにみると「定年(65歳)まで勤めた場合の所得総額=リタイア直前の年収の5倍程度」と算定しました。
*これに長く勤めるほどに年金受給額も増加しますが今回はこの部分は割愛します。
仮に1,000万の年収とするとアーリーリタイアの金銭的価値は5,000万円(前述の通り5年程度)なわけで、つまりは「5000万円を取るか、8年間のアーリーリタイア時間を取るか」というトレードオフになります。
それは、1年当たり約600万円の価値(5000万円÷8)とも言い換えられます。
アーリーリタイアの金銭的価値の判断結果
こうした算定式が「リタイアで後悔しないか」の判断の1つとしてのですが少しトリックがあります。
それは健康年齢です。
仮に自分の健康年齢が75歳とすると、定年(65歳)まで働くと健康年齢の残数は10年しかありません。
ですがアーリーリタイアをすると健康年齢の残数は18年となるわけです。
つまり「定年まで働いた場合の+80%増し」と大きなインパクトです。
こうしたバランス(時間的お得感)も考慮しながら「(5000万円の機会損失)<(18年の時間)」という価値比較で、やはり「辞めても後悔は一切無い」と確認できたわけです。
終わりに
こうしたアーリーリタイアの金銭的価値を算定しながら感じたのは自分にとって「健康>時間>お金」という優先順位を譲れないことでした。
その思いは今も変わらず、よって賃金上昇というニュースを聞くと「今も働いている同僚は恵まれているな」とは思いますが、一方で、この算定式と背景にある自分の価値観を踏まえれば「やはりその程度(賃金上昇で機会損失がより大きくみえること)でアーリーリタイアを後悔することはない」と言えます。
もちろんこれは3つの判断軸の1つで、お金vs時間が全てではありませんし、人によってその価値観も違って当たり前です。
自分なりの判断軸をもてば、アーリーリタイア後に状況が変わっても「今働いていたら賃金上昇したいた。。自分は損をした。運が悪い!」なんて後悔は無いということです。
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