「FIRE民=税的特権階級」はいよいよ崩壊か

2024-02-26

経済的自由・FIRE 投資

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サラリーマンから完全リタイアのFIRE民として過ごしたこの2年、税制的にかなり「特権階級」だと感じました。

こんなことを書いたら一部のFIRE民からは「し~!!」と叱られるかもしれません。

だって「お金に働いてもらい、株式譲渡や配当金等で十分な所得を得ながら、自分は好きなことをして、サラリーマンの頃の必死な労働対価にもれなく付いてきた”重税”もいずこという少ない税金しか払っていない」という現実です。

加えて、区からは「住民税を払えというにははばかれる貧乏人」と認識され「国民健康保険は7割軽減、国民年金の支払免除、おまけに給付金やお米まで恵んであげる」という待遇です。

給与と株等の利益は扱いが違うといえばそうですが、どこか非対称というか不公平というか、申し訳ない限りです。

ということで、今日はこのFIRE民に襲い掛かる税制度について綴りたいと思います。

税的な歪みが生まれる根源的理由

こんな税的な歪みがある理由は、そもそも国内の居住人が生み出す個人(あるいは世帯)の「キャッシュフロー」と「ストック」の全体を統合管理し、過不足なく納税させる「掌握システム」が作れないことによります。

そんな税金の投網において、実はあちこち「小さな隙間」があって、完全リタイア民の僕はその「隙間の住人」として短い間ですがこの恩恵?(勝手な扱い?)を受けました。

サラリーマンのときは大きな投網から逃れる方法は、それはそれで考えて実践してきましたが、かなり手数は限られています。

そして今年、こんな歪みは「住民税の申告不要制度の廃止」なるもので、この度の確定申告(2023年分対象)からがらっと状況が変わりました。

これが給与所得の無い(あるいはセミリタイアで少ない)FIRE民には大きな痛手です。

歪みができていた構造

そんな歪みがそもそも生まれる構造は、株や投資信託の売買や配当・分配金の扱いにあります。

基本的なこととして、まず証券会社に口座を開設するときに、多くの人は「特定口座(源泉徴収あり)」を選んでいると思います。

それは、「特定口座(源泉徴収なし)」や「一般口座」で開設するより、何かと便利に動けるからです。

特定口座(源泉徴収あり)」では証券会社が予め株や投資信託の売買や配当・分配金の受領時に約20%の税金(*)を天引きして納めてくれます。

なので、自分の受取額は税金分が減額されたものとなりますが、確定申告をしなくても済むケースがあります。

また、確定申告をする時も、証券会社から確定申告用のデータ(しかもXMLでも発行されるので確定申告はファイルを読み込むだけで計算されます)を準備してくれるのでとても楽だったりします。

*種別にもよりますが、例えば上場株式の配当金(大口株主以外)に対する源泉徴収税率は合計20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)です

歪みが生み出す恩恵(FIRE民)

そうした構造のなので、僕のような完全FIRE(リタイア民)で、サラリーマンの頃のような給与収入(課税対象となる所得)を失った弱者にとっては、その累進課税の制度下では「そもそも天引きされる約20%の税金では ”払いすぎ” 」というパターンとなります。

だって、給与がないなか(他の雑所得等はあっても)課税判定する所得が少ないと課税される税率が低いのです。

だから「みなし」で天引きされた約20%という支払税は、キャッシュフロー弱者のFIRE民のランクでは(いくら資産をもっていてストック強者であっても)累進課税上は超過し多すぎるのです。

それを国に認識させる方法が「確定申告」です。

そこでは「自分はこれだけ配当金を貰ったからきちんと認識してね」と申告にあたって自分の少ない収入(=低い税率)で税金を再計算(自動的です)をして申告します。

すると国も、証券会社を通じて天引きした約20%は「確かに納め過ぎだ」と、「本来の5%(最低の場合)だけ納めて残りは返してあげよう!」といった手続きが受領され、約20%の天引きで払い過ぎた税金の一部を自分の銀行口座に振り込んでくれる(還付)わけです。

しかも、税金は所得税と住民税の二重構造(国レベルと区・地方レベル)なので、「所得税は所得が少ないから少な目の課税でお願い!と国に言いつつ、だけど区・地方レベルでは「確定申告したことにしないで!」と、都合の良い申告方法がこれまでは取れたのです。

それは去年までの恩恵です。

*FIRE民からすると「恩恵」ですが、国や地方からすると「本来払うものをしっかり請求できていない」という「歪み」でしかありませんが

今年の確定申告からFIRE民はどうなったか

今年から採用された「住民税の申告不要制度の廃止」によって状況は一変しました。

ある程度制度に精通している人ならばあえて「確定申告をしない」と、約20%の税率を受領時に取られたままで決着をした人も今年は多いと思います。

なぜなら、確定申告で還付金を受けとったら「得した気分」になるかもしれませんが、後日、別のところにしわ寄せがいくことが判明します。

しかもかなり巧妙にできています。

それは、確定申告で確定された「合計所得金額」や「総所得金額」に基づいて算定される国民健康保険料や住民税が増えてしまうといった影響が出るからです。

さらにいえば「住民税非課税世帯」として「あなたは低所得者ですよね」と税務的に認識されている人は「10万円の給付金」や地域によっては個別の支援策として「物資(お米とか)」を貰えてきました(これは基本的には資産額は関係しません)。

この「住民税の申告不要制度の廃止」があるゆえ確定申告をすると「住民税非課税世帯」から外れて、こうした給付対象になれない可能性もあります。

来年の給付金制度がどうなるかわかりませんが、今回の確定申告で「住民税非課税世帯」から外れてしまっては、こうした恩恵から直ちに外れることになるでしょう。

それゆえ、「還付での入金と保険等の支払増加分を相殺し経済メリットがあるか?」や、「今後も給付金のような制度の恩恵を期待できるかも」といった、経済メリットx期待値の総合判断として「何も申告しない(天引きされたものをそのまま持っていけドロボー)という申告分離課税」で手を打った人が多いのが今年の傾向だと思います。

*実際、申告分離課税で処理をした人がどの程度の比率かは把握できていませんが・・。

*まだ確定申告前の人は気をつけてください。還付を受けようと総合課税を選択して手続きすると後で修正申告で取り消し、やり直しができないので。

終わりに

今回はFIRE民的な視点で、今年の制度改正でかなり追い詰められている状況について触れました。

こんな状況ゆえ、今年もある実験をして抵抗してみました。

僕は完全FIREで年金受給者(企業年金の一部を貰っています)で、株式配当金などの収入があるわけですが(他の所得はまたある方法で処理をしています)、それら「源泉徴収された配当金や年金所得などを確定申告で節税(税金還付)しながらも、同時に低所得者向けの制度から外れないよう ”確信的な確定申告” をする」ということをチャレンジしたのです。

それは証券口座の作り方と、何をどう確定申告するかの正当なやり方とその「さじ加減」でコントロールする方法です。

ただ、居住地や家族構成等々でその税額のスレッシュホールドが違うという複雑怪奇なもので計算は大変です。

加えて、日本は申告納税制度なので、知識と行動で節税できるという環境です。

人によってケースがばらつく節税を記事として扱うのは難しく、またそんな記事で節税を大々的に書いて煽る結果になると反乱のようでやや気が引けます。

とはいえ「隙間の住民」なるFIRE民の一員としては、ほぼ有利な地帯から追い出され対する税制主導側が有利な昨今「勝ち目があってもわずか」という(どこか最近のゼレンスキー大統領と通じる)心境です。

なので「隙間をどう見つけて留まるか」といった方法論として、その試行錯誤を記事にするのはエンタメとしては良いのかなとも思ったり悩ましいところです。

なお、僕個人の思いは「税金制度を作る人も、税金をどう使うかの判断する人も、その実体的な使われ方も、どれも懐疑的」です。

なので確定申告をして税金は取り戻し、その分はコロナ禍や震災などで寄付をするという、結果的に納得のいくお金の流れを作ってきましたし今後もそうします。あ、それと里親探しの犬猫協会にも寄付はしていますが。


上記の理由で節税を大っぴらに書くのは気が引けますが、ポチっとご希望が多ければ心の後押しになるので、その場合は続編等の(反乱?)記事を書いていきます。

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自己紹介

2022年3末に完全リタイア。FIREの自由で創る”自分らしいセカンドライフ” としてFIRE-Driven Lifestyle Innovationをテーマに、日々の気づきや経験を発信して精神的に豊かなFIREを応援します。
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