リタイア前の資産管理は単純でした。
毎月末、保有する金融商品を時価評価ベースで把握し「総資産」を管理していました。
ですがリタイア後、この大雑把な資産管理は行き詰まり、家計の収支管理(PL)、純資産管理(BS)、キャッシュフロー管理(CF)など緻密に資産管理をする必要が出てきました。
今日はリタイア後に資産管理方法が変わった理由とその課題を綴ります。
まずはリタイア前後での資産管理の違いについてみていきます。
リタイア前の資産管理
リタイア前はいわば「資産形成段階」です。
給与収入があるなか総資産が増えていく単純な状況変化だったので、やったことは「評価額ベースで総資産管理」だけという手抜きの資産管理でした。
やり方は単純で、毎月末、所有している現預金、株式、投資信託、外貨等の一切の資産を、銀行口座や証券口座から情報をかき集め、EXCEL上に展開させ、総資産を算出するだけです。
およそ10~20分で資産額を把握し、その総資産額やその推移を確認します。
投資でお金を増やすのが前提なので、「評価額ベース」で把握することは極めて自然なことでした。
この段階では家計簿もつけていなければ、現預金残高も把握していません。
リタイア後の資産管理
リタイア後は資産形成から資産取崩しにステージが変わります。
それゆえリタイア前と同じように気楽に「評価額ベースで総資産の推移さえわかれば良い」とはいきません。
そもそも、毎月、生活費として出ていく「実支出」が配当金や不動産収入などの「実収入」よりも上回るので、現預金が減少していきます。
想定以上に出費が多くなり現金が枯渇すると、運用中の金融商品を解約するなどに陥り、「不利で非効率」なる対処がでてしまいます。
また、シュミレーションで資産減少のペースを想定していたので、実際に、その資産減少が想定スピード通りであるか否かも、最終的には重要なる問題です。
ただ、この実支出と実収入を管理すること、つまり「家計の収支管理」はかなりトリッキーだったりします。
家計の収支管理の難しさ
家計の収支管理とは「(毎月の実収入)ー(毎月の実支出)」という月次ベースでの家計収支損益(P/L)のことです。
この「実収入」と「実支出」のそれぞれを把握すれば良いのですが、簡単なようで難しいものです。
実収入を管理する課題
僕は「ほったらかし資産運用」として資産の多くを「中長期の元本保証商品」で運用しています。
例えば、外貨建て定期預金、保険、社債など、元本保証のものを長期預けることで、確約された利息を受け取ります。
ただ、その利息は満期となると発生するもので、それゆえ毎月の「みかけの利益」で管理することが必要となり、それが面倒だったりします。
例えば、外貨建て定期として「10,000ドルを年率4%で5年預ける」と、満期を迎える5年後に「12,000ドル」となります。
満期までの間はずっと10,000ドルとオンライン口座上に表記され、5年目の満期で急に12,000ドルとして増分2,000が一気に表記されます。
つまり、口座の残高情報は得られるであろう利益を正確に反映できませんが、僕は、元本保証で満期まで保有する確約があるので、毎月、「みかけの利益」が発生しているとみなして、その数字を管理する必要があります。
例えばこの定期預金のケースだと、開始時点より月33ドル(5年で2,000ドルを月次展開した金額)を「みかけの利益」としてEXCEL上で毎月計上します。
全ての元本保証系の商品をこうした月次展開をしていくことになるので、面倒だったりします。
実支出管理の課題
実支出については「時差」の課題があります。
僕は支出をクレジットカードですることが多く、実際の利用日からずれて管理されます。
カードを利用した店舗からカード会社に情報がいき、そこで計上されるまでの誤差があるので、例えばMoneyTreeなどのオンライン家計管理ソフトで表示されるクレジットカードの利用情報は実際の利用日から数日遅れて出てきます。
さらにいえば、実際の支払は翌月以降に銀行口座から「カード利用料」として引かれるので、利用日から1か月ほど遅れて現預金が減ります。
本来は、実際の利用時点をもとに毎月の支出を管理したいので、このカードの情報を待っていてはだめで、その都度、家計管理ソフトでレシートを読み込むなりデータを登録するなりが必要です。
総資産の管理の難しさ
また、こうした家計管理をすることで、総資産の数字にも影響します。
発生主義か決済主義か
先の例でいけば「実支出」を発生のタイミングで勘定し、家計管理ソフトなりに登録すれば良くて、毎月の月末総資産を、
①(月初資産額)+(当該月分の実収入)ー(当該月の実支出)+(月末資産評価益)=(月末資産総額)
と管理できます。
ただもっとシンプルに、実際に口座内に存在するお金を数える方法で、
②月末時点の現預金および各金融商品の時価評価額
の2つがありますが、それぞれメリット・デメリットがあります。
発生主義の問題
先の①は発生主義のやり方で、問題は、支出する都度、それを即時に管理していても、実際に見落としていたり、知らずうちにに銀行引落などで決済されたりするものもあり、月次の家計収支管理は誤差は避けられず、よって月末資産額も正確にはなりません。
その誤差を無くすために管理精度を上げるにはかなりの手間がかかります。
決済主義(実現主義)の問題
一方で、決済主義(実現主義)として金銭が口座から引かれるタイミングで管理する②の問題は、毎月末の総資産管理ではその月の実支出を反映していない(タイミングがずれる)ことになります。
例えば、10月に旅行をして出費が大きかったとしても、その10月の資産額には支出が反映されず、翌11月の総資産が目減りする(10月の旅行に係るクレジットカード決済の引落が11月になるから)ということが起こります。
リタイア生活での資産管理は二元管理で
以上の違いを踏まえ、僕が今やってるのは、
・最終的に自分の資産額が幾らとなっているかの拠り所は、②の決済主義に基づく「資産額」にする
→口座内に存在する資産額を持って資産とするので
・実収入と実支出を追いかける家計収支は、あくまでその「家計収支」として生活費総額や使途内容の管理のためにやる
ということで、現実的には2元管理にしています。
これをどうにかしたいというのが残課題です。
終わりに
今回は課題を明確にしたものでしたが、実際には幾つかフォーマットを準備して、こうした問題の対処を進めています。
今年中にやることとして、この資産管理の完成も目指したいと思っています。
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