先日、自営業の友人の息子が就活を控えているとのことで、社会人として上手に生きていくポイントを5分程度で話せるようにしたいと頼まれました。
純粋な心だけで社会人デビューをしても、社会の理不尽さを知るのは時間の問題です。
サラリーマンとして「要領の良い生き方」を知ることは、歴史から学ぶようなものです。結果として参考にしてもせずとも、一旦は「考える」というステップに意味があるからです。
ということでお題は「サラリーマンならではの ”お金持ちになる人生戦略” 」としました。
お金持ちになることが目的というより、そういう目標を持ちながらサラリーマン人生を過ごすことで「社会に潰されずに要領良く生きる知恵を持とう」という趣旨です。
今回、就活から30歳までの人生戦略(前半)を記しますが、半ば、自分の反省でもあります。
お金持ちになる3つの原動力
サラリーマンがお金持ちを目指すうえで、3つのエンジンがあることを知るのが基本です。
その原動力とは、
①自分が働く=給与を得る
②お金が働く=投資をする
③システムが働く=起業する
というものです。
大事なことは、この3つを単なる知識として持つのではなく、サラリーマンのどのステージで、その原動力のエンジンを点火させるか、といった実行ノウハウです。
サラリーマンの人生展開に沿って解説したいと思います。
就活前の処世術-人生の目的を考える
高い年収を得るだけが人生ではありませんが、お金があれば、自分のやりたいことを実現する大きな助っ人になります。
例えば、芸術系大学を卒業し、芸術の道でビジネスをしたとすると、発注者が求める作品は自分が作りたいものではないことに葛藤を感じます。
そもそも、芸術に限らず、「自分のやりたいこと」と「社会で求められること」が一致するほうが少ないものです。
それを知らないと、結果として芸術魂を売ってしまい、生きる情熱を失いかねません。
それなら、人生を前半と後半に分け、前半はお金を徹底的に稼ぎ、後半はお金に不自由なく自分の理想とする芸術に打ち込む、という2毛作が「要領の良い人生」となります。
ルール1:人生で譲れないもの(お金以外)をはっきりさせる
それゆえ、お金を「汚いもの」とか「万能なもの」といった幻想は一旦横に置き、人生で、お金以外に何を大切にしたいか(価値観)をはっきりさせることが、就活前に大事になります。
「社会の役に立つ」でも「自分の限界まで何か挑戦する」でも「仕事と趣味を両立させて幸せな家庭を作りたい」でもなんでも良いです。
就活での処世術
自分の価値観をはっきりさせたら、次は、お金はお金としていかに最大に増やすかを考えることです。これが社会に潰されない大事な防御策となります。
まずは「①自分が働く=給与を得る」をいかに最大にするか、就活段階で考慮すべきポイントがこちらとなります。
ルール2:年収の高い業界を選ぶ
実は社会は業界という縦割りのセグメントごと、そのお金の潤い方が違います。
業界によって年収格差があり、同じ努力をしてもその得られる平均的な賃金が業界によって変わってきます。
くれぐれも初任給だけをみて「業界で差が少ない」と誤解してはいけません。初任給の差が少なくても、30歳を過ぎたころから業界格差が出始めて、40代となると大きく開きます。
一方で、たとえば「金融業・保険業」は早々にグループ企業への出向などもあり50前後から年収がくっと下がります。
40代にはどこまで出世できるかも見極められるタイミングがきますし、その時から「③システムが働く=起業する」という段階に進むのが良い選択だとは思いますが、起業せずに会社・業界に残る時の給与の変遷も、一応、押さえておきたい点です。
(出典)令和2年賃金構造基本統計調査の概況(P5)ルール3:これまでの専門性の拘りを捨てて、いま、将来の展望をする
なお、高校から大学の7年間に投じた時間や労力を回収しようと、大学の専門分野の延長戦で会社や職種を選択するという「狭いこだわり」は一旦捨てましょう。
なにしろ、人生はその先3~6倍は仕事をする可能性があるのです。10代半ばの人生判断をずっと引きずって世界が広がらないのはもったいない人生です。
いま、あるいは将来、何が本当にしたいかを考えなおすことをしましょう。
新入社員から20代中ばまでの処世術
企業によっては、新入社員の教育に十分に予算を取って投資をしたり、メンター制度やOJTを充実させるなどで人材を人財として育てます。
例えば、ビジネス知識、各種資格の取得、短期留学、グロービスなどの教育機関での研修、ビジネススクールをサポートしたり、プログラムや制度を充実させているところがあります。
そうした会社は株主に対してもES(EmployeeSatisfaction;従業員満足)などをうたったりもしています。
ルール4:人材育成に積極的な中~大企業で恩恵を存分に得る
新入社員から入社3年目までは、こうした企業であれば、業務中に堂々と勉強をさせて貰えます。それを目いっぱい使うことです。
少し古いですが、以前、日経WOMANキャリアで紹介された「社員1人当たりの研修費ランキング」ではこうなっています。
1位 DMG森精機 58万4,905円2位 野村総合研究所 44万6,081円
3位 三井物産 43万3,685円
4位 積水化学工業 32万9,471円
5位 日立建機 31万8,877円
6位 三菱商事 26万1,780円
7位 武田薬品工業 22万7,728円
8位 持田製薬 21万3,986円
9位 東京エレクトロン 20万8,600円
10位 ジョンソン・エンド・ジョンソングループ 20万7,026円
出典:日経WOMANキャリア「人を活かす会社」調査ランキング・社員一人あたり研修費(2015年調査より)
こういった情報を集めて志望先を決め、そして徹底的に研修を活用しましょう。
ルール5:同期や先輩とのつながりを大切にする
なお、同期や先輩とのつながりはその後の人生でも大きな財産となります。
歳を取ればとるほど、信頼のおける無二の友人はできにくいものです。
飲み会なり議論なり、積極的に交流するようにしましょう。
20代中~後半の処世術
20代中盤までは必死に仕事も覚え、社会人としての基礎も学びます。
そういった新入社員の頃の周囲の注目や噂もなくなってきて、少しばかり仕事にも慣れてくるのが20代中盤です。
きっと自分の貯蓄もできているころです。
この辺りから本格的に資産形成の活動を開始です。
投資を始めましょう。
ルール6:iDeCo(イデコ)やNISAなどの投資を始める
投資は、自分の仕事から得た業界情報などを使って個別株を買うなり(インサイダーには気を付けてください)、あるいはiDeCo(イデコ)やNISAなどで投資信託を買ってその配当金も再投資する運用で複利で増やすようにします。
安全資産の範囲でIPO株などで冒険するのも良いかもしれません。
いずれにしても、仕事とも相乗効果が出るよう、仕事で集めた情報を投資に活かしたり、投資の勉強として経済知識や税務知識なども覚え、仕事でも活かせるようにするのが良いでしょう。
ルール7:不動産投資を始める(借入レバレッジを効かす)
サラリーマンも5年選手となれば、社会的な信用もついて、不動産ローンも組みやすくなっています。
まずは、自宅を購入するところから入るのが良いと思います。
決して、「仕事から近いから」といった自己都合ではなく、資産性の高い物件を買うようにしましょう。
資産性とは2つあって、それを賃貸に回して借り手がつくような魅力ある物件であり、またその土地周辺が今後成長を見込めるということです。
前者が賃貸ビジネスを、後者が出口戦略として大事になります。
自分が気に入った物件の購入価格をもとに毎月のローン金額をはじきます。その物件や周辺での同等物件の賃貸相場(築数年から築20年程度まで幅広に賃料下落を含む)をみれば、どの程度、利回りがあるかはわかります。
株式投資では、例えば100万円を突っ込めば年率3%の利回りとして年間3万円の利益しか手元に残りませんが、同じ100万円を頭金に3000万円のマンションを買えば、マンションの実質利回りが2%であっても、年60万円が手元に残ります。
同じ100万円でも、サラリーマンとしての信用を使うので、3万円が20倍(60万円)になるというものです。
これがレバレッジで、若い頃はその価値の神髄がピンとこないものですが、これこそが、資産形成のジェットエンジンです。
それはローンなどの社会的信用だけでなく、人的資産(人としての信用)も蓄積していく時期でもあります。
終わりに(前半)
ここまで、まずは30歳ぐらいまでの人生戦略をまとめました。
後半はこちらです。
0 件のコメント:
コメントを投稿