現役のサラリーマンにとって病気や怪我で働けないリスクは大きいものです。
医療費がかかるだけではなく給与収入も減るかもしれません。
そのために民間の医療保険や就業不能保険に加入されている方も多いはずです。
40代、50代とも約80%が医療保険に加入しているとの調査結果もあります。
一方、全国民が受けれる公的サービスとして、高額な医療費がかかったとしても、その負担を軽減してくれる「高額医療費制度」があります。
年齢や収入で異なりますが、69歳以下の住民税非課税の世帯で月3万5400円、年収156万から約370万円の世帯で月5万7600円が上限の負担額で、それ以上の医療費はかからない、というものです。ただし、年収1160万以上では月25万を超えます。
アーリーリタイアをすると給与収入がなくなるので、それに応じて高額医療制度による自己負担額も下がります。そのタイミングで、民間の医療保険が必要か、必要ならばどういう目的で使うのか、といった見直しが求められます。
今回、僕が医療保険に入っていた理由と、アーリーリタイアによってどのように見直したかを書きます。
医療保険はそもそも心理的リスクヘッジだった
広く知られている情報として「民間の医療保険は加入すると損」という指摘があります。
保険会社がその人件費や営業費用を上乗せして保険サービスを作ってますし、そもそも掛金から給付金を払っても会社に利益が残るぐらい、利用者からみれば掛金を取り戻せる確率は少ないということです。
僕は離婚をして独身ですし、したがって扶養する家族もいません。病気や怪我により働けなくなった時の補償はもともと必要はありませんでした。
さらに、会社の制度で毎年人間ドックを受け、体調管理を厳しめにするタイプなので、病気になる確率は平均より低いと思っています。
それでも、現役時代は病気になることで大きな心理的負担となることや、高額医療制度で上限が決まっていても医療費はそこそこかかります。それゆえ、心理的負担を中心に医療費の補填になれば良いという位置づけで癌を中心に入院時のベット代負担などをカバーする医療保険に入っていました。
3社で年間合計が17~18万円はあったと思います。
今年の3月末でアーリーリタイアをした際に保険の見直しをしました。
なお、僕の加入していた保険はいつでも解約ができ、解約翌月分からの負担がなくなります。契約更新まで待つ必要はありませんでしたが、リタイア後もなんだかんだと忙しく、つい最近、見直しと一部解約を進め終えました。
医療保険の見直しにおいて留意したこと
まず、リタイア前にきちんと人間ドックも受け、またそこでやりきれなかった検査である脳ドックも自費で受けました。
ある程度、自分の健康状態を把握し問題がないだろうという確信を得ることを先に実施してから医療保険の見直しに入りました。
家系的には癌のリスクがありますが、血圧やらメタボ、血液検査の結果などから成人病の心配はそれほどありません。それゆえ、癌に関する保険だけどうするかを迷いました。
結果としては、年間数万円分、癌に関連する保険だけを残してその他を解約しました。
年間数万円の掛金を払い、癌に関わる治療費や手術などの補償を受けれるものですが、それほど多くの給付額にはなりません。
経済効率だけを考えれば全部解約すべきでしたが、あくまでも心理的緩和のために保険を残しました。
考え方は次のようになります。
●掛金は恐らく取り戻すことができない可能性が高い。
●取り戻せないということは、それは健康であるという証拠であり嬉しいことだ。
つまり「病気による経済的な出費(医療費)に対する補償」としてではなく「健康的な人生をおくれない場合の精神的な疲弊に対する補償」という位置づけで残しました。
リスクコントロールの考え方
こうした望ましいことvs望ましくないこと、におけるリスクの取り方として、望ましくないことに補填をセットするやり方があります。
例えば、スポーツ観戦。自分が応援するチームが勝てばランチを奢ってもらい、相手が応援するチームが勝てばランチを奢る、という「勝利」と「褒美」がペアになる賭け方が世の中では一般的です。
それは、スポーツ観戦で応援するチームが負ける悔しさと、ランチを奢る残念さを合わせたところで、たかがしれているからです。
ですが人生に関わる病気での一大事、というものごとに対して、経済効率だけを考慮し、保険をかけない方法ももちろんありますが、経済効率が低いと知ったうえで、あえて保険をかけてリスクヘッジする方法も、納得感があるならば有効です。
つまり、ずっと健康ならラッキーなことですし、その掛金の出費ぐらいよしとするか、という考えです。スポーツ観戦でいけば「応援するチームが負けたらランチを奢れよ」というものです。
終わりに
経済効率が悪いからと保険を切る選択も1つです。
また、ネットで出回る情報に振り回されたり、それを鵜呑みにせず、視野や視界を目いっぱい広げて経済面x心理面の総合的なリスク比較をしたり、人生での不慮の事態に対するリスクに備えることで人生全体のリスク対応力を高めるなども検討に値します。
リスクヘッジというのは、こうした選択肢を多く検討することに他ならない、ということを強く申し上げたいと思います。
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