FIRE後、多くの人が「さあ、新しい人生を始めよう!」とばかりに、住まいや人間関係、日々の習慣などを一気に変えたくなります。
でも、そこで少しだけ立ち止まってほしいのです。
僕自身の経験から痛感したのは、「FIRE後すぐに生活を変えすぎると、かえって自由の質が下がる」ということです。
今日はその理由を綴りながら、「生活環境を変える前に考えておきたい7つのセルフチェックリスト」も紹介したいと思います。
なぜ“変えないこと”が重要なのか?
FIREは、単なる労働からの解放ではなく、「これまでとは違う自分として生きることへの挑戦」です。
時間や選択肢が増え、自分らしい生活に踏み出せる一方で、住まいや人間関係などの環境まで一気に変えると、自由と変化に振り回されてしまうこともあります。
この混乱によって、本来、自分が作りたい自由がぼやけてしまうことにもつながります。
僕はFIRE後の初期戦略として、「あえて変えない」という選択をしましたが、これは非常に大きなメリットがありました。
そこで僕自身の体験をもとに、7つのチェックリストをまとめてみました。
FIRE直後に生活環境を変える?7つのセルフチェック
以下のリストはあくまで僕の経験によるものです。
もちろん「何も変えてはいけない」というわけではなく、「変えるべきもの/変えない方がいいもの」を自分で見極めることが重要です。
① 住まい
Q: 引越しの理由は、明確な生活ビジョンに基づいていますか?
→ たとえば、過去に住んだ土地で土地勘がある、生活コストが下がる、自然との調和ができるなど明確な狙いがあればOK。そうでなければ、引越しは大きな環境変化となり、心理的・経済的な混乱を招く可能性があります。
② 人間関係
Q: 人付き合いを減らす場合、新たなつながりを自分で築く準備はありますか?
→ リタイア後は、自然と不要な人間関係が削ぎ落とされます。それに代わる関係性(家族・友人・新しい交流など)を意識的に育てないと、孤独や孤立のリスクが高まります。
③ 時間の使い方
Q:「仕事に使っていた時間」が消えたあと、その時間を主体的に埋められますか?
→ 現役時代の週末の過ごし方をFIRE後に拡張できるか? さらに、それでは埋まらない“空白の時間”に、やりたいこと・意味あること・心地よいリズムを見出す計画があるか?
④ お金
Q: FIRE直後に生活水準を変えないでいられますか?
→ 解放感から支出が膨らんだり、大きな投資を始めたりと、経済行動がブレやすい時期。FIREシミュレーションが想定どおりかの検証のためにも、支出ペースや節約度合いを保って生活水準は維持してから徐々に変える戦略が有効です。
⑤ 健康
Q: 通勤や仕事の習慣がなくなった後も、心身の健康を保つ方法がありますか?
→ 仕事がなくなると、外に出る機会や人と接する機会が激減します。日々の運動、食生活、睡眠、対話の習慣など、精神的・身体的に健やかさを保てるしくみを用意できているかを見直しましょう。
⑥ 社会的つながり
Q: 会社以外に、自分の役割や居場所といえる活動がありますか?
→ 会社という看板を外したとき、「社会的な役割の喪失」に直面します。だからこそ、現役時代から会社外のコミュニティや貢献の場を少しずつ育てておくと、FIRE後の喪失感を最小限に抑えられます。
⑦ 自己理解
Q: FIRE後に直面する“変化する自分”と向き合う覚悟はありますか?なお、こうした考えに至ったのは生活水準(経済的な豊かさというより主観的な生活の居心地よさ)をリタイア後にあえて下げずにしたからです。それゆえ、以下の記事も書きました。
終わりに
FIRE後は、自由ゆえに選択肢が増えます。
でも、自由とは「変化そのもの」ではなく、「変えるかどうかを選べる状態」のことです。
選べるゆえ、FIRE後に環境を一新することも、まるで変えないことも、どちらも正解です。
なので、環境を変えることに囚われず、まずはFIREで得られた時間・精神・経済の自由をじっくり味わい、少しずつ自分の感性に沿って生活を育てながら変えることが得策だと思います。
このチェックリストは、そんなFIRE初期の混乱を防ぎ、単なる自由を“質の高い自由”にするために作ったもので、ご自身のFIREプランに照らしてぜひ活用いただければと存じます。
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